2020年2月議会

さはしあこ議員の個人質問 ②避難所生活(2020年3月6日)

避難所での生活環境のさらなる向上策を   さはしあこ議員

救助実施市を活かして、避難所の生活環境の改善を
【さはし議員】昨年9月の本会議で、伊勢湾台風時から変わりのない避難所生活の抜本的改善について質問しました。その後、避難所の生活環境に関する大きな出来事がありました。
 一つは、相次いで、台風による被害がもたらされたことです。9月定例会の最中に襲った台風第15号は、大規模停電や河川の氾濫により、その後の令和元年東日本台風と命名された台風第19号は、主に東日本各地で猛威をふるい、大勢の方が避難所暮らしを余儀なくされました。政府からは「避難所の生活環境の整備等について」等の通知が相次いで出されたにもかかわらず、避難所では、大変苦労されたとお聞きしています。避難所の生活環境を改善する具体的な指針としてあらためて受け止めたいと思います。
 もう一つは、本市はこの4月から国の指定を受け、救助実施市となります。災害時に、都道府県が担う避難所設置や仮設住宅整備などの権限が、愛知県から名古屋市に移ります。
 救助実施市となることで、相応の災害対応能力を持つ指定都市として避難所の運営などの災害救助を自ら行う権限と責任を持つことになり、より手厚く、柔軟に被災者支援を行うことができるようになり、避難所の生活環境の水準の引き上げにつながると期待しています。
 私は、イタリアの例をあげ、TKBの考え方を導入し、温かい食事が避難者に届けられるよう避難所の改善を一層すすめるよう提案しました。局長からは、「TKBについて、参考にすべき大切な視点であると考えている」と答弁されました。現在開会中の国会で、わが党の質問に対し、安倍首相は避難所の生活環境について「政府としても被災者を支援するうえで、極めて重要であると認識しています。被災者への温かい食事の提供やプライバシーの確保に係る必要な費用については、国庫負担の対象としており、関係自治体に適切な対応を促しているところです」と答弁されています。
 せっかく救助実施市となるのだから、より積極的に避難所の生活環境の改善に取り組んでいただきたいと思います。
 避難した方々へ温かい食事を届けることについても、被災者からの要望を受け、国から避難所の生活環境の整備についての通知が出されたこと、また、4月から本市が救助実施市になることを踏まえ、今までの避難所の生活環境を見直し、改善をすすめる必要があると考えます。
 温かい食事の提供やプライバシーの確保について、名古屋市としてどのように受け止め、検討、あるいは、取り組みをしていくおつもりなのか、防災危機管理局長におたずねします。

災害救助法の概要(2019年4月1日)
1.救助実施市の指定
 災害救助の円滑かつ迅速な実施を図るため市が自らの事務として被災者の救助を行うことを可能にする制度
2.都道府県
 都道府県は、救助実施市以外の市町村における救助に注力できる。
3.災害救助基金
 財源負担は国と救助実施市。救助実施市は、救助費用の財源に充てるため、災害救助基金を積立てなければならない。

良好な生活環境の確保を精力的に進めたい(局長)
【防災危機管理局長】指定避難所において、避難者一人ひとりの健康を守り、安心・安全を確保することは重要で、食糧、生活必需品及び災害用トイレの備蓄や、民間事業者との協定締結などの取り組みを進めている。
 大規模災害時には、必要に応じて保健師や管理栄養士などによる健康や食生活の相談指導を実施するなど、関係局が連携を図りながら時系列に応じた適切な環境改善を図ることとしている。
 「名古屋市総合計画2023」でも、「指定避難所における良好な生活環境の確保」を初めて総合計画に掲載し、こうした取り組みを引き続き精力的に進めたい。
 来年度から災害救助法に基づく救助実施市となり、大規模災害時に県との協議を経ることなく、市独自の判断で円滑かつ迅速に避難所の運営等の応急救助にあたることになる。
 今後、本市で大規模災害が発生した場合は、救助実施市として、被災状況や被災者のニーズ等を踏まえ、内閣府の通知を参考にしつつ、適温食の提供やプライバシーの確保等、避難所における生活環境の向上に取り組んでいきたい。

しっかり取り組んで改善を(要望)
【さはし議員】避難所の生活環境について要望を述べます。災害が来る前に、どれだけ備えておくかが大切だと私は思います。防災危機管理局長から「精力的に取り組んでいく」という答弁をいただきました。しっかりと取り組んで改善していただきたいと思います。

妊産婦・乳幼児専用の避難所設置を決断せよ
【さはし議員】災害のたびに、特別な配慮が必要な妊産婦や乳幼児の課題が必ず出てきます。リスクが高まる妊産婦さんや赤ちゃんが、過酷な避難所で過ごす負担を軽くしたい、子どもの泣き声で避難を躊躇されるお父さんお母さんに、少しでも安心して避難所で過ごしてほしいと、本会議で二度取り上げました。
 いくつかの自治体では、専用の避難所設置をすすめてきています。すでに、東京都の文京区や世田谷区、京都市、神戸市、仙台市、苫小牧市などが大学や看護専門学校などと、妊産婦・乳幼児専用避難所の協定を結びました。昨年はさらに、北九州市が子育て支援施設を、呉市では子育て用品・医療品を販売するコンビニを備える施設と協定を、富士市では市立看護専門学校の指定と併せて県助産師会とも協定を結び、専用避難所の設置をすすめています。
 本市も妊産婦・乳幼児が安全な場所で過ごせるしくみを検討すべきではないでしょうか。子どもを守るためにも、そろそろ妊産婦・乳幼児のための専用避難所の設置を決断し、看護専門学校や保育関係の大学などへ協力を求めてはいかがですか。子ども青少年局長、お答えください。

文京区のポスター

妊産婦・乳幼児への一定の配慮は必要。必要性を含め慎重に検討したい(局長)
【子ども青少年局長】妊産婦や乳幼児は、必要に応じて、一般の指定避難所における福祉避難スペースでの生活、また身体等の状況から福祉避難スペースでも避難生活が困難な方は、福祉避難所で受け入れる。
 妊産婦・乳幼児は、普段とは異なる環境下である避難所生活の中で、心身の不安や疲労に伴い体調を崩しやすくなるなど、一定の配慮が必要と考えている。
 妊産婦・乳幼児について、静養したり親子が気兼ねなく生活できる空間や授乳スペースを確保するにはどのような方策が望ましいのか、他都市の先行事例を参考にしつつ関係局とともに、専用の福祉避難所の必要性を含めて、慎重に検討したい。

必要性は明らか。モデル的にでも着手してはどうか(要望)
【さはし議員】妊産婦・乳幼児専用については、「一定の配慮が必要」との認識はお持ちなのに、設置については、「必要性を慎重に検討する」との答弁でした。3年前からどの局も「関係局と検討する」ばかりで、まったく変わっていません。
 他の自治体は必要があるからすすめているのであって、必要性は明らかだと、私は思います。
 「子どもを守る名古屋」というならば、モデル的にでもまずはやってみてはいかがでしょうか。私はこの件については引き続き求めていくことを申し上げまして、質問を終わります。

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