2020年2月議会
岡田ゆき子議員の予算に対する反対討論(2020年3月17日)
新型コロナ肺炎や消費税増税で市民の暮らしは大変。給食費や後期高齢者保険料の値上げ、民営化をやめ暮らしの応援を 岡田ゆき子議員
岡田ゆき子議員が一般会計予算案に反対の立場で討論をおこないました。減税も自・民・公も討論を行わず黙って賛成しました。
【岡田議員】日本共産党名古屋市会議員団を代表して、一般会計予算案に反対の立場で討論します。
消費税大増税に新型コロナウイルス感染症が加わって、深刻な大不況に
新型コロナウイルス感染拡大が続いています。名古屋市でも99名が感染し、死亡者も12名となっています。亡くなられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、感染されたみなさんをはじめ、感染拡大の影響で様々な苦難を抱えていらっしゃる皆様にお見舞い申し上げます。
日本経済はいま、消費税大増税による打撃に、新型コロナウイルス感染による打撃が加わって、深刻な大不況に陥りつつあります。重大なことは、新型コロナの打撃が世界各国に及び、世界経済が重大な危機に直面していることです。
わが党は、政府に対して、新型コロナの影響から、緊急に国民生活を防衛するあらゆる手立てを講じることを求めるとともに、消費税5%への緊急減税を本格的に検討し、実行することを強く求めています。消費税を緊急に5%に減税することは、消費を下支えし、国民の所得を増やし、低所得者と中間層への力強い支援策となります。政府が、この経済危機に立ち向かう強い姿勢を示すうえでも、最も有効な対策であると確信するものです。
名古屋市での新型コロナ感染症への日ごとの感染者数(~3月14日)
生活防衛どころか市民負担増に
それでは具体的に反対理由を申し上げます。
第1の理由は、新型コロナの影響による現下の経済危機から、市民生活を防衛する思い切った手立てが講じられていないどころか、市民への負担増が押し付けられていることです。
学校給食費を6600円値上げ
4月から学校給食費は、子ども一人年間6600円もの値上げです。学校給食無償化は、全国の自治体で広がっており、名古屋市は、学校給食無償化も含めた議論を開始していました。そもそも負担軽減をどうするかという議論であったのですから、まずは、食材費の値上げ分については、名古屋市が負担し、給食無償化の議論を前に進めるべきです。
後期高齢者に8410円のに保険料増
後期高齢者医療保険料は、年間8410円もの値上げとなり、特に低所得者への均等割軽減特例の段階的縮小は、年金が減り続ける高齢者にとって、負担が一層重くなります。保険料値上げ分は、市が一般会計から財源を繰り入れ、後期高齢者の負担を軽減するよう求めます。
後期高齢者医療保険料の改定
均等割額 45,379円 → 48,765円
所得割率 8.76% → 9.64%
限度額 62万円 → 64万円
一人平均年額 83,781円 → 92,191円
富裕層に市民税減税が必要か
河村市長の市民税5%減税は、減税額トップの富裕層が505万円も減税される一方で、納税者の過半数を占める所得500万円以下の市民の減税額は5000円以下と、所得再分配から逸脱した富裕層優遇「減税」であり、現下の経済危機で生活がひっ迫している低所得者への恩恵は全くありません。「金持ち減税」は中止し、それによる92億円の増収分は、わが党が予算組み替え案で提案した、国民健康保険料の子どもにかかる均等割の廃止、介護保険料の軽減、奨学金返還支援制度の創設などの財源に充てるべきです。こうした思い切った生活支援こそ、いま求められています。
民営化や統廃合へまい進
反対する第2の理由は、市民サービスの後退と公共施設の統廃合、民営化が進められていることです。
せっかく私鉄に拡大しても、回数制限の敬老パス
全国でも優れた名古屋の敬老パス制度に、730回という利用回数制限を設ける提案は、敬老パスの目的である「高齢者の社会参加の促進」に反します。
高齢者が積極的に外出し、ボランティアや自身の体力維持向上に取り組めているのは、敬老パスによる移動の保障があるからです。そうした元気な高齢者の移動に、水を差すような利用回数制限は、社会福祉審議会が「社会参加意欲を低下させる可能性がある」と意見しています。ところが、健康福祉局は社会参加意欲の低下に対して、まともに答弁できませんでした。
また、2003年度の事業費相当額を上限にすれば、今後10年先も、税投入額は上限に達しないのですから、回数制限を設ける財政上の必要はありません。根拠が分からない、総事業費を「暫定上限」として、敬老パス制度を変質させることは断じて認められません。
