個人質問 岡田ゆき子議員 (11月26日)

条例」改善し、子ども達の「おひさま」守れ
      中高層マンション建設で幼稚園等が日影に

 岡田ゆき子議員は11月26日の本会議で、今年3月に判決があった「おひさま」裁判を取り上げ、中高層建築物から子どもたちの日照を守るため、市条例の改善を求めました。

「協議」形骸化を指摘した判決

 裁判は、民間幼稚園(中区)に隣接する高層マンションによって日照が著しく損なわれたとして、園と園児らが事業者を訴えたもの。教育施設等の日照に影響を及ぼす建築の場合、市の建築紛争予防条例は事業者に施設との「協議」を義務付けています。判決は条例に言及したうえで、「児童の最善の利益」をもとに「(事業者側が)日照について配慮すべき義務を十分尽くすことを怠った」と認めました(裁判は結審)。
 岡田議員は、判決では条例の趣旨に沿った「協議」は行われなかったと指摘している点に触れ、「市は条例に基づき、事業者に真摯な協議を行うよう十分対応したのか」と質問。住宅都市局長は「事業者側に、園側と十分に協議するよう求めてきたが、協議での解決に至らなかったのは残念」と述べました。

「判決を参考に運用したい」(局長)

 岡田議員は今回の事例について、「園庭で遊ぶ時間帯の日照は重要であり、『協議』内容は、これに十分配慮した建築計画に近づけるためのものであることが、事業者側に伝わっていなかったのでは」と指摘。 そのうえで「『協議』の趣旨を事業者に理解させるために、例えば、”子どもに日影が与える影響を関係者から実情を聞き、対応策を話し合う”等、『協議』の定義を条例に明記すべきではないか」と提起しました。
 住宅都市局長は「今回の判決も参考としつつ、引き続きこの条例の趣旨を踏まえ適切に運用していきたい」と答えました。

子どもの利益守ってこそ、街も発展

 岡田議員は、「判決が全国から注目されたのは、子どもの最善の利益を保障するために、紛争防止の調整役として、行政の役割を求めた点にある。『おひさま』という、子どもにとって最善の利益が守られる街づくりをすすめてこそ、名古屋の人口も増え、街も発展する。条例を形骸化させないために、条例の中身や要項も充実すべきだ」と求めました。

障害者・高齢者施設の「一人夜勤」解消は急務

 岡田議員は、障害者・高齢者施設の「一人夜勤」解消に向けた市独自の支援制度を求めました。

9割が職員一人で夜勤

 岡田議員は、全国福祉保育労働組合東海地方本部と愛知県医療介護福祉労働組合連合会が共同で行なった、「介護・障害職場の夜勤実態アンケート」(9~10月、回答数207)の結果を紹介(囲み参照)。9割が「一人夜勤」を強いられている実態や、市内の高齢者施設で昨年11月、一人で夜勤中の職員が急死し、翌朝、別の職員が出勤するまで利用者の介助をできなかった事例に触れ、「実態把握が必要ではないか」と求めました。
 健康福祉局長は「福祉関係団体との意見交換等を通じて把握しており、国にも伝える」と述べました。

 岡田議員は、「一人夜勤」を解消することは①働く人を守る②利用者の安全を守る③離職防止につながる、として、夜勤の複数配置が可能な報酬体系を国に求めると同時に、市独自の支援策を提案しました。
 健康福祉局長は「適正な報酬は国に要望している。障害者グループホームは市独自の補助が様々あり、基準以上の職員を配置した際にも活用できる」と答弁。
 岡田議員は「そもそも障害者グループホームの夜勤人員配置基準がないことが問題。夜勤体制加算だけでは、一人夜勤の確保でも精いっぱいで、結局、複数体制は、事業所の持ち出しや職員の過重労働に依拠せざるを得ない。市の現行の補助制度は優れているが、夜勤に焦点を当てた独自策があれば、安心して働く環境がつくれ、人材の確保や定着につながる」と述べ、検討するよう求めました。

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