2022年2月定例会

さはしあこ議員の個人質問①(2022年3月7日)

緑市民病院を地域密着型の病院に

住民ニーズに応える「地域密着型」病院として、さらなる充実を
【さはし議員】名古屋市立緑市民病院は、2012年度に指定管理者制度導入により、医療法人純正会が指定管理者となりました。11年間の指定管理期間が終了し、今度は来年4月から、名古屋市立大学医学部附属病院となる予定です。
 私は、10年前「緑市民病院は、地域住民の医療ニーズに的確に応えてこそ、患者も増え、住民の安心・安全、健康も守られる。緑市民病院を公立公営で続けてほしい」と求めました。
 名古屋市立大学病院には、私が小学生の時、大変お世話になったことがあります。高熱によって鼻の血管が切れ、鼻からも口からも出血が止まらず、近所の耳鼻科に電話しましたが、その日は耳鼻咽喉科の学会でどこの病院にも医師がいませんでした。すがる思いで市大病院に電話したところ、すぐ受け入れてくれ、病院の裏で5、6人の医師・看護師が待っていてくれて、すぐに処置をしてくれました。大事に至らず、私も両親も今でも、とても感謝しています。
 今回、緑市民病院が、名古屋市立大学病院医学部の附属病院となることについて、医師や看護師も増え、立派な病院となると期待の声があります。ところが、現実には、国による病床削減の流れのもとで、病床数95床の削減の方向が示され、現瞬間では、時間外の救急車受入が一時休止となっています。
 緑市民病院が、これからも安心して命をあずけることができる病院として、住民のニーズに応える「地域密着型」の病院として、さらに充実させるべきです。

地域ニーズを直接反映させてきた「運営協議会」
 第一に、緑市民病院運営協議会についてです。緑市民病院は、指定管理者制度が導入された10年前に、日常的に緑市民病院の問題を協議できる場、市民の声を病院運営に反映する場として「運営協議会」が設けられ、年に2回定期的に開催してきました。
 運営協議会は、市立大学病院長、患者・市民の代表として緑区区政協力委員協議会議長、緑区社会福祉協議会会長および緑市民病院のよりよい医療を願う会代表、緑区医師会会長と副会長、緑区保健福祉センター所長、緑区保健福祉センター福祉部長、緑市民病院長(純正会代表)で構成され、さらにはオブザーバーとして本市も入れて10名が参加しています。
 協議会に参加している、ある委員は、「運営協議会の会議の中で、患者の声を反映するために待合室にポストを置いたらどうかとの提案に対し、早速ポストが設置された。受診時の病院の対応がまずいという意見が寄せられ、改善されてきた。コロナ禍で、会が約1年間開かれなかったが、附属病院化がすすめられていることから、会の開催を提案したところ、すぐに開かれた」と言われました。さらに「この運営協議会は、病院関係者や医療に携わる専門家や地域、さらには患者など、幅広い各会の関係者が一堂に集まり、様々な形の声が直接、病院の運営に反映され改善されてきた」と話してくれました。こうした地域のニーズを医療に直接反映する先進的なしくみは、本市の宝ではありませんか。
 この運営協議会は、住民から約16,400筆の署名とともに請願が出され、市議会において、平成23年の請願審査で「日常的に緑市民病院の問題を協議できる運営協議会を設置して、市民参加ができる事業については市民に問題提起をし、地域の声を生かすこと」を議会が全会一致で採択し、設置されたものです。

市大附属病院移行後も「運営協議会」の機能を残すべき
 緑市民病院が附属病院となっても、運営協議会のようなしくみは必要です。名古屋市立大学医学部附属病院となるにあたり「地域のニーズに的確に対応した医療を提供すること」を掲げています。緑市民病院は、1945年鳴海町国民健康保険組合診療所の20床から始まり、1963年に愛知郡鳴海町が名古屋市と合併し、名古屋市立緑市民病院となった歴史的背景もあり、長年にわたり住民に愛されてきた病院です。
 東部・西部医療センターにはない、緑市民病院で培ってきた地域のニーズに的確に対応できる魅力を積極的に打ち出してはいかがですか。
 地域のニーズとして市民の声を直接把握し、病院の運営に反映できる「運営協議会」としての機能を引き続き残していただきたい。

