後期高齢者医療広域連合議会 2月定例会 一般質問 ①保険料の軽減を(岡田ゆき子・2020年2月7日)
保険料軽減策の検討を 岡田ゆき子議員
低所得者の保険料軽減策としてどのような方法が考えられるのか
【岡田議員】議案第3号の質疑で、軽減特例の廃止と保険料引き上げで高齢者の経済的負担がさらに増え、高齢者の6割が低所得者に対する保険料軽減を受けているというのが明らかになり、2020・21年度の保険料の引き上げは認められないものです。
保険料の改悪が議決されましたが、改めて、制度改悪によって経済的な困難を強いられる後期高齢者に対し、広域連合として知恵を絞り、保険料軽減を真剣に考えるべきです。
低所得者の保険料の負担を軽減する方法としてどのようなものが考えられますか。
法定軽減に上乗せした独自軽減が考えられるが、補填財源が必要(課長)
【管理課長】被保険者均等割額に対する法定の7割・5割・2割の軽減にさらに上乗せして愛知県独自の軽減を行うなどが考えられる。
このような独自の保険料軽減を実施するには、減となる保険料収入額に相当する額について、法定外の財源により補填する必要がある。
法定外繰り入れへの考え方は(再質問)
【岡田議員】国民健康保険では、法定外繰り入れに対し、「決算補填などの目的」つまり赤字に対する法定外繰り入れは解消すべき、という国の指導があるようですが、政策的判断による法定外繰り入れについては、愛知県国保運営方針においても、当分の間、独自繰り入れを認めています。後期高齢者医療制度においては、こうした考え方はあるのか。
制度上は可能。世代間の負担の公平などの趣旨から慎重な検討が必要(局長)
【事務局長】高齢者の医療の確保に関する法律第102条及び第103条で、国、県、市町村及び広域連合は、後期高齢者医療に要する費用に対し、法定外の補助金を交付することができることが規定され、市町村等からの法定外繰り入れを受け、保険料率の軽減に充てることは、制度上は可能です。
しかし、同法第2条第1項に法の基本的理念として「国民は、(中略)高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとする」とあり、後期高齢者医療制度創設の趣旨の一つが世代間の負担の公平と明確化であったことを考慮すれば、大部分が現役世代の税負担である市町村の一般財源からの法定外繰り入れは、慎重な検討が必要です。
広域連合独自の軽減策をする場合の財源の可能性は
【岡田議員】昨年の8月議会において、これまで立て続けに行われてきた軽減特例の廃止や高額療養費の自己負担額引き上げで、制度発足以来、最大の負担増となったことを指摘し、東京都広域連合は、制度当初から独自の軽減を行っているのでやってはどうかと提案しました。具体的には、東京都広域連合は、葬祭費、審査支払手数料、保険料未収金補填分について、区市町村負担としています。これらは全体の保険料引き上げの抑制に充てています。同様に愛知県広域連合が行う場合、それぞれ必要財源はいくらになりますか。
葬祭費27億円、審査支払手数料15億円などの負担の在り方次第で(課長)
【管理課長】保険料引き下げの特別対策に必要な財源としては、2020年度予算に基づくと、葬祭費は27億6,180万円、審査支払手数料は15億2,762万円、保険料未収金の補填に必要な額は3億7,908万8千円です。
葬祭費相当額を繰り入れた場合の引き下げ額について(再質問)
【岡田議員】東京都の例を紹介しますと、制度当初来、保険料を抑えるために区市町村の一般会計から繰り入れを行っています。
東京都広域連合にお聞きしました。改定前の区市町村意向調査では、62自治体中52自治体が一般会計からの繰り入れは継続と答えられており、3自治体が廃止、7自治体がその他の意見だったとのことで、方針としては継続となったということです。愛知県で同様に市町村の繰り入れを行った場合、葬祭費だけみても27億6180万円です。法定7割5割2割減免の人を対象に保険料軽減に充てた場合、一人当たり年間どれくらいの引き下げが可能ですか。
