あいちトリエンナーレ負担金訴訟、地裁判決「市は全額支払え」
 市は控訴せず、負担金支出すべき

 2019年に開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の実行委員会(会長=大村秀章・愛知県知事)が、名古屋市を相手取って未払いの負担金約3380万円を支払うよう求めた訴訟の判決が5月25日あり、名古屋地方裁判所は請求通り、市に全額の支払いを命じました。これを受け、日本共産党名古屋市議団は30日、河村たかし市長に控訴しないよう申し入れました。杉浦弘昌市長室長が応対しました。
 同判決について河村市長は「とんでもない判決」などと主張し、控訴する意向を示しています。

市長の主張を退ける
―「(政治的中立性を求められる)公共事業とはいえない」(判決)

 不自由展の作品について、河村たかし市長は、政治的中立性を求められる「公共事業」であるから支出しないと主張。これについて判決は、「公共事業であるということはできない」「展示する作品については芸術監督等が自律的に決定しているものであるため、本件負担金の交付によって、肯定や裏書を与えることになるといえるものではない。…本件不自由展は本件芸術祭の一部であり、…政治的主張を後押ししていると一義的に評価されることになるものではない」とし、河村市長の主張を退けました。
 市長は表現の自由を守り、「金は出しても口は出さない」という原則に基づいて多様な表現、展示を公開し、議論する場を設けることが役割であって、表現の内容に踏み込むことは表現の自由を侵すものです。控訴する理由はありません。

市は負担金を支出すべき
―「専決処分は原告会長の裁量の範囲」(判決

 河村市長は、運営会議の不開催を支出しない理由にしています。これについて判決は、「本件規約上、専決処分を行う緊急性の認定判断については原告会長の広い裁量に委ねられており、…運営会議を開かず、専決処分をしたことも本件規約で認められた裁量の範囲内のものであるといえる」と河村市長の主張を退けました。
 運営会議開催の有無にかかわらず、あいちトリエンナーレ2019は開催されたのですから、負担金を支出すべきです。
 申し入れでは、市が仮に控訴する場合、すみやかに市議会の急施(きゅうし)臨時会を開催することを求めました。