2021年2月議会

田口一登議員の代表質問:①新型コロナ危機から市民の命と暮らしを守る取り組み(2021年3月4日)

PCR検査の抜本的拡充など実効性のある対応を   田口一登議員

PCRの一斉検査を定期的に実施し、医療機関や通所施設も対象に加え、職員のみならず入所者にも実施を

【田口議員】新型コロナ危機から市民の命と暮らしを守る取り組みについて4点質問します。
 第1は、PCR等検査を抜本的に拡充し、無症状者を含めた感染者を把握・保護することによって、感染を抑え込むことです。
 新型コロナのやっかいな特徴は、無症状感染者が知らず知らずのうちに感染を広げてしまうことにあります。
 第3波では、高齢者施設や医療機関で感染者が急増しました。こうした施設での集団感染は、重症化や死亡に直結します。市民の命を守るうえで、高齢者施設と医療機関での感染を抑えることは「急所中の急所」であります。
 日本共産党市議団は市長に対して、こうした施設の職員や入所者に対する一斉・定期的なPCR検査――社会的検査の実施を求めてきました。しかし、河村市長は、「PCR検査は感度が7割」という初期に厚生労働省などから出された議論にこだわって、検査によって無症状感染者を把握・保護するという、積極的な検査戦略を持ってきませんでした。
 2月に入って厚生労働省が、高齢者施設等の職員にたいする集中的な検査の実施を促す通知を出したことによって、本市も、高齢者・障害者の入所施設の職員を対象に、3月中にPCR等検査を実施する予定です。これは一歩前進ですが、3月中という期間限定であり、対象も入所施設の職員に限定されています。
 市長、高齢者施設などでの一斉検査を4月以降も定期的に実施するとともに、医療機関や通所施設も対象に加え、職員のみならず入所者にたいしても実施するお考えはありませんか。お答えください。

4月以降は感染状況に応じ、定期的に検査するとされている。感染状況を注視し、県と連携しながら、必要に応じて検討したい(市長)
【市長】寄付された1万個の検査キットを活用して2月に高齢者入所施設等の職員に対する検査を実施した。3月にも国の通知を受けて、市内の高齢者入所施設等の職員を対象として検査を実施する方向で検討を行っている。
 4月以降は、必要と認められる場合は定期的に検査を実施するとされており、感染状況を注視し、愛知県と連携しながら、必要に応じて検討したい。

中小事業者への家賃補助を
【田口議員】第2は、コロナ禍で苦境にあえいでいる中小事業者への家賃補助を実施することです。
 日本共産党市議団は、昨年の秋から市政アンケートに取り組んでいまして、アンケート用紙を市内60万世帯ほどに配布したところ、1万4千通を超え回答が返信されています。
 このアンケートでは、中小事業者のみなさんからも、切実な声が寄せられました。その中には、「コロナでインバウンドがなくなり、売り上げが激減し、収入が減っているのに、店舗の家賃は上がり、この先、支払えるか日々不安です」とか、「家賃を払わなければいけないが、コロナのため営業ができない業者には、家賃の免除や減額をするようにしてほしい」など、家賃補助を求める意見もありました。
 神戸市は、国の時短協力金や一時金の対象となった中小事業者で、売り上げと協力金等の合計が前年比で半減している事業者を対象に、店舗、事務所、工場、倉庫などの家賃の半額を「家賃サポート緊急一時金」として補助します。
 そこで市長にお尋ねします。私たちのアンケートでは、「事業者への市独自の給付をやるべき。河村さんがよくいう中小零細への手厚さがない」という意見もありましたので、こうした声にこたえて本市独自に中小事業者への家賃補助を実施したらどうでしょうか。

日本一使い易い融資制度(市長)
【市長】神戸を勉強したが1か月なんだな。まだ審議中ということで、やれればあれですが。名古屋の場合は、信長資金とかで5,540億円の申し込みをいただいている。ものすごいお金を金融機関と一緒になって事業者の皆さんに供給している。日本一使い易い融資制度をもったナゴヤ、信長が生きとったらどえりゃあ喜ぶと思いますよ。