地元の声を無視した学校統廃合
子ども達にとってかけがえのない学校を、当事者である子どもや地元の声を無視し、学校統廃合を進める計画は認められません。地元説明会では具体的な意見や疑問が出されました。住民も一緒に取り組む高坂小学校の高坂水田を残すこと、森孝中学校に統合する小学校の通学路について具体的な安全対策講じることという意見に対し、教育長は、それらを統廃合の個別プランには反映させないと答えました。その上、当事者抜きの審議会で、個別プランを作り上げていく、極めて強引な進め方です。子どもを権利の主体とする「なごや子ども条例」を教育委員会は無視するのですか。子どもたちや地元の合意が得られないまま、個別プランへ進むことは認められません。
応募法人がなくても保育所民営化へ
公立保育所の民間移管は、来年度、新たに汁谷(しるたに)、新富町(しんとみちょう)、高針北の3園の移管法人の選定が行われ、鳩岡、藤が丘、松ケ根の3園を公立として廃止するものです。 2015年から始まった民間移管計画は、応募する法人がない「公募不調」や、選定された法人で引継ぎ保育に必要な保育士を確保できない事態が起き、保護者や子ども達に大きな負担と不安を与えました。
名古屋市公立保育所整備計画を策定した2005年当時と現在を比べても、保育需要の高さ、貧困格差の拡大、子どもの虐待件数の増加など、子育て世代が抱える問題は複雑化、孤立化しています。公立保育所を減らすのは、行政の役割を投げ出すことです。強引な公立保育所の民間移管計画の中止を求めます。
リニア関連で大型事業次々
反対する理由の第3は、リニア開通を前提とする名古屋駅前開発など大型事業に、前のめりの予算になっていることです。
名古屋駅ターミナル機能の強化については、東側駅前広場の再整備だけでも約700億円が想定される大事業ですが、その費用分担に関して鉄道事業者などとの間で、了承が得られておらず、本市の過大な財政負担が懸念されます。
ささしまライブ24地区への地下公共空間、いわゆる巨大地下通路の整備については、来年度実施される歩道の拡幅によってアクセス改善は可能であることから、その必要性が認められません。
名古屋駅周辺に自動車を呼び込む愚策も
リニア開通と名古屋駅前開発によって交通量が増大するとして、来年度、都市高速道路の黄金出入口のフル・インターチェンジ化と新洲崎ジャンクションの出入り口整備に着手しますが、これは、名古屋駅周辺に自動車を呼び込むものであり、都心部への車の流入を抑制するという都市高速道路建設の観点に反するものです。しかも、黄金の出入り口整備については、地元町内で開かれた意見交換会で、「税金の無駄使いだ」という声が多数出るなど、地元住民の理解と納得が得られていません。立ち退き対象となる40件のうち、人生で二度も高速道路建設によって立ち退きを余儀なくされる方が5件あり、「二度と立ち退きたくない」という声が上がっています。リニアが来るからといって、高速道路から名古屋駅までのせいぜい4分間の時間短縮のために、住民の人生設計を狂わせる、黄金出入り口のフル・インター化は中止すべきです。
天守閣石垣の調査、保存を進め、現天守閣の耐震化を
名古屋城天守閣木造復元事業は、2022年12月の竣工は実現不可能となりました。さらに、今年3月には、名古屋城内の名古屋城重要文化財等展示収蔵施設の外構工事で、遺構である石列(せきれつ)をき損する事故がおきました。本来学芸員の立ち合いが必要であったにもかかわらず、その認識がなかったことは大問題です。名古屋市の調査研究体制の不十分さが露呈しました。
今必要なのは、天守閣石垣の調査、保存をしっかり丁寧に進めることであり、実施設計を進める段階ではありません。竣工時期さえ決まっていない天守閣復元に、実施設計費を計上することはありえません。
戦争で焼失した天守閣を戦後の復興、平和の象徴として市民の出資も募り再建した現天守閣こそ文化財として後世に残すべきものです。木造復元にかかる事業費は認められません。
市民が日常生活を取り戻し、経済活動が従来の活気を取り戻すまでともに総力を
最後に、新型コロナウイルス感染症は終息の見通しが立っていません。感染症が終息し、市民が日常の生活を取り戻し、経済活動が従来の活気を取り戻すまで、市民のいのちと健康を守り、暮らしと営業を支えるために、名古屋市が総力を挙げて取り組む時です。わが党も、その一翼をになって奮闘することを表明し、討論を終わります。