後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会 決算審査/軽減特例の廃止や短期保険証の交付に異議あり (伊藤建治春日井市議・2020年8月18日)
制度改悪による負担増について(決算審査)
低所得者と元被扶養者の均等割の軽減見直しでの影響は
【伊藤議員】2019年度も軽減特例の縮小が実施された。影響人数、被保険者全体に占める割合と影響額を示せ。また元被扶養者の均等割の軽減特例は、9割軽減が2017年度に7割、2018年度に5割、2019年度は資格取得後2年のみ5割軽減となり、2年経過した後は、所得に応じた軽減以外は、軽減特例の対象ではなくなった。この軽減特例から外れた人数と影響額を。
低所得者の軽減削減で16万人7憶円の影響。元被扶養者の均等割軽減削減で3万人7億円
【管理課長】2019年度の確定賦課時点で算出。8割軽減への見直しでは、8割軽減の対象が約16万6,000人、被保険者全体に占める割合は17.2%、影響額は約7億5,000万円。元被扶養者の均等割軽減で資格取得後2年間のみ5割軽減となった影響は、資格取得後2年間の対象から外れた方が約3万2,000人、影響額は約7億4,000万円。
被保険者の方や御家族からのお問い合わせは
【伊藤議員】軽減特例の縮小で多くの方が保険料の大幅な増額になった。低所得者の軽減特例の縮小で保険料額は倍になっている。元被扶養者は、前年比で2倍、約2万3,000円の増額、9割軽減のときとは10倍の保険料。何かの間違いではないかとの問い合わせ状況はどうか。
丁寧に説明している
【管理課長】被保険者や家族からの問い合わせや意見等が寄せられているが、丁寧に説明し、理解をいただくよう努めている。
高額療養費の自己負担限度額引き上げの影響
【伊藤議員】2018年8月に、高額療養費の自己負担限度額の引き上げが実施され2019年度が通年で影響を受ける最初の年。影響額はいかほどか。
23億4,600万円程度
【給付課長】2019年度は制度改正前との比較における歳出抑制効果を36億400万円程度と見込んで歳出予算を計上したが、年度途中で歳出不足が見込まれ、最終的には12億5,800万円の流用増を行う結果となった。このことから、高額療養費の制度変更による通年の影響額としては、2019年度の当初予算編成時に見込んだ金額から年度途中の流用額を差し引いた23億4,600万円程度と考える。
軽減特例の縮小などで負担が増大、払えない人には特別の事情がある(意見)
【伊藤議員】軽減特例の縮小と高額療養費の自己負担限度額の引き上げの影響額を合算すると38億4,000万円。被保険者の負担が増えた。
短期証や差し押さえについて
短期保険証の発行数は
【伊藤議員】短期保険証の発行件数の推移、2019年度の所得別内訳を。
2020年3月末現在713人。うち所得0(ゼロ)は279人
【管理課長】短期保険証の発行人数は、2018年3月末現在806人、2019年3月末現在748 人、2020年3月末現在713人。
短期保険証交付者の所得階層別区分は、保険料算定に用いる所得金額から33万円を控除した旧ただし書き所得を基にして説明。2020年3月末現在の短期保険証交付者713人の所得階層別の内訳は、所得0円279人、それを超えて58万円以下130人、それを超えて200万円以下248人、それを超えて400万円以下37人、それを超えて600万円以下7人、600万円超が12人。
差し押さえの件数と金額は
【伊藤議員】保険料未納者に対する差し押さえの件数と金額、内容を。
246件、3,816万7,475円
【管理課長】差し押さえの件数は246件、3,816万7,475円。預貯金、年金、生命保険、不動産、給与、国税等還付金など。
短期証の発行より収納相談を(再質問)
【伊藤議員】短期保険証の発行件数は、ほぼ同水準での推移。所得別内訳で、実に40%の方が所得ゼロ、92%が所得200万円未満で、保険料の収納率は99.65%と、国保と比較すると驚くほどの高さで、払えない方というのは、よほどの事情があると察してしかるべきです。厚生労働省は短期証や資格証明書交付の際は、機械的・一律に運用することなく、納付できない特別の事情があるか否かを適切に判断するように求めている。所得別内訳を見れば、ほとんどの方に納付できない特別の事情があることは容易に推察ができる。
短期証の取扱いは約3割16の市町村が短期証の発行をしていない。保険証は通常のものを送付し、収納対策はそれはそれとして行っている。これが適切なやり方ではないか。特に医療の必要度の高い高齢者であり、保険証の有無は命に直結する話。
広域連合全体として、短期保険証の発行は行わずに収納対策を進めてはどうか。
保険料の納付のために交付している短期保険証。運用は適切に行われている
【管理課長】市町村での収納対策の一つとして、短期保険証を活用。納付相談できてもらい保険料の納付につなげるために交付している。短期保険証の運用は適切に行われている。
市町村の収納対策は、規模や地域性などの違いを踏まえながら実施しており、短期保険証の発行で県内一律の取組みをすることは困難である。
差し押さえの対象者の所得と生活への配慮について(再質問)
【伊藤議員】差し押さえについて、保険料を納められない方の大半が、所得ゼロなど低所得者であることを鑑みれば、その取扱いは慎重であるべき。246件の所得状況はどうか。差し押さえでその後の生活が立ち行かなくなってしまうということがないように、きめ細やかな配慮が必要ではないか。
収入・資産等があるにもかかわらず保険料を納めない被保険者に対して行われている
【管理課長】年1回、市町村からの報告で、差し押さえの対象となった件数、種別及び金額について確認をしている。市町村が行った差し押さえの個別の所得状況等までは把握してないが、市町村で納付相談等を行い、生活状況等を十分に把握した上で、収入・資産等があるにもかかわらず、なお保険料を納めない被保険者に対して適切に行われている。
今後も、短期保険証及び差し押さえは、市町村と連携し、適切な対応に努める。
キーワード:福祉・介護・医療