2020年9月議会

さいとう愛子議員の個人質問:①コロナ時代、いまこそ少人数学級に(2020年9月17日 9月定例会)

コロナ時代の学校のあり方について、いまこそ少人数学級の拡大を さいとう愛子議員

教育長の認識は6月議会から何も変わっていませんか
【さいとう議員】コロナ時代の学校のあり方について、少人数学級を広げていくことに関して教育長の認識から伺います。
 教育長は、6月定例会でわが党のさはし議員の質問に、「少人数学級のさらなる拡大について慎重に判断する必要がある」と否定的な答弁をされました。河村市長も「人数だけの問題ではない」として、少人数学級の必要性について明言されませんでした。その後、少人数学級をめぐる動きはどうでしょうか。
 7月3日、全国知事会、全国市長会、全国町村会の3団体は

、文部科学大臣に対し、現行の小中学校の40人学級では新型コロナウイルスの感染防止は困難だとして、公立小中学校で少人数学級を早急に導入するよう求める緊急提言書を連名で提出しました。7月8日の経済財政諮問会議では、経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案に、「三密」対策として小中学校での少人数指導体制の整備が盛り込まれました。また、7月30日には、学校の現場から、小・中・高・特別支援学校の校長会会長が、文部科学大臣にきめ細かな指導が可能になる少人数学級の検討を求めました。9月1日の会見で文部科学大臣は、「リーダーが交代しても少人数学級の重要性が変わることはない」として「来年度予算に反映させるよう準備を進める」と述べています。9月8日に初会合を開いた首相の私的諮問機関である教育再生実行会議の初等中等教育ワーキング・グループはポストコロナ期も見据え、「新しい生活様式」を踏まえた少人数によるきめ細かな指導体制や環境整備が急務とする方向性を確認し首相に答申する、と報道されています。
 しばらくは、コロナと共存せざるを得ない状況の中、現場の校長先生たちからの要望も受け、国や文部科学省も含めて少人数学級の必要性については共通の認識がつくられつつあると思われます。
 そこで、教育長にお尋ねします。教育長の認識は6月議会から何も変わっていませんか。最近の議論の動向を踏まえて、あらためて、伺います。

慎重に判断する必要があるという認識は変わらない(教育長)
【教育長】少人数学級のさらなる拡大は、先の6月定例会で答弁した通り、慎重に判断する必要があると認識している。

子どもの学びや心のケアのためにも、感染対策のためにも、30人学級を3年生以上に拡大を
【さいとう議員】教室での「三密」を避けることは感染予防の基本です。6月議会では「密」を避けるためにも少人数学級が必要ではないか、と何度尋ねても、教育長は、文部科学省のマニュアルに従い、マスクの着用、手洗いの徹底、教室における身体的確保等行いながら、感染防止に努めているから大丈夫との答弁に終始しました。
 この対策で学校への不安は解消されたのでしょうか。ここ名古屋では、夏休み明けにのべ2,000人を超えるコロナ感染への不安による欠席の子どもたちが生じました。感染拡大防止のため、マスクをしての授業、友だちと距離を取りながらの学校生活、おしゃべりしてはいけない給食時間など、今までとはあまりに違う学校生活です。小学校3年生の女の子は、「授業中でもつらいときはマスクをはずして思いっきり呼吸をしたい」と話してくれました。ある調査では「手にばい菌がついていないかといつも気にしている」「ちょっとしたことでもすぐ泣くようになりました」など保護者は子どもたちの様子を心配し、元気そうに見えても、子どもたちは心に不安を抱えていると現場の先生は話しています。手洗いやマスクだけでは学校で感染することへの不安が解消されていません。全国的には、分散登校が終わり不登校になるケースも生まれてい

ます。子どもたちが長時間過ごす教室は、できれば身体的距離を2m近くとれるよう、せめて、物理的にも安全な空間をつくるべきではありませんか。
 加えて、教育委員会が各学校に送った事務連絡には、子ども応援委員会からの「長期的・継続的な心のケアが必要となります」との指摘が掲載されています。子どもたち一人ひとりにていねいに寄り添うことが以前にもまして重要だと教育委員会も認識しているのではないですか。子どもたちと保護者の不安を少しでも解消し、感染リスクが下がる空間にするために、1つの教室は20人~30人規模の学級編成とせざるを得ないのではありませんか。 教育長にお聞きします。「文科省のマニュアルに従い、感染防止に努めている」と6月議会で答弁されましたが、子どもの学びや心のケアのためにはもちろん、感染対策のためにも少人数学級は必要です。現在の小学校1・2年生で実施されている30人学級を全学年に拡大すべきと考えますが、いかがですか。

