2022年2月定例会

さはしあこ議員の個人質問②(2022年3月7日)

都心と緑区を結ぶバス路線をなくさな

通勤、通学、買い物、通院などに欠かせない日常生活の足 高速1号系統
【さはし議員】「栄行きの高速バスが廃止されるのは本当なの?」と驚きとショックが混じった声で、私のもとに何人もの方から次々と声が寄せられています。その後も「廃止されたら困る」と悲痛な声が届いています。
 4月から全市的に実施される路線の再編成によって、緑区においても路線が大幅に見直されます。新しい道路の開通や敬老パスの私鉄への拡大などで鉄道駅への乗り入れが向上するなど市民の要望等が一定程度反映され、評価できる路線編成もある一方で、森の里団地から栄までの高速1系統については、今回廃止されることが明らかになりました。
 高速1系統は、1979年の名古屋高速の開通にともない、翌年、郊外と都心を直結する目的で開設され、42年間、市民の足として高速道路を走行してきたユニークな路線です。森の里団地から栄行きの高速1系統のバスの停留所が新設され、乗り換えなしで行けるこの路線は、便利で魅力的です。
 このようなバスがこの4月から廃止されるというのです。
 市バスは、市民にとって、大切な足であり、通勤、通学、買い物、通院などに欠かせない日常生活そのものです。30分おきの運行が1時間に1本の運行になるなどバスの時刻が変わるだけでも大事です。それが、みんなが頼りにしている慣れ親しんだ路線が突然廃止となれば、その比ではありません。
 「路線を廃止しないで」との思いから、利用されているみなさんから声が寄せられています。「コロナ禍であっても、平日の始発6時から9時頃までは、学生、会社員、高齢者など多くの人が利用している。」「鶴舞公園や大須によく出かけるがこの路線は最高!JRや地下鉄のように階段がないのもいい」と絶賛する高齢者など幅広い年代層の方が様々な思いで利用しています。こうしたみなさんからも廃止されたら困るとの声が届いています。
 なにより、この4月から高校に通う予定の学生さんは、「この路線で通うつもりで進学先を決めたのに」と言われました。突然、路線がなくなるなんて一大事です。また、桶狭間・有松などを観光に訪れたいという方々には、「栄から市バスに乗れば一本で目的地の桶狭間・有松まで来ることができる」と案内されているそうです。
 来年は大河ドラマ「どうする家康」も始まります。これから本市も力をいれて宣伝しようとする観光ルートにも重要です。地域や利用者に事前に知らされることもなく、急に出てきた路線の廃止で困るのは市民です。
 路線周辺の区政協力委員長さんたちにもお話を伺いました。「路線の廃止は、突然の話だった。学区として、路線廃止を聞いた多くの地域住民が存続を望んでいることを受け、2月14日、交通局に対し、高速1系統の路線存続を求めて桶狭間・南陵・有松の3学区の区政協力委員長連名で、路線廃止撤回をお願いする要望書を提出した」とのことでした。2月28日には、有松商工会からも廃止撤回のお願いが出されました。路線を利用するみなさんもご自分たちで署名に取り組まれ、すでに3000筆をこえ、さらには、桶狭間学区による請願署名、森の里荘自治会及び森の里町内会の連名による陳情署名の取り組みが広がり、路線廃止に反対する声がどんどん広がっています。

住民の悲痛な叫びに応えて存続を
 住民に愛され、生活の大切な足として長い間、利用してきた森の里団地から栄までの高速1系統の路線。「なくさないでほしい。」みなさんのこの悲痛な叫びを受け止めてください。局長、存続する考えはありませんか。

赤字の現状、路線再編による利便性向上など丁寧に説明していきたい(局長)
【交通局長】緑区では、地下鉄桜通線の開通、JR南大高駅の開業、名鉄鳴海駅・有松駅の駅前広場整備などが進み、これらの駅への市バス路線も設けてきた。新たな道路開通や、本年2月の敬老パス等の対象交通機関が拡大された状況を踏まえ、本年4月に予定するバス路線再編成では、これまで市バスが走っていなかった地域に路線を新設し、民間鉄道駅に接続するバスの運行回数を大幅に増やして交通アクセスが改善され、地域の日常生活の利便性向上にもつながる。
 一方、市バス高速1系統は、市バスで唯一高速道路を走行する路線であり、路線の長さが市バス平均の3倍以上と長く運行効率が悪いため、収支が非常に厳しい状況が続き、2020年度決算では、この系統のみで約8500円の赤字、昭和55年の運行開始からの累積赤字は50億円を超えている。
 新型コロナウィルス感染症の影響で乗車人員が大幅に減少し、非常に厳しい経営状況にある。将来にわたって、公営企業として安定的に交通サービスを提供し続けるためには、コロナ前の状況を前提とした運行を、現在の需要に見合ったものにしていく必要があり、高速1系統の廃止を含むバス路線再編成を行う。
 対象地域の皆様には丁寧に案内し、今後も市バスを快適便利に利用いただけるよう努めていく。

赤字を理由に切り捨ててよいのか。市民の切実な声に耳を傾けよ(再質問)
【さはし議員】赤字約8500万円と答弁されていましたが、赤字路線は全て廃止するんですか。この路線以上に約1億6400万円の赤字路線もあります。地域を支えるための大切な経費です。赤字だからといって地域の重要な足を切り捨てていいんでしょうか。
 この路線は、歴史もあり住民にとって大切な路線だというのは、わかっていただけましたよね、局長。路線の存続・廃止は、地域にとっては重大問題です。丁寧に時間をかけるべきです。思ってもみなかった廃止にたくさんの反対の声が寄せられています。局長にも届いていると思います。こうした市民の声を受け止め、市民の切実な声を聞くべきではありませんか。局長、あまりにも拙速な判断ではありませんか。答弁を求めます。

丁寧に説明していく(局長)
【交通局長】繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、対象となります地域の皆様には、この度の再編後のバス路線について丁寧にご案内し、今後も市バスを快適・便利にご利用いただけるよう努めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。

存続求め1万人が署名。廃止は撤回を
【さはし議員】今、局長から、地域の皆様には、再編後のバス路線について丁寧に案内していきたい、と言われましたが、地域は、路線廃止をすることを理解してほしいという説明は求めていません。だから、多くのみなさんが声をあげているんじゃないですか。今朝、20日間ほどで、約1万人の方が存続してほしいと署名をされたとお聞きしました。「とにかく、いきなり」「プロセスがない」「青天の霹靂」と言われます。地域のみなさんも、私も、まったく理解できません。4月からの路線廃止は撤回すべきと強く求めて質問を終わります。

キーワード: