2020年11月議会

田口一登議員の議案質疑:コロナ禍のもとで奮闘する市職員に非情な賃下げをおしつけ(2020年11月20日 11月定例会)

職員の給与に関する条例の一部改正について
市職員の賃下げに「ほっとした(河村市長)」という市長の非情な発言は撤回を              田口一登議員

河村市長が就任して以来、他の自治体より厳しいのではないか
【田口議員】給与改定の内容は、本市人事委員会の勧告にもとづいて、月例給を0.24%、一時金を0.05月分引き下げるもので、本市職員の平均年間給与は、併せて約3万4千円もの減額になります。

 本市人事委員会の勧告は、国の人事院や他の地方公共団体の人事委員会の勧告と比べて、職員にとってたいへん厳しいものとなっています。
 一時金については、国や愛知県、他の指定都市も引き下げを勧告しましたが、月例給については、現在のところ、国は据え置き、指定都市ではマイナス勧告は仙台市だけで、0.12%の引き下げにとどまりました。9都市は据え置き、他の9都市と愛知県は、まだ、報告・勧告をしていません。
 本市の人事委員会の勧告が、国や他の地方公共団体と比べて厳しいのは、今回だけではありません。

 河村市長が市長に就任した2009年度からの12年間、月例給については、本市ではマイナス勧告が5回もあった一方で、プラス勧告は3回だけでした。同じ時期に国ではマイナス勧告は3回でプラス勧告は6回、愛知県ではマイナス勧告はたったの1回で、プラス勧告が8回もありました。
 そこで、人事委員会にお尋ねします。
 本市の勧告は、今回は月例給まで引き下げを求める内容となっており、過去の勧告も含め、国や他の地方公共団体と比べてたいへん厳しいものになっているという認識はありますか。

調査に基づく民間給与との比較結果によるもの(人事委員会委員)
【人事委員会委員】人事院等と共同して、職種別民間給与実態調査を実施し、職員給与と民間給与との精確な比較を行っており、その比較結果により、給料表に定める給料額を増減することが適当であると認められるときは、適当な勧告をすることとしている。
 本年も含め、本委員会がこれまで実施してきた勧告は、調査に基づく民間給与との比較結果によるものです。

今年度の勧告が実施されると、職員の平均年収は、河村市長就任前の2008年度と比べてどれだけ減少するのか
【田口議員】河村市政の12年間、国や愛知県と比べて少なかった月例給のプラス勧告でさえ、2014年度は課長級以上については引き上げを行いませんでした。また、一時金についても、2016年度は引き上げ幅を圧縮しました。
 引き下げは勧告通り実施し、引き上げは勧告通りには実施しない。こうした12年間で職員の給与は大幅に下がっていると思います。
 今年度の勧告が実施されると、職員の平均年収は、河村市長就任前の2008年度と比べてどれだけ減少しますか。

約81万円の減少(局長)
【総務局長】2008年度の行政職給料表適用者の平均年収が約708万円であり、今年度の勧告を実施することにより約627万円となり、約81万円の減少となる。

週30時間勤務の会計年度任用短時間勤務職員のうち、報酬ランクが一番高い職種の年収はどれだけ減少するのか
【田口議員】職員の給与引き下げは、非正規の職員である会計年度任用職員にも影響を与えると思われます。
 週30時間勤務の短時間の会計年度任用職員の場合、報酬ランクが一番高い職種では、現在の年収からどれだけ減少するのか、併せてお答えください。

約19000円減少する(局長)
【総務局長】報酬ランクが一番高い職種である「企画調整等又は組織管理運営に伴う補助的業務を行う者」は改定前の年収が約316万6千円、職員の給与改定に伴う引下げにより約314万7千円となり約1万9千円の減少となる。

職員の意欲を削ぐ言葉は撤回を
【田口議員】市長は、人事委員会の勧告を受けて、「国が月例給を据え置く中、マイナス勧告が出たのでほっとした」とコメントされました。マイナス勧告に「ほっとした」という市長の言葉を聞いて、コロナ関連の業務が加わり忙殺されながら、コロナ感染のリスクも抱えながら、市民の命と暮らしを守るために奮闘している職員は、心が折れたのではないでしょうか。
 感染拡大防止の最前線で尽力されている保健所・保健センターの職員にたいして市長は、この議場で「医療関係者の方からも『ナゴヤの保健センターは本当に頑張っとる』という声が私の元に届いている」「市民に成り代わり、職員にありがとうと言いたい」と感謝の言葉を述べられました。
 市長、これが本心なら、給与を引き下げ、職員の労苦に報いられないことに胸が痛むのではありませんか。「ほっとした」などという職員の意欲を削ぐ言葉は撤回していただきたい。

撤回するつもりはない(市長)
【市長】保健所、保健センターの皆さんには、地道ですけど、名古屋の健康観察は素晴らしいく、大変な努力をされて成果もあげておられ、感謝していまして、この間、感謝状も贈呈させていただいた。
 どう考えても民間の商売の苦労というのは驚くべきものがある。給料が安いというより仕事がなくなりますから。そういう中で、公務員の皆さんもちょっと下がった、あたりまえで、かえって公務員のみなさんに対する民間の安心感作ると思いますよ。おんなじ気持ちでやるんだと。
 撤回するつもりはありません。

低賃金の非正規職員も含めてコロナ禍で奮闘している職員に賃下げを強いていいのか(意見)
【田口議員】市長は、ほっとしたということは撤回しないといったが、総務局長が答弁したように、年収が300万円ほどしかない非正規の職員も、今回の改定で年間約1万9千円の賃下げになります。この中には、児童虐待対応支援員やひとり親家庭応援専門員といった、子どもやお母さんを応援する職員も含まれます。
 年収2百数十万円台から300万円ほどしかない低賃金の非正規職員も含めてコロナ禍で奮闘している職員に賃下げを強いていいのか。引き続きの質問は委員会に委ねて、質問を終わります。

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