          文科省の示すレベル1・2の40人配置

 

         名古屋市が示す40人での対応

文部科学省の「衛生管理マニュアル」等に従い、感染拡大防止に努める(教育長)
【教育長】引き続き、文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」等に従い、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努める。なお、国の動向は今後も注視していく。

 

全国知事会長、全国市長会長、全国町村会長の「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」の指摘と同様の認識か(再質問)
【さいとう議員】コロナを経験し、これからコロナとしばらく共存しなければならない、今までとは違う学校生活においても、6月定例会の答弁と全く変わらず、「慎重に判断する必要」があるとの回答でした。
 教育長は、文部科学省の「衛生管理マニュアル」に従い、新型コロナウイルス感染症拡大の防止に努めるとお答えになりました。しかし、文部科学省の「衛生管理マニュアル」の例示では、1クラス40人の場合、子ども同士の身体的距離を1mも確保できないことが示されています。「新しい生活様式」ということで、スーパーのレジでも1m以上の身体的距離を確保しているというのに、学校の教室だけ、身体的距離と無関係にコロナの前と同じでよいのでしょうか。
 全国知事会・市長会・町村会の3者が連名で出した「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」には、「現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難」で、「子どもたちの学びを保障するためには、少人数学級により児童・生徒間の十分な距離を保つことができるよう教員の確保が是非とも必要」とあります。
 教育長にお聞きします。この緊急提言と同様の認識はお持ちではないですか。 お尋ねします。

緊急提言は認識しているが、文科省マニュアルにそって感染拡大防止に努めている(教育長)
【教育長】全国知事会、全国市長会、全国町村会による緊急提言は認識している。文部科学省「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」等に従い、学校生活の中でマスクの着用、手洗いの徹底、教室における身体的距離の確保等の配慮を行いながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努めている。

教員や教室の確保など人的財政的課題があって、難しいと考えているのか、今まで通りの40人学級で十分だと考えているのか(再質問)
【さいとう議員】全国知事会などの緊急提言については認識しているとお答えになりましたが、少人数学級のさらなる拡大については、「慎重に判断する必要がある」と答弁されました。慎重になるのはどうしてですか。
 本市では、2017・2018年度で少人数学級の検証を行っています。2か年の結果は、児童にとっては「生活面では、30人程度学級の児童の方が、学級に居心地のよさや落ち着きを感じやすい傾向にあった」、教員にとっては、「30人程度学級の方がきめ細かな指導のしやすさや生活習慣の確立の効果を感じた」というのが検証結果の分析です。児童にとっては居心地がよく、教員にとっては、きめ細かい指導ができる。すでに、コロナ時代の学校にふさわしい検証結果が得られているのではないですか。
 教育長に、お尋ねします。コロナの時代の学校には、少人数学級が望ましいとは思うが、教員や教室の確保など人的物理的財政的課題があって、難しいと考えているのか、コロナの時代でも少人数学級は必要なく、今まで通りの40人学級で十分だと考えているのか、どちらでしょうか。

少人数指導やティームティーチングで一定の成果をあげている。マニュアルで感染拡大防止に努めている(教育長)
【教育長】小学校1・2年生及び中学校1年生における少人数学級の実施とともに、教科や学習内容に応じて少人数指導やティームティーチングを柔軟に組み合わせて学習に取り組むことで、一定の成果をあげている。
 文部科学省の衛生管理マニュアル等に従い、学校の新しい生活様式に沿って、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努める。

国に少人数の学級編成と教員の増員を強く求めよ(再質問)
【さいとう議員】少人数学級や少人数指導が一定の成果を上げているというなら、30人学級を3年生以上に拡大するべきです。
「国の動向については、今後も注視してまいりたい」とのことですが、注視にとどまらず、国に対して少人数の学級編成とそのための教員の増員を強く求めるべきではありませんか。

国は少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について検討していると聞いており、動向を注視する(教育長)
【教育長】現在、国において少人数による、きめ細かな指導体制の計画的な整備について検討されていると聞いているので、国の動向を注視していく。
少人数学級の拡大へ踏み出せとしっかり言え(意見)
【さいとう議員】注視するだけでなく、国に対し、コロナ時代の今こそ少人数学級の拡大へと踏み出すべきと強く求めていただきたい。

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