後期高齢者医療広域連合議会 2月定例会 一般質問 ②2割負担に中止を(岡田ゆき子・2021年2月12日)
窓口2割負担の導入について 岡田ゆき子議員
現時点での国の検討状況は
【岡田議員】後期高齢者医療の医療費窓口負担の2割導入についてお聞きします。後期高齢者医療制度は2008年の制度開始当時、年齢で差別する制度への批判から、低所得者の保険料を軽減する「特例軽減」を導入しましたが、安倍政権のもとで、「特例軽減」は廃止し、保険料の引き上げを進めてきました。さらに、医療費の窓口負担を、1割から一部2割に引き上げようというものです。
現在、通常国会が開催されていますが、現時点で窓口負担引き上げについての国の動きをお聞きします。
2月5日に法案が国会に提出された
【給付課長】全世代型社会保障検討会議において検討が進められ、2020年12月15日に「全世代型社会保障改革の方針」として閣議決定された。閣議決定の内容は、①後期高齢者のうち現役並みの所得の被保険者以外の課税所得28万円以上かつ年収200万円以上の基準に該当する方の医療費の窓口負担割合を現在の1割から2割に引き上げること、②施行日は、2022年10月1日から2023年3月1日までの間に政令で定める日とすること、などです。
その後、この2割負担導入を含む「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が2月5日に国会に提出された。
高齢者へどれだけの負担増になるか
【岡田議員】高齢者の暮らしを取り巻く状況については、先ほども紹介しましたが、後期高齢者医療制度においては、「特例軽減」の廃止、高額療養費の引き上げ、また、介護保険料は来年度改定をむかえ、名古屋市については、引き上げ案が示されるなど、立て続けに高齢者の負担増が進んでいます。一方、高齢者は年齢がすすむにつれて複数の診療科や医療機関にかからざるを得ず、受診回数も現役世代よりも多く、年収に対する窓口負担は現役世代に比べれば多い実態があるのではないか。負担しきれないために受診控えが起きているのではないかと考えます。さらに、コロナ禍では、感染を恐れて受診控えしているという実態が、伊藤議員の質疑の中でも明らかになりました。
重症化しないよう、必要な医療を速やかに受けていただかなくてはいけませんし、そのためにも、コロナ終息が本当に求められているわけですが、そうした状況にさらに追い打ちをかけるのが、窓口負担の2割の導入です。新たに医療費負担が増えることで受診控えが一層進むのではないかと危惧しますが、広域連合として窓口負担2割導入の高齢者への影響をどう考えますか。
1人当たり平均3万4千円の負担増。外来の多くは倍加する
【給付課長】国の試算によると、引き上げで、後期高齢者の1人当たり平均患者負担額は、現在の1割負担で8万3千円、2割への引き上げで11万7千円となり、3万4千円の負担増が見込まれるが、高額療養費制度の患者負担に上限があるため、平均額では単純に2倍とはならない。
ただし、上限額に達しない割合の高い外来受診では、引き上げ対象となる被保険者のうち6割の患者負担額が現在から倍増するとの試算もあり、患者負担を2割にする影響は、主に外来受診で生じると考える。
窓口負担2割導入の延期を国へ要請すべきだ
【岡田議員】窓口負担2割にすることについて、高齢者への影響を考え、国に少なくとも延期、再考を求める要請を愛知県広域連合としてすべきと思いますが、考えをお聞かせください。
窓口負担を引き上げる場合は、激変緩和措置や周知期間、丁寧な説明を要望
【給付課長】国への要望は、例年、全国後期高齢者医療広域連合協議会で、厚生労働大臣に要望活動を行っている。直近では、2020年11月12日に提出した後期高齢者医療制度に関する要望書において、窓口負担を引き上げる場合は、激変緩和措置を講じるなど被保険者に配慮するとともに、十分な周知期間を設け、被保険者へ国による丁寧な説明を行うことを要望した。
受診控えの懸念を感じるなら、実施の延期、再考を強く国に要請せよ(意見)
【岡田議員】窓口2割負担の導入による後期高齢者への影響について答弁は、外来受診に関して6割の方が、負担が倍増するということでした。外来受診において、経済的理由による受診控えの恐れがあるということです。「誰もが安心して必要な時に必要な医療を受けることができる」という皆保険制度の根幹を崩す方向に、政府は舵を切ったもので許されません。社会保障審議会の部会でも、医療・高齢者団体などから厳しい批判の声が上がっていました。日本医師会会長は、新型コロナの影響で受診控えがある中、負担割合の引き上げが「さらなる受診控えを生じさせかねない」「高齢者に追い打ちをかけるべきではない」厳しく指摘しています。広域連合も受診控えへの懸念はぬぐえないものとの認識があるのですから、全国協議会とともに、強く実施の延期、再考を国に要請していただくことを求めます。以上で質問を終わります。