一人当たりに換算すると4,896円(局長)
【事務局長】市町村から葬祭費相当額27億6,180万円の法定外繰り入れを行い、7割・5割・2割軽減該当者の保険料引き下げに充てた場合の一人当たりの引き下げ額は、2020年度予算で軽減対象者を563,992人と見込んでおり、一人当たり4,896円となる。
国保でできた繰り入れが後期高齢ではなくなるのは酷だ。法定外繰り入れで低所得者の保険料軽減を(再々)
【岡田議員】広域連合は独自の一般財源というものは持っていませんから、軽減のための法定外繰り入れについては、市町村のご理解を得ないとできないことです。愛知県の調査をみると、74歳までの国民健康保険は、42の自治体が低所得者に対する何らかの減免制度を持っています。ところが、75歳になったとたんに保険が切りかわり、これまで受けていた減免制度が受けられない。どうなるかというと、低所得者に対する軽減特例が廃止になって、あとは法定軽減の本則だけ、という酷な保険料に低所得者はさらされるわけです。
連合長、8月議会で、こうおっしゃっている。「確かに貧富の差が激しいですね」「ご苦労されている方が多い」「東京が下げているんだったら、一遍ちゃんと調べてみて」「一円でも安く」「福祉のほうも充実させるというのに挑戦していきたいと思っております。」
先ほどの答弁で、葬祭費分を市町村が実績に応じて負担することができれば、法定減免の対象である低所得者に、一人平均で4,896円の保険料軽減ができるということですから、愛知県広域連合として、提案し説得もいりますが、実現していただきたい。
市町村に一般財源を繰り入れてもらうということは、現役世代に負担をさせるのかという議論も聞こえてきます。しかし、現役世代は収入があるから負担できる、でも年を取った時に収入が減るので、少ない負担で医療を受けられるようになっていなければ安心して、年を取ることができないではないですか。本当の負担の公平というのはそういうことではないでか。誰もが高齢期を迎えるのですから、低所得者に対する保険料軽減制度を、自治体の一般財源を繰り入れていただく道を、開いていただきたいと思いますが、「高齢者だけを切り離して保険料が上がる仕組みについてはどうしたらいいか、勉強させてもらう」と先ほども答弁されました連合長の見解をお聞かせください。
ちょこっとでも下げられないかということは事実。一般会計からの法定外繰入は全議会の了解を得なければいけないので一度話し合ってみたら(連合長)
【広域連合長】ちょこっとでも下げられないかということは事実なんです。だけど、それを一般財源に求めるのはいかん。医療のいろいろな改革に求めないといけない。だけど、本当に難しい。例えば、病院長とか理事長が幾ら給料をもらっとるか、そういうものはわかりません。看護師さんのこと言うと、あなたのところが嫌がるので言わないほうがいいかわからんですけど。そういう改革でやってかないといけない。
いずれにしても、下げるには全市町村の了解が要ることなんです。だから実情は非常に難しいというのは、当局がこの間言っていました。だけど、やってみたらどうだとは思います。ちょうど議員の方がたくさん見えますので、それぞれの市町村で提案せないかんです。一般会計からの繰り入れでしかできないから。構造改革も、医療のいろいろな無駄な支出はないかということをチェックしていくことが一番いいと思う。
一遍、皆さんにお願いして、各市町村で。全員がイエスと言わないといけないよね。ちょっと議長は考えていただいて、皆さんのある程度了解をもらわないと。せっかく集まっているところですので考えてみたらどうかと思います。
一般会計でやる場合は、若い人への負担で年寄りばかりを楽にするという論理が、一般的にそう言われているけど、まあ1つはそうでもないのではないかと。 特に消費税においては年寄りも払いますんでね。だから、そうではないのとは思いますけれども。いずれにしろ、皆さんの議会で全部オーケーをとることが可能かどうか、議長ともよく考えてください。