2020年2月議会

田口一登議員の代表質問 ①敬老パス(2020年3月4日)

敬老パスの対象交通拡大と利用回数制限について         田口一登議員

名鉄バスや三重交通バスなど  民営バスにも拡大を
【田口議員】敬老パスが、JR、名鉄、近鉄の名古屋市内の運行区間でも使えるようになることは、市民から歓迎されています。一方で、鉄道だけでなく、民営バスへの利用拡大を望む声も寄せられています。緑区の滝ノ水にお住い方から、「鳴海駅に行くには市バスだと乗り換えなければならないが、名鉄バスなら1本で行けるので、名鉄バスをよく利用している。名鉄バスでも敬老パスが使えるようにしてほしい」というご要望をいただきました。
 健康福祉局長、敬老パスの利用対象交通を名鉄バスや三重交通バスなど民営バスにも拡大することを求めます。その検討状況をお聞かせください。

民間路線バスへの拡大に向けた検討に着手したい(局長)
【局長】民間路線バスは私鉄とともに検討対象の一つで、まず私鉄への拡大を目指す方針のもとで検討を進めてきた。一定の整理を行うことができたので、民間路線バスへのさらなる対象交通拡大に向けた検討に、これから着手したい。

税金投入額は過去最大を超えないから利用回数制限を導入する必要はない
【田口議員】私鉄への利用拡大と同時実施で、敬老パスの利用回数に「年間730回まで」という上限を設けることが提案されています。その理由は、利用拡大にともない事業費が増えるので、財源確保のためとされています。敬老パス事業費の過去最大を消費税込みで超えない額を「暫定上限額」として設定し、これは145億円ですが、これを今後10年間にわたって超えないようにするというのです。
 しかし、利用回数に制限を設けなくても、敬老パス事業への税金投入額は、10年後の2030年度においても過去最大を超えません。このことは、昨年11月定例会でのわが党の岡田ゆき子議員の質問にたいする答弁で、健康福祉局長も、「利用制限を設けず、対象交通の拡大を行った場合、……一部負担金による歳入が約10億円とすると、税投入額、すなわち一般財源額は約144億円となる」と認めています。事業費が過去最大だった2003年度は、敬老パス利用者が納める一部負担金はありませんでした。そのときの事業費を超えないとするのなら、「暫定上限額」は税金投入額とすべきではありませんか。2013年の本市社会福祉審議会の意見具申でも、見直しにあたっては、「税投入額の枠や一般会計に占める割合をどの程度抑えるかを想定」して検討を行う、との考え方が示されたにもかかわらず、どうして税投入額ではなく、利用者の一部負担金も含めた事業費を「暫定上限額」とするのか。岡田議員がただしましたが、健康福祉局長からは明解な答弁はありませんでした。
 そこで市長にお尋ねします。利用回数制限を設けなくても、敬老パス事業への税金投入額は過去最大を超えないのですから、利用回数制限を導入する必要はないのではありませんか。それでも回数制限を導入するというのであれば、それは財源確保のためではなく、敬老パスへの税金投入額を削減するためということになるのではありませんか。

負担しあって公平に持ち合おう(市長)
【市長】皆さんで負担しあって、公平に持ち合ってやろうという趣旨ですので、一定の回数制限をするのは議会でもきめられており、適当なことかと思います。

高齢者の社会参加意欲を低下させていいのか
【田口議員】健康のために毎朝、敬老パスを使って名城公園にラジオ体操に出かけている方が、「ラジオ体操で友人ができ、休む人がいると心配し合える仲間ができた。健康を維持して、介護のお世話にならないようにしたいが、回数制限が設けられると、毎日は参加することができなくなる」とおっしゃっていました。敬老パス制度の目的は、「高齢者の社会参加を支援し福祉の増進を図る」ことにあります。名城公園で行われているラジオ体操には、遠方からも含めて数百人が参加しているそうですが、ラジオ体操に毎朝参加することをためらうようになったら、敬老パス制度の目的が損なわれてしまうでしょう。社会福祉審議会も、「高齢者の社会参加意欲を低下させる可能性があることから……利用限度額・上限額を設定すべきではない」と意見具申しているのです。
 市長、敬老パスの利用回数に上限を設けて、高齢者の社会参加意欲を低下させていいのですか。

守山区や南区から大須にきて、うまいもの食ってもらうというええとこもある(市長)
【市長】JRや名鉄・近鉄までタダになるというのは、すごいええ話です。ようけの人が守山や南から栄に出てきてもらって大須でうまいものでも食っていってもらうかと思うので。そういうええとこも十分ある。

金があるのなら、利用回数に制限を設ける必要はない(再質問)
【田口議員】私は、「利用回数制限を設けなくても、敬老パス事業への税金投入額は過去最大を超えないのだから、利用回数制限を導入する必要はないのではないか」とお尋ねしましたが、市長からは明解な答弁がありませんでした。制度の持続可能性は、税金投入額で推し量るものではないのか。それにもかかわらず、「暫定上限額」として、どうして市に入ってくる一部負担金も含めた総事業費にこだわるのか、理解できません。
 私鉄への利用拡大にともなって増える事業費は約9億円といいます。名古屋市の一般会計予算は1兆2500億円余りですので、9億円というのは、その0.07%にすぎません。これぐらいのお金は何とでもなるんじゃないですか。市長も、2月19日の本会議での所信表明で、「金はあるんですよ。財政危機はウソなんです」とはっきり言われました。
 市長、金があるのなら、利用回数に制限を設ける必要はないではありませんか。お答えください。

産業界が儲けた金があるということ。お互いに公平に負担を(市長)
【市長】金はあるといっても、産業界が儲けていただいた金があるということで、貧富の差は激しいし、気を付けてやっていかなければいけないが、一定の負担をお互いにしながら。それと、子供さんを応援しようという気持ちがものすごく強いんでねえ。
 ものすごく使っている人がおる、その辺は公平にしていただいたほうが。お金を払っている人は、年くっとればみんなタダかと若干疑問を感じる。だから、みんなで公平にやりましょうという趣旨です。

総事業費の「暫定上限額」という呪縛からとかれ、利用回数制限の撤回を(意見)
【田口議員】利用拡大のためのお金がないわけではありません。利用回数制限を設けなくても、敬老パスへの税金投入額は過去最大を超えません。総事業費の「暫定上限額」という呪縛から、解き放たれようではありませんか。利用回数制限の撤回を求めます。

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