2020年9月議会
さいとう愛子議員の個人質問:②小学校の統廃合計画の見直しを(2020年9月17日 9月定例会)
小中学校の統廃合計画の見直しを さいとう愛子議員
30人以上の「密」な学級にする統合計画は、コロナ時代に逆行する
【さいとう議員】小中学校の統廃合計画の見直しについてお聞きします。
2019年3月に策定した「ナゴヤ子どもいきいき学校づくり計画」に基づいて、教育委員会は、3区7小学校区の小規模校に統廃合の具体案を示し、地域の説明会を行いました。しかし、これからの学校づくりを考えるとき、計画を議論したときは想定もしていなかった、新型コロナウイルスによるパンデミックの収束が見えない中で、学校の統廃合計画をすすめてよいでしょうか。
具体的に、まず地域で説明会が行われた、高坂小学校としまだ小学校の統合計画についてです。
全学年が1クラスの高坂小の児童数は、今年5月1日現在で1クラス14人から21人です。今年4月1日現在の幼児人口から転出入などを考慮に入れずに推計しますと、今後6年間、全学年で1クラス30人以下の少人数学級が継続します。コロナ感染が拡大しても学級を2つに分ける必要はありません。
では、高坂小がしまだ小と統合されたら、1クラスの児童数はどうなるでしょうか。幼児人口から単純に推計しますと、6年後も、3年生以上が40人学級だとしたら、すべての学年で、1クラスの人数は多くなり、4年生は、38人ずつの2クラスに、6年生は、39人と40人の2クラスとなります。コロナ禍のもとで、少人数学級の必要性が議論されている時、今ある小学校をわざわざ廃校とし、「密」な学級編成にする必要はありません。
高坂学区では、小学校の統合計画に疑問を抱いた保護者や学区の住民が「高坂小学校を存続させる会」を立ち上げて、全戸に会の通信を配布するなど、運動されています。同会の通信第3号をいただきました。保護者の方が、「新型コロナの蔓延から学んだこと」と題して、手記を書いておられるので、その一部を紹介させていただきます。
「休校になるほんの1週間ほど前、私は教育委員会のメンバーと小学校の統合について議論をしていました。その後休校になり、あっという間に世の中の考え方は変化しました、『三密を避けよ』が合言葉のようになりましたが、今の学校制度でそれは不可能という議論になり、オンライン授業の需要も出てきました。ソーシャルディスタンスを保つため、1クラスは17人が限界だとも」。「子どもたちがいかに安全で健康的な生活を送れるか。その最低限の条件を考えるのであれば、もうしまだ小に統合するという選択肢はないと思うのです」
教育長には、この保護者のことばを受け止めていただきたい。
教育長にお尋ねします。コロナ時代の学校のあり方を考えたとき、高坂小のように全てのクラスが現在も近い将来も20人程度の学校が、理想的な学校となるとは思いませんか。30人以上の「密」な学級にしてしまう統合計画は、コロナ時代の学校のあり方に逆行するものではないでしょうか。見解を求めます。
次に、守山区の森孝中学校区の統廃合計画です。森孝中ブロックの本地丘、森孝東、森孝西の3小学校は全て小規模校であり、森孝中の場所が中学校ブロックのほぼ真ん中に位置しているからという理由で、3小学校を廃校にして森孝中学校に小中一貫校をつくる計画です。
森孝中の校地面積は16,545㎡、運動場面積は10,258㎡で、今年度は生徒数277人です。今は、生徒一人当たりの校地面積、運動場面積は市内平均よりも広くなっています。南は香流川に面し、三方を戸建て住宅やマンションに囲まれている森孝中学校の敷地は広げる余裕はありません。ところが、3年後の人口推計でみると、森孝の中学生は270人、3小学校区あわせた児童数は、476人、合計746人で、現在の約2.7倍となります。なので、一人当たりの校地面積も運動場面積も、半分以下となってしまいます。「密」を避ける「学校の新しい生活様式」どころか、小学校1年生から中学校3年生まで、体格も行動も違う2.7倍の児童生徒が学校生活を送る場となり、運動場も校地面積も狭くなり、部活が重ならないかなど今より「密」が心配となり、教育条件がよりよくとなるとはとてもいえません。
