名港議会 江上博之議員の一般質問① 伊勢湾台風から学ぶ対策(2019年11月13日)
巨大台風からコンテナや車の流出をどう防ぐか/情報センターの効果的な活用で防災対策などのPRを
江上博之議員
空コンテナの流出、モータープールでの自動車流出に対する対策と日常的な対応はどうか
【江上議員】伊勢湾台風から60年の年、災害に強く、地域に親しまれる名古屋港になるように願い質問します。
今年は、台風15号、19号、そして、21号に伴う被害で、全国で100人近い方が亡くなられました。深くご冥福を祈ります。そして、多くの被災者、被害が出ています。お見舞い申し上げます。この地域では直接の被害はないと思いますが、伊勢湾台風から60年の年。改めて、災害に強い港をどう作るか考えたいと思います。
名古屋に住んでいて60年たっても必ず出てくる災害が伊勢湾台風です。わたくしごとですが、当時4歳でした。父親が南区の合板会社に勤めていて帰ってきませんでした。母が、雨戸をくぎで打ちつけていることを覚えています。幸い、水は床下で済みました。
南区浜田南公園にある伊勢湾台風殉難者慰霊之碑(くつ塚)
「名古屋市の西30キロメートルを通過した午後9時25分には、気圧は、954ミリバールとなり、名古屋港の瞬間最大風速は50.2mを記録した。10分後の9時35分台風に伴う高潮は伊勢湾の満潮時と重なったので、名古屋港基準面上5.31mという大高潮(過去の最大は大正10年9月26日4.38m)となった。これは異常高3.55mであった。このため河川堤防の決壊と高潮により、臨港地帯の港湾施設や名古屋市南部一帯は海水が侵入し、開港以来の大災害を被った。」「伊勢湾台風の異常高潮と波圧により、貯木場から多数の木材が流出し、市の南部一帯におびただしい損害を与え、多くの人命を奪った。」(名古屋港管理組合30年史)
伊勢湾台風を受け被害への対策として、大きく二つの事業が行われました。一つは、高潮防波堤の築造です。最近も改修が行われかさ上げもされています。もう一つは、木材流出を受け、木材港を設置しました。伊勢湾台風からの教訓は受け継がれています。それに加え、昨年の大阪湾港湾の台風被害で、空コンテナの流出、モータープールでの自動車流出事故等を受け、改めて点検し、ハード面の対策は万全と判断しているようです。今年になって、台風の来襲で、横浜港などで、空コンテナ流出や、中古自動車の流出事故がありました。新たな問題に対応が求められています。
空コンテナ流出や、モータープールでの自動車流出に対してどのような対策を取っているのでしょうか。
3 月9日の台風15号で、コンテナが崩壊した横浜港南本牧ふ頭。 横浜港南本牧ふ頭での自動車の被害(神奈川新聞より)
地形や現行対策からコンテナターミナルでのハード対策は不要、モータープールでは流出防止策を設置する
【危機管理監】昨年の台風21号による大阪湾港湾での被害を受け、高潮の対策目標潮位を、伊勢湾台風級の高潮を踏まえ、名古屋港基準面(N.P)プラス6.0メートルと設定して検証を行いました。
空コンテナの流出について各コンテナターミナルの検証を行った結果、コンテナタ一ミナルにおいては、岸壁から背後に向かって勾配をつけて地盤が高くなっていること、また、台風襲来時にはターミナル事業者が事前対策としてコンテナの移動や固縛措置を行うことから、ハード対策は不要であることを確認している。
モータープールでの自動車の流出については、地盤高や周辺の状況などを考慮して検証を行った結果を踏まえ、今年度、金城ふ頭、空見ふ頭及び弥富ふ頭の一部モータープール外周部に、海上への自動車の流出を防護する柵を設置します。
本年10月に接近した台風19号の際には、事業者の要望を踏まえ、金城ふ頭の荷さばき地に蔵置していた自動車を立体式の名古屋市営金城ふ頭駐車場に移動できるよう名古屋市と調整を図り、安全な移動場所を緊急的に確保した。
集約における災害対策について
【江上議員】事前に避難する対策も必要です。モータープールについて、公共ふ頭の金城ふ頭と弥富ふ頭の二か所から一か所に集約しようという動きもあるようですが、ある程度分散しておくことも災害対応には必要でないでしょうか。
施設に応じた安全対策を講じ、 物流の効率化との両立を図る
【危機管理監】完成自動車の輸出入は、金城ふ頭と弥富ふ頭に公共ふ頭を配置し取扱っているが、自動車専用船の大型化への対応など取扱機能の強化・効率化を図るため、金城ふ頭西側に集約・拠点化を進めている。
供用にあたっては必要な検証を行ったうえ、自動車の流出防止など、施設に応じた安全対策を講じ、物流の効率化との両立をしっかりと図っていく。
災害時に向けての事前の準備、 訓練などが必要ではないか
【江上議員】空コンテナやモータープール内の自動車流出を防ぐために、災害時に向けての事前の準備、訓練などが必要でないかと考えます。民間の事業ですが、港湾管理者として何を行うか、見解を求めます。
「フェーズ別高潮・暴風対応計画」を進めている。訓練も検討する
【危機管理監】事業者において、コンテナターミナルでの固縛措置などの事前対策、自動車は安全な場所への移動などの事前対策を実施している。
本組合は、事前の準備として、台風の接近に際し、関係者が迅速かつ円滑な防災行動を効果的・効率的に行うための判断の参考として活用できるよう、想定される標準的な防災行動をあらかじめ時系列的に整理した「フェーズ別高潮・暴風対応計画」について、コンテナ及び完成自動車に係る計画の取りまとめを、本年度を目途に進めている。
今後、台風に備えて確実な事前対策が行えるよう、必要な訓練などについて検討します。
「フェーズ別高潮・暴風対応計画」の策定時期は。訓練は(再質問)
【江上議員】昨年の台風21号による大阪湾港湾での被害を受け、対策が取られていることはわかりました。その教訓から対策が取られていたと思いますが、今年、台風15号の来襲で、東京港や横浜港で、空コンテナの倒壊や中古自動車の被害が報じられています。対策の速やかな対応が必要です。回答で、「フェーズ別高潮・暴風対応計画」の取りまとめを本年度を目途に進める、としています。全国の教訓から、少しでも早く、対策、計画の取りまとめ、計画の徹底をすべきです。
そこで、質問します。この計画は、本年度中に策定ということでいいですか。また、台風だけでなく、地震による津波、豪雨などもあり得ますが、伊勢湾台風の教訓を踏まえた必要な訓練について、特に検討を急ぐ必要があるのではないでしょうか。
計画は本年度中に策定、訓練は台風時に合わせ検討する
【危機管理監】「フェーズ別高潮・暴風対応計画」は、コンテナ及び完成自動車に係る計圃を、本年度中に策定する。
台風に備えた訓練は、内容や実施方怯、実施時期などについて、コンテナターミナルや完成自動車に係る事業者など、関係者との協議や連携を図り、来期の台風シーズンを目標に検討を進めたい。
キーワード:環境と防災、まちづくり、江上ひろゆき