後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会 請願の採択を求める   (岡田ゆき子議員・2020年8月18日)

コロナ禍で社会が疲弊し、生活基盤も不安定な中、高齢者の負担増を進めるべきではない(請願採択を求める)

【岡田議員】ただいま議題となっております、請願第2号「後期高齢者医療制度の改善を求める請願」について、採択を求めて討論いたします。

コロナ対策に限らず生活に困っている人を支えよ
 新型コロナウイルス感染症は全国的にも猛威を振るい、愛知県では、感染者は8月17日時点で3,765人となっています。6月以降の第2波では、若い人を中心に感染が拡大し、さらに重篤化しやすい、高齢者へと広がってきています。感染拡大を止めるには、pcr検査数を飛躍的に増やして感染を抑え込むこと、休業要請、自粛要請を適切に行い、同時に補償、生活支援をしっかり行うことが必要です。
 こうした中で、国は、新型コロナウイルス感染症により収入が減少した被保険者に対し、保険料を減免する特例制度を設けました。新型コロナによる影響と限定していますが、その目的は、一般質問でも答弁されました「一定程度収入が下がり生活に困っている被保険者等への支援策」であります。また、生活を共にしている世帯単位で、支援の仕組みを作っていることも重要であります。
 しかし、職を失いまた病気などで収入が減少することは、コロナと限らず、起こりうる事であって、そうした生活に困っている状況に対しても同様に支援がされるべきです。
 また「傷病手当金」は、他の社会保険には、もとよりある仕組みで、国保や後期高齢者医療の被保険者でも、就業者が一定数存在しているのですから、新型コロナウイルス感染症に限らず、恒常的な仕組みとして傷病手当金は必要だとする請願者の要望は当然だと考えます。
 平時から、高齢者や高齢者を支える世帯が生活に困った時にしっかり支える仕組みがあることで、未曾有の災害時に、その仕組みが柔軟に生かされることになると考えます。

コロナ禍でも負担増の議論
 このコロナ禍において、厚労省の社会保障審議会医療部会では、一定以上所得のある後期高齢者の一部負担割合の2割への引き上げなど議論が続けられています。  
 7月9日に行われた部会では、窓口2割負担については、自治体関係者からは新型コロナの影響を踏まえた慎重な審議を求める声が上がるほか、日本医師会の委員からは「原則1割」にとする主張や、被保険者当事者である老人クラブの代表委員から「窓口負担の強化はやるべきではない」との2割負担の反対の訴えが続きました。

国へ財政支援を求め、窓口負担の引き上げや軽減特例の撤廃はすべきでない
 コロナ禍で社会全体が疲弊し、個々人の生活基盤も不安定となっている中、後期高齢者の一部負担引き上げを進めるべきではありません。請願にあるように、国へ財政支援を求め、窓口負担の引き上げや軽減特例の撤廃はすべきでない旨を議会として述べることが必要です。
 以上、請願に賛成する主な意見を述べました。改めて全ての採択を求めまして、討論を終わります。

参考  請願に対する見解【事務局長】

1、収入減少による保険料減免について
【事務局長】収入が著しく減少した理由が、重大な障害、長期入院のほか、事業又は業務の休廃止、事業の著しい損失、失業等では、保険料を減免する恒常的制度としている。新型コロナウイルス感染症の影響を理由とする保険料の減免制度は、厚生労働省の通知に基づき、減免の対象となる保険料の範囲や減免の基準等の特例を設けたものであり、恒常的なものではない。
2、傷病手当金について
【事務局長】任意給付である新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対する傷病手当金は、国内での感染拡大防止の観点から、国が特例的な措置として財政支援を行うもので、被用者のうち、新型コロナウイルス感染症に感染した者、又は感染が疑われる者を対象としている。
3、短期保険証の発行と財産の差し押さえについて
【事務局長】短期保険証は、保険料未納者に対し納付相談の機会を設け、保険料納付につなげるために発行している。財産の差し押さえを含む滞納処分は、
十分な収入、資産等があるにもかかわらず、保険料を納めない被保険者に対して行われている。
4、懇談会の委員の公募の方法について
【事務局長】後期高齢者医療制度は現在、97万人を超える被保険者がおり、本制度に対する意見も様々なものがあり、制度をよく理解していない人や余り知らない人もいるので、そうした人からも広く意見を頂戴することも必要と考え、全被保険者の中から無作為に抽出した方にお願いしている。
5、国への意見書について
【事務局長】広域連合から国への要望状況等を参考としてしめす。
①国による財政支援の拡充…全国後期高齢者医療広域連合協議会が令和2年8月6日に厚生労働大臣宛てに提出した後期高齢者医療制度に関する要望書で、定率国庫負担の割合の増加や国の責任ある財政支援の拡充等を要望した。
②後期高齢者の窓口負担割合引き上げ…先ほど申し上げた厚生労働大臣宛ての要望書で、高齢者が必要な医療を受ける機会が確保されるよう慎重かつ十分な議論を重ねること等を要望。なお、②のうち、保険料軽減特例は、平成31年2月の定例会で可決された条例の一部改正で、令和元年度から段階的に縮小され、今年度をもって廃止されることとなっている。

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