2022年2月定例会
江上博之議員の議案質疑①(2022年2月25日)
高速道路公社への建設資金貸付金についてーーー住民の理解と納得を得ないIC拡張は約束違反です 江上博之議員
移転交渉が長引いている。「住民の理解と納得を得る」との確認事項は守るのか
【江上議員】高速道路公社への建設資金貸付金の繰越が10億1,500万円。繰越理由は、「建物所有者や地権者との交渉に時間を要している」というものです。
黄金インター拡張だけ見ても、地階者は40軒近くあります。この地域は、ささしまライブ地区の南西に位置し、北は高速道路が東西に走り、南は黄金陸橋から上前津へ向かう名古屋市道岩井町線が東西に走っています。あおなみ線ささしまライブ駅へは歩いて10分程度。買い物は、スーパーが近くにあり、医者も近くにある高、齢者に住みやすい地域です。そこへ、40年前高速道路建設があり、150軒以上が移転となり、そのうちの5軒が、今回移転先からさらに移転を求められています。その1軒は、高齢夫婦で小売店を営んでいますが、2度目の移転の話があった後、後継者がなくなられ、自宅まで移転とは、と嘆いています。1人暮らし高齢者が6軒あり、1人は終の住まいのリフォームをした高齢者も、息子さんをなくされ、1人住まいを覚悟してのリフォームです。長屋の1人暮らしの方も家族との関係をどうするか。80歳を超えて住み慣れたととろを移転し、その後どう生活していくか大変です。
さらに、インター拡張による岩井町線への接続道路で、地域は東西に分断され、自動車公害で残る世帯にも影響します。岩井町線への接続で信号待ち時間が増え、渋滞も心配されます。これだけの犠牲を払ってまでして新洲崎、丸田町の事業と合わせ約1200億円もかけて行う事業でしょうか。
そこで、住宅都市局長に質問します。移転交渉が長引いている理由、内容をお答えください。愛知県議会、名古屋市議会で都市高速建設にあたり3条件8項目の確認があります。その中で、「住民の理解と納得を得る」とあります。交渉にあたって、この確認は守ることを改めて明らかにしてください。
丁寧に説明を重ねながら事業を進めたい
【住宅都市局長】名古屋高速道路公社が移転対象となる方々に移転先の斡旋など丁寧な対応に努めている。都市計画変更では本市が地元説明会や意見交換会、個別の会合などを重ねてきた。事業化の時に公社が事業説明会を開催し、事業の必要性と補償について地域の関係者に説明を行っている。その後も、地域の求めに応じて説明を重ねている。今後も引き続き、公社と共に、丁寧に説明を重ねながら本事業を進めたい。
高齢者を含め地域の人たちを 不安にする事業は中止を(意見)
【江上議員】都市高速道路拡張事業は、住民の理解と納得が得られていないから移転交渉が長引いているわけです。高齢者を含め地域の人たちを不安にする事業はこれ以上進めるべきではありません。中止を求めます。
参考【3条件8項目】
◎昭和45年5月25日名古屋市議会都市開発整備促進部会及び建設清掃部会において、次のような要望が付された。これを「3条件」と称している。
(1)都市高速道路に面する沿線住民は、直接的な利益を受けることなく、むしろ実害をこうむることになると考えられる。したがって都市開発の犠牲となるこれらの住民には、従来の補償基準にこだわらず、犠牲度を十分救済できるような格別の配慮をはらうべきである。
(2)都市高速道路の建設は今後10か年にわたって施行される予定である。しかしながら、発展する都市の状況並びに輻輳する交通量等から、将来の実情に応じて変更の必要が生ずることも考えられる。したがって、計画決定後といえども当初決定にこだわらず最善の方途を講じて、万全の対策を樹立し、建設にあたるよう努力を払われたい。
(3)直接住民の利便に供する交通機関の設置等のほか、都市高速道路と相互に関連する道路網の充実を図り、将来の都市交通に対応できるよう積極的な努力を払われたい。
◎昭和47年3月22日の愛知県議会土木建築委員会において、委員から次のような発言があった。これを「8項目」と称している。名古屋都市高速道路の基本計画を審議した際、 住民を守る立場から今日の状況を予想して3条件を付した。しかし、現状は当時の予想をはるかに上回り光化学スモッグ等による交通公害などの 生をみた。しかるが故に3条件が明確に実施されなければ認めるわけにはいかない。さらに現下の問題として次の事項について十分な配慮をすべきである。
(1)住民の理解と納得を得る。
(2)大衆輸送機関の早期建設(高速鉄道、バスレーン、パークアンドライド方式、公共駐車場の充実)
(3)第2環状線の早期建設
(4)渋滞地帯の解消
(5)交通安全、交通規制の強化(生活道路確保)
(6)公害の防止
(7)都市環境との調和
(8)総合交通対策の確立
キーワード:環境と防災、まちづくり、大型開発・ムダ遣い見直し、江上ひろゆき