後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会 一般質問 ①コロナ以外でも保険料の軽減を(岡田ゆき子・2020年8月18日)

収入減少に対する保険料減免制度について  岡田ゆき子議員

年金引き下げ、消費税増税、社会保険料や窓口負担増で可処分所得が減少
【岡田議員】高齢者の経済状況は年々厳しさを増しており、2019年高齢社会白書によれば、「家計にゆとりがなく、多少心配」と「家計が苦しく非常に心配」と答えた方は、3割に上ります。昨年、消費税が10%へ引き上げられて以降の暮らし向きは、さらに厳しさを増していると考えます。
 家計が厳しい中、高齢者の就業者数は近年増えてきています。70歳以上の高齢者の就業率は、2012年には13.1%でしたが、2018年には16.2%と上がり、75歳以上ですと10%が就業されています。男性の場合では就業率は15%を超えて、7人に1人は働き、うち約半分が自営業・家族従業者、3割がパート、アルバイト等で働いています。 年金引き下げ、消費税増税、社会保険にかかる保険料、窓口負担増は、可処分所得を減少させ、高齢者を「働ける間は働かなくてはいけない」という状況にさせていると考えます。
 名古屋市北区内で生活されている78歳の女性は、年金が月に6万円程度で、市営住宅で暮らしていますが、夕方から2つの飲食店を掛け持ちでパートとして働き、家計の足しにして何とかやりくりしています。「自分にできる仕事があるだけありがたい」と言われる一方、経済的には働き続けたいが、高齢なので無理はできない、病気になれば、途端に収入が減るので、その不安は大きいのだといわれます。

コロナによる収入減に対する保険料減免の目的と対象要件、申請状況は
【岡田議員】こうした急激な収入減少となった被保険者に対する、保険料減免について質問します。
 県内では2月に最初の新型コロナウイルス感染者が発生して以降、休業要請や行動自粛などで、経済・社会活動が抑制されることとなり、世代にかかわらず、仕事量が減る、休業、解雇などで、収入が減少する収入が絶たれる事態が起きています。休業要請は、本来、補償とセットでされなければ、十分な感染拡大防止と事業の継続はできません。
 そうした支援が不十分なために、急な収入減少で、生活が立ち行かない事態に対し、厚生労働省は、コロナによる影響で収入減少となった世帯に対し、国民健康保険料及び後期高齢者医療保険料を減免する特例制度を設けました。
 先の7月臨時議会で後期高齢者医療に関する条例の改正の専決処分について、承認がされたところです。今回の収入減少に対する保険料の減免について、改めて、その目的と対象となる場合の要件、申請状況をお聞きします。

新型コロナの影響で収入が下がり生活に困っている被保険者等への支援策のひとつ。7月末現在2019年と2020年度で165件
【管理課長】この保険料の減免は、厚生労働省からの通知を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響により、一定程度収入が下がり生活に困っている被保険者等への支援策のひとつとして行っている。
 対象は2019年度及び2020年度分の保険料。2020年2月1日から2021年3年3月31日までの間に普通徴収の納期が設定されている保険料で、「新型コロナウイルス感染症で主たる生計維持者が死亡、又は重篤な傷病を負った世帯の場合」や「新型コロナウイルス感染症で主たる生計維持者の事業収入等の減少額が2019年の当該事業収入等の額の10分の3以上で、2019年の所得の合計が1,000万円以下、減少が見込まれる事業収入等に係る所得以外の2019年の所得の合計額が400万円以下の場合」となっている。
 申請は、この保険料減免の受付を2020年7月から市町村で行い、これまでに保険料の減免の決定を行った件数は、2019年度分が81件、2020年度分が84件の合計165件です。

後期高齢者医療制度での保険料減免制度が受けられる場合は
【岡田議員】これまでの後期高齢者医療制度における保険料減免制度はどうなっていますか。

長期入院や失業、災害などで減免がある
【管理課長】新型コロナウイルス感染症の影響以外の減免制度は、「被保険者が心身に重大な障害を受け、又は長期入院したことで、収入が著しく減少した場合」、「被保険者の収入が、事業の休廃止、著しい損失、失業等により著しく減少した場合」、「被保険者が、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けた場合」などについて、保険料を減免することができる。

病気でもコロナでも収入減は同じではないか(再質問)
【岡田議員】従来の収入減少を理由とした減免制度は、被保険者の前年の合計所得が650万円以下であって、収入減少となるその年の見込み所得が、100万円以下の場合に減免が受けられることになります。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響で収入減少となった場合には、被保険者を含む世帯を対象として、前年の合計所得が1000万円以下であって、その年の収入見込が、前年に比べ3割以上、下がった等の場合に、減免制度が受けられるよう、対象要件が大きく緩和されました。
 昨年度の所得激減による減免適用は104件と事前にお聞きしていますので、新型コロナによる影響があった2~3月で既に81件の適用があったということですから、生活困難な世帯への支援が幅広く行われたといえます。
 病気や解雇等も、新型コロナと同様に生活困難な状況に陥ることでは変わりはなく、その支援策としての減免制度の目的は同じです。
 今回の要件緩和を新型コロナだけによる特例にするのではなく、予期しない、急な収入の減少で生活困難となっている被保険者等への支援策として、恒常的に適用して制度を拡充することを求めます。

今回の特例的な減免は厚労省の通知で行うもので恒常化する気はない(局長)
【事務局長】今回の保険料減免制度は、厚生労働省の通知に基づいて設けたもので、当広域連合は、国の制度通り行うこととしており、この特例を恒常的な制度とすることは考えていない。

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