生活保護の申請の促進について・・・・生活保護制度の積極的な広報を
【田口議員】第3は、生活保護の申請をしやすくすることです。
 私たちのところに、仕事を失うなどして困窮した人たちからの相談が増えています。所持金が底をつき、活用できる資産もない方には、生活保護を申請するよう進めていますが、「生活保護は受けたくない」という方が少なくありません。
 厚生労働省は昨年来、生活保護の利用を促進するために、「生活保護の申請は国民の権利です」というPRを強めています。パネルをご覧ください。お手元にもお配りしました。厚労省のウェブサイトの「生活保護を申請したい方へ」というページでは、「生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と呼びかけ、「持ち家がある人でも申請できます」などと、申請についての誤解を解いています。
 一方、本市の「生活保護のご案内」では、パネルの裏面ですが、「生活保護は国民の権利として受けることができます」としながら、「が」という接続詞のあとに、「生活保護を受けるにあたっては次のような決まりがあります」と続けています。「決まり」として、「活用できる資産は、処分して生活費にあててください」などと書かれており、これを読んだら、持ち家を持っていたら申請できないと思うのではないでしょうか。
 そこで、健康福祉局長にお尋ねします。生活保護制度についての厚労省の案内と比べて、本市の案内は、生活保護の申請をためらわせる内容になっていると思いませんか。生活保護利用の資格がありながら申請をためらうことのないよう、「生活保護のご案内」の記述を改めるなどして、生活保護の申請は国民の権利であることを積極的に広報するべきではありませんか。

「生活保護のご案内」を改定し、制度や施策をより一層わかりやすく周知できるよう作業を進めている
【健康福祉局長】憲法は、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると規定している。この最低限度の生活を保障するものが生活保護制度であり、要件を満たす限り、誰でも無産別平等に受けることができる制度となっている。
 市のホームページに生活保護の案内を掲示するなどして周知している。制度の仕組みや各種社会保障施策等について説明を行うために窓口での事前の相談が大切と考え、「生活保護のご案内」では、各区、支所の担当課に相談するように案内している。
 「生活保護のご案内」は適宜見直しを行っていが、作成から相当年月が経過しており、見直しを必要とする内容があることも承知している。既に「生活保護のご案内」の改定作業に着手しており、制度や施策をより一層わかりやすく周知できるよう、改正すべく、昨年度から他都市の状況を調査するなど作業を進めている。

扶養照会の撤廃を
【田口議員】申請をためらわせる要因となっているのが、扶養照会です。福祉事務所が生活保護申請者の親や配偶者だけでなく、兄弟、孫などの親族に対し、生活の援助が可能かどうか問い合わせる。これが、「家族に知られたくない」など、生活保護申請の一番のハードルになっています。
 貧困問題に取り組む団体などから扶養照会の撤廃を求める声が上がり、田村厚生労働大臣は国会で「扶養照会は義務ではない」と明言しました。
 健康福祉局長、生活保護利用での扶養照会をなくすよう国に求めていただきたい。また、申請者が事前に承諾し、明らかに扶養義務の履行が期待できる場合に限るよう、本市での運用を改善していただきたい。答弁を求めます。

扶養義務の取扱いについての改正で示された、個々の要保護者に寄り添った対応を行い、適切な制度運営に努める
【健康福祉局長】民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは、その扶養を生活保護に優先させることになっている。扶養調査は、戸籍謄本等で扶養義務者の存否の確認をし、要保護者などから聞き取り等の方法をとり扶養の可能性を調査する。
 要保護者の生活歴等に特別な事情がある場合やDV被害者等を除き、扶養義務者に対し扶養を求め、扶養の可能性が期待される者には、金銭的な扶養だけでなく、定期的な訪問や電話、手紙のやりとりなど、精神的な支援の可能性の可否について、扶養義務者の家族構成、職業、収入等の調査をしている。
 今年2月26日付で、国が扶養義務の取扱いを改正し、扶養に関する調査について、扶養義務履行が期待できず扶養照会を行わない者の判断基準がより具体的に示された。市としては、改正の趣旨を踏まえ、要保護者の相談に当たっては、今後とも丁寧に生活歴等を聞き取り、個々の要保護者に寄り添った対応を行ったうえで、適切な制度運営に努める。

リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金をコロナ対策へ活用しましょう
【田口議員】第4は、リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金のコロナ対策への活用です。
 名古屋市は旧新明小学校跡地の半分を売却して、リニア関連開発のための基金に100億円積み立てました。リニアの2027年開業は困難になっており、名鉄名駅再開発計画も見直しを迫られ、本市が主導する名古屋駅前開発に影響が生じています。リニア関連開発は見直すべきであります。
 そこで、このリニア基金の100億円は、喫緊の課題であるコロナ対策に回し、市民の命と暮らしを守るために活用することを提案します。市長の答弁を求めます。

自治体はお金を使う、回すように考えないと福祉はいっぺんにつぶれてしまう
【市長】共産主義ではないので。商売やっている人は恐なって2割3割、経済が一変に縮小してしまう。貯金ばっかで投資をやめておこうという風に一気に振れる可能性ありますよ。やっぱり自治体というのはお金を使うほうに回すように考えないと福祉はいっぺんにつぶれてしまいますよ。経済力をいっぺん弱めると。という風に考える。

 

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