私たちは、地域にアンケートを配布して、117人の方から回答をいただきました。ある住民の方は、「新型コロナの感染が収まっておらず、少人数の方が理に適っているのでこの計画はなくなったものだと思っていました。こんな時にまだこの計画を進めているなんて信じられません。」と返信がありました。
教育長にお尋ねします。森孝中ブロックの統合計画は、わざわざ児童を集め、学校における「密」を高めてしまいます。
この計画も、コロナ時代の学校のあり方に逆行するものではないでしょうか。見解をお聞かせください。
以上、コロナ時代を生き抜く子どもたちに「三密」でない、学級と学校の生活条件をつくるために、新たな動向をふまえて、答弁を求めて、第1回目の質問を終わります。
小規模校の「人間関係の固定化」「集団学習への制約」など課題解決のため統廃合は必要。感染拡大防止は努める(教育長)
【教育長】小規模校には「人間関係の固定化が生じやすい」「体育の球技などの集団学習などに制約が生じる」といった課題がある。このような課題を解決するため、望ましい学校規模を確保することが必要である。
新型コロナウイルス感染症への対応も感染拡大防止に努めており、保護者や地域に丁寧に説明しながら、統合に向けた取り組みを進めたい。
高坂小をしまだ小に統合する計画に、高坂小の保護者や地域住民の十分な理解が得られていると考えるか(再質問)
【さいとう議員】私は、毎年教育委員会が発行される「なごやの学校」という冊子を楽しみに読ませていただいています。
統合計画で校名が挙げられた小規模校での実践も掲載されていますが、特徴的なのは、小規模校は、縦割りでさまざまな取り組みを行っていることです。「児童は学年の枠を超えて暖かい人間関係を築いている」「全児童を12の縦割りグループにわけ、「毎週金曜日の朝の時間を縦割りタイムとして学年交流を実施している」など、年齢の違う子どもたちが楽しそうに協力し合う姿が目に浮かびます。小規模校ならではの豊かな実践に学ぶ点が大いにあるのではないでしょうか。
統合計画の元になっている「ナゴヤ子どもいきいき学校づくり計画」は2015年に文科省から通知された「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引き」を参考に策定されました。「手引き」では、学校統廃合に関して留意すべき点として、「地域住民や地域の学校支援組織と教育上の課題や街づくりも含めた将来ビジョンを共有し、十分な理解や協力を得ながら進めていくことが大切である」とされています。
教育長、高坂小をしまだ小に統合する計画について高坂小の保護者や地域住民の十分な理解が得られているとお考えですか。
説明会や相談会で伺った意見を参考にして統合に取り組む(教育長)
【教育長】高坂小学校では、昨年12月に「説明・意見交換会」を開催したほか、2月に「保護者相談会」、7月以降も「保護者説明会」や「未就学児保護者相談会」を開催し、保護者や地域住民から様々な意見をいただいている。こうした意見も参考にし、統合に向けた取り組みを進めたい。
統合ありきで、話を進めるのは問題。「統合案は受け入れられない」が地域の声
【さいとう議員】教育長は、理解が得られているとはお答えになりませんでした。このもとで、統合ありきで、話を進めるのは問題です。
高坂小としまだ小の統合計画については、「高坂小の存続を求める会」のみなさんが取り組んでいる高坂小の存続を求める署名が3100筆以上集まるなど、反対する声が広がっています。保護者のみなさんからも、この統合案は到底受け入れがたいとの声が上がっています。
コロナ禍の経験をふまえて、学校のあり方について真剣に考え、統合計画の見直しを求めます。