様々な方から意見を聞くことは非常に意義がある(局長)
【健康福祉局長】利用者をはじめ様々な方々から、職員の接遇などのご意見をいただき、日々改善に取り組んでいくことは、病院がより良い医療を提供していくにあたり、非常に意義のあることです。
 緑市民病院の運営協議会は、名古屋市で初めて市立病院に指定管理者制度を導入するにあたり、指定管理者が地域住民との信頼関係に基づき管理業務を円滑に実施するため、地域の代表者等を含めた運営協議会を設置することを、市と緑市民病院の指定管理者との間で締結した基本協定書に定めたものです。
 市立大学の各附属病院では、直接職員に意見等をいただくほか、意見箱の設置や入院・外来患者を対象としたアンケートを実施するなど、様々な視点から意見等をいただき、運営に反映させている。
 緑市民病院での利用者の要望等への対応は、他の附属病院の状況等を踏まえ、市と市立大学とで協議していく。

感染症や自然災害に対応できる病院へリニューアルを
【さはし議員】施設について、区民から、附属病院となるにあたって「緑区25万人の中核病院への変身が必要。急性期と回復期に対応でき、南海トラフ地震など大災害に対応できる市民のことを第一に考える総合病院となって新装開院してほしいと願う」との声が寄せられています。
 災害時に対応した病院が求められています。新型コロナの収束も見通せていませんが、現施設は、感染症に対応した施設とはなっていません。感染症に配慮した病棟(気密性、陰圧など)、感染症や自然災害に対応できる機能が必要です。この間、建物の増築が繰り返されてきましたが、建物の境目から雨漏りしているとの指摘もあり、老朽化対策はまったなしです。
 地球規模の課題となっているカーボンニュートラルを市全体ですすめていく中で、緑市民病院においても、再生エネルギー等(低炭素削減)を活用した防災時スマートエネルギーシステム導入や地域マイクログリッド構築(災害による非常事態でも自力で電力供給できるシステム)などの導入にも取り組んでほしいと思います。
 そこで、おたずねします。この地域の医療を担う公的病院として、災害に強く、環境にもやさしく、感染症に対応できる病院へと思い切って施設をリニューアルすることも重要と考えますが、見解をお伺いします。

【参考】緑市民病院及び厚生院附属病院の
名古屋市立大学医学部附属病院化に向けた協定書
1 締結日  令和 3 年 11 月 11 日(木)
2 協定の主な内容
 ・本市が設置する緑市民病院及び厚生院附属病院を、名古屋市立大学医学部の附属病院とする
 ・附属病院化の時期は、令和 5 年 4 月1日を目標とする
3 附属病院化後の各病院の将来像
(1)緑市民病院
 ・市民のニーズに的確に対応した、高度で安全な医療の提供
 ・地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた取り組み(市民の健康づくりの支援、地域の医療機関の後方支援)
 ・地域医療を支える医療人の育成
(2)厚生院附属病院
 ・高齢化の更なる進展を見据えた先駆的な高齢者医療の提供
 ・市民の健康長寿に資する研究や、地域包括ケアの拠点としての臨床・イノベーションョンの推進(新たに研究施設を設置)
 ・高齢者医療・介護を支える人材の育成

病院全体を踏まえた対応が必要になるので、慎重な検討が必要(局長)
【健康福祉局長】緑市民病院の本館は昭和44年築、南館が昭和63年築、北館が平成10年築となっており、本館は築50年以上が経過しており、施設・設備の老朽化が進んでいる。
 病院をリニューアルするには、病院運営の観点から、北館、南館を含め病院全体を踏まえた対応も必要となり、慎重な検討が必要になる。
 まずは、2023年4月の市立大学医学部附属病院への円滑な移行にむけて最大限努力していく。

市大移行後も地域との信頼関係を大切に(要望)
【さはし議員】「利用者をはじめ様々な方々から意見をいただくことは、非常に意義のあることだ」との認識を示していただきました。その通りです。他の病院にない特徴を大事にして下さい。
 運営団体が変わったとしても地域との信頼関係を引き続き築いてほしい。市民は災害、コロナ、環境に対応した施設も望んでいます。このような地域の声も聴きながら、頼りになる病院を地域とともに育てていただきたいと思います。

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