後期高齢者医療広域連合議会 2022年2月定例会 請願審査(さいとう愛子議員・2022年2月14日)
保険料減免や傷病手当の拡充をなど、後期高齢者のいのちと健康を守る立場からも必要なことばかり さいとう愛子議員
コロナの中、高齢者に寄り添った対策を
【さいとう議員】ただいま議題となっております、請願第1号「後期高齢者医療制度の改善を求める請願書」について、賛成の立場で討論いたします。
新型コロナウイルスによる感染は、第6波となり今までにない最悪の感染状況です。高齢者は重症化しやすく命の危険にさらされかねません。2年以上に及ぶコロナ禍の生活によって、外出を自粛せざるをえなくなり、友人と交流することもままならない日常となって、高齢者にとっては特に心身共に負担が大きく、生活全般に及ぼす影響がたいへん心配されます。いまだコロナの収束が見えない中、高齢者に寄り添った対策が引き続き求められています。
以下、請願に対する主な考えを述べます。
保険料の引き上げは低所得者にしわ寄せ
後期高齢者の保険料は、制度発足当時より17,000円を超える大幅な引き上げとなっています。低所得者ほど負担が重くなる今回の均等割保険料の引き上げも、剰余金を活用すれば、食い止めることができる可能性がありました。国の保険料軽減特例もすべて廃止され、低所得者にしわ寄せがいき、生活の困難さに拍車がかかる保険料の引き上げはやめるべきです。
減免制度の改善は必要
また、議論にあったように、葬祭費・審査事務手数料などについて一般財源を繰り入れている東京都のように独自で軽減を行うことを求めます。
昨年から2年続いてのコロナ禍は今まで経験したことのない長期にわたる災害的な状況と言えます。新型コロナウイルス感染症の影響による収入減少の保険料減免制度について、前年所得ゼロの人が対象とならないのは制度上の不備であり改めるべきです。
高齢者の負担が大きい窓口負担の引き上げ 窓口の2割負担の導入について、昨年11月に全国後期高齢者医療広域連合協議会が厚労大臣に要望書を提出し、「窓口負担割合の見直しに関しては、被保険者・医療機関に混乱が生じることのないよう十分に配慮するとともに必要な財政支援を確実に行うこと」を求めています。後期高齢者に過度な負担を負わせる窓口負担の2倍化はやめるべきであり、本広域連合からも意見書を国へ提出し、あわせて財政支援の拡充などを求めるべきです。
懇談会の委員は県国保運協のように公募で
後期高齢者医療制度にたいする意見を広く聞く場として懇談会がありますが、被保険者の切実な声を反映させるため、限定した対象者にしか公募の権利を与えない特殊な公募方法を改め、愛知県国保運営協議会のように広く公募を行うしくみに改めるべきです。
請願は採択を
以上、コロナ禍における切実な要望であり、高齢期を安心して暮らすことができるよう改善を求めるこの請願に賛成し、採択をお願いし、討論を終わります。
後期高齢者医療制度の改善を求める請願書
【請願趣旨】
愛知県の保険料は、前回の改定で大幅に引き上げられるとともに、国の保険料軽減特例の廃止により、高齢者の生活に深刻な影響を与えており、次期保険料改定では、大幅な引き下げが求められます。
新型コロナウイルス対策として、収入減少世帯に対する保険料減免制度や傷病手当支給が講じられていますが、新型コロナウイルス対策に限らず、恒常的な制度として、保険料減免や傷病手当の支給が必要です。愛知県内の国民健康保険では、44市町村で低所得者に対する独自の減免制度が、51市町村で収入減を理由とした減免制度が実施されていますが、75歳を迎えるとその減免が受けられなくなってしまうのは問題です。
国においては、後期高齢者の窓口負担割合引き上げなどの動きがありますが、愛知県後期高齢者医療広域連合議会として、国庫負担割合の増加や患者窓口負担増の中止を求める意見書を出すなどの取り組みを求めます。
私たちは、後期高齢者のいのちと健康を守る立場から、当面、次の事項の実現を求めます。
【請願事項】
1.2022年度改定では、保険料を引き上げないでください。
2.葬祭費・審査事務手数料は、愛知県と市町村の一般財源の繰り入れで給付してください。
3.新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が減少した世帯の保険料減免制度について、次の点を改善してください。
①傷病を限定しない恒常的な制度としてください。
②前年比10分の3以上という収入減少の要件を緩和してください。
③収入減少世帯の保険料減免制度で、前年所得がゼロの人が対象とならないのは制度上矛盾しています。国に改善を求めてください。
4.新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対する傷病手当金について、次の点を改善してください。
①対象に事業主を加えてください。
②新型コロナウイルス感染症以外の傷病についても、傷病手当金の対象としてください。
③対象者について、感染者(疑いを含む)のみならず、濃厚接触者も対象者に加えてください。
5.保険料未納者への「短期保険証」の発行はやめ、「財産の差し押さえ」は行わないでください。
6.愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会の公募委員は、無作為抽出によるものでなく、愛知県国民健康保険運営協議会と同様に、広く被保険者から公募するよう改めてください。
7.国に対して、次の項目の意見書を提出してください。
①後期高齢者の窓口負担割合の2割への引き上げをしないでください。
②後期高齢者の金融資産の保有状況等を勘案した負担の導入をしないでください。
③定率国庫負担割合の増加等、国による財政支援を拡充してください。
キーワード:福祉・介護・医療、税、地方自治体と住民参加、さいとう愛子