後期高齢者医療広域連合議会 2022年8月定例会 さいとう愛子議員の一般質問 コロナ禍でのフレイル予防(2022年8月22日)

自宅に閉じこもり、脚力が落ち、鬱的になるなど健康不安が増大

【さいとう議員】3年にわたるコロナ禍の下で、私の身近にいる高齢の方々も、自宅に閉じこもり気味となり、脚力が落ちて転倒した、鬱的になったなど健康不安が増大しているという話を聞きます。3点お聞きします。

健診率の目標を40%から37%へ 引き下げていいのか

【さいとう議員】1点目。データヘルス計画では、健診受診率の2023年度目標を、40%から37%へと引き下げる見直しがされていますが、見直しの経過と、引き上げる努力はどのようにして行うのですか。

コロナ禍で低下が続き、実現可能な数値目標に引き下げた

【給付課長】健診受診率は2017年度の35.91%をピークに低下傾向にあり、2020年度はコロナ禍の影響で34.01%と大きく低下した。2021年度も引き続きコロナ禍にあり、健診率への影響も続く可能性もあり、このような状況を踏まえ、実現可能な数値目標の再設定が必要と考え目標値の引き下げを行った。
 受診率の向上のため、「高齢者の保健事業と介護予防等の一体的な実施」における健康状態不明者対策や健診未受診者等への個別勧奨等、各市町村の状況に応じた対策の推進を図るとともに、特に受診率30%未満の市町村との個別相談の機会を設ける等、健診受診率の底上げを図っていく。

保健指導をどのように進めるのか

【さいとう議員】2点目。フレイルにならないよう広域連合としては、保健指導をどのように進めていくお考えですか。

保健事業と介護予防事業が連携した、きめ細やかな保健指導等を実施

【給付課長】フレイル予防では、疾病予防と生活機能維持の両面に対応する必要があり、市町村が実施する保健事業と介護予防事業の連携が重要で、2020年度から「高齢者の保健事業と介護予防等の一体的な実施」を市町村に委託し、ハイリスクアプローチとして、「低栄養や口腔に関する保健指導」、ポピュレーションアプローチとして、「通いの場等におけるフレイル予防に関する普及啓発」を実施する等、住民に身近な市町村によって、地域の健康課題に応じたきめ細やかな保健指導等を実施している。
 2022年度は一体的実施の取組が32市町村(59.3%)で行われており、国が目標とする2024年度での全市町村実施に向け、事業計画立案に対する相談体制の充実、愛知県と連携した研修会の実施等、市町村への支援を行っていく。

健診率の低下に屈せず「フレイル予防」につながる保健指導を(再質問)

【さいとう議員】コロナがまた猛威を振るっている現状で、健診受診の見通しが立てにくい状況であると思います。コロナ禍の生活は、コロナにうつらないうつさないために、家に閉じこもり、人となるべく会わない、会話をひかえるなど、高齢期の健康的な生活にとってマイナスの状況ばかりなので、数年単位で続いていることは、加齢に伴い筋力が衰え、疲れやすくなるなど、健康により留意する必要があると思われます。
 健診受診率は、2021年度は10自治体が30%未満。コロナ前の2年前と比べ受診率が下がっている自治体が43で、80%です。名古屋市も低い受診率で、4分の1以下の受診率であることがわかりました。
 答弁で、「2021年度も引き続きコロナ禍にあり、健診受診率への影響も続く可能性」があって、「実現可能な数値目標の再設定が必要と考え目標値を引き下げた」ということは、理解できまが、高齢者にとって、コロナ禍の生活がより不健康なだけに、いっそう工夫したフレイル予防が必要になり、保健指導が求められるのではないかと思います。
 「住民に身近な市町村によって、地域の健康課題に応じたきめ細やかな保健指導等を実施しています」と答弁をいただきました。昨年度は、一般事務職の方に代わって保健師を配置し、会計年度職員の保健師も1人新たに雇用されたと聞いています。それまで配置されていなかった保健師を増員されたことで、フレイル予防などの保健指導に関する業務が進んだのではないかと思いますが、どのような業務を担っていらっしゃるのか、また、具体的にどのような効果があったかお聞きします。

保健師が市町村との助言・相談をすすめ、効果的に保険事業を進めたい

【給付課長】後期高齢者に対する保健指導は、保健事業と介護予防等の一体的な実施の枠組みの中で、広域連合が市町村に保健事業を委託する形で実施しており、この一体的実施では、市町村が自らの地域の健康課題を分析したうえで、取り組む保健事業の内容を企画立案・実施することとされている。
 広域連合の保健師の業務としては、市町村が実施する保健事業に関し、健診・レセプトデータ等を活用した「健康課題の分析・把握」、健康課題に応じた「保健事業の企画立案」、実施した保健事業の実績の評価等について「専門的な知見に基づき市町村に助言を行う」ということが挙げられる。
 広域連合に保健師を配置した効果としては、健診データの活用方法といった専門的な情報を提供したり、市町村の医療専門職からの相談に対して専門職としての助言を行うことができるようになり、これらにより、市町村の実施する保健事業がより効果的なものになっている。

地域の特性などに合わせて課題に取り組み、効果的な事業推進を(意見)

【さいとう議員】保健師さんを配置したことで、「専門的な知見に基づき、市町村に助言を行う」ことができるといわれましたが、非常に重要であると思います。
 また、「市町村が、自らの地域の健康課題を分析したうえで、取り組む保健事業の内容を企画立案・実施する」という、それぞれの地域の特性や環境に合わせて課題に取り組んでいき、より効果的な事業が推進できることによって、1人当たりの医療費を減らしていくことにつながるのではないかと期待します。

協定保養所の利用状況は

【さいとう議員】3点目。協定保養所利用助成事業についてお尋ねします。協定保養所の目的と、コロナ前後で変化が大きいと思いますが、利用状況はどうですか。

2021年度は前年比22%増の4588人

【給付課長】利用状況は、2021年度の延べ利用者数が4,588人、2020年度の3,747人と比較し、約22%の増加となっている。
 コロナ禍前の延べ利用者数は約1万人で推移していたが、2020年度以降減少し、2019年度の10,140人と比較すると2020年度は約63%減の3,747人、2021年度は約55%減の4,588人となっている。

フレイル予防の観点からも保養所の拡充を(要望)

【さいとう議員】年間で、おおむね1万人の方が協定保養所を利用されていたのに、コロナの影響で、利用者が大きく減っていますが、それでも2021年度は、以前の45%くらいに戻っていると状況をお聞きしました。
 2021年度からは、おんたけ休暇村が加わって、すいとぴあ江南、あいち健康の森プラザホテル、サンヒルズ三河湾、豊田市百年草、温泉ホーム松ヶ島の6か所でしたが、今年3月31日、温泉ホーム松ヶ島が閉館となって、2022年度は県内5か所の協定保養所となります。
 2021年度の利用実績4,588人のうち、温泉ホーム松ヶ島の利用人数が2,214人で、全体の48%と約半分を占め、多くのみなさんが利用されていました。
 データヘルス計画中間評価では、協定保養所利用助成事業について「利用状況等を注視し事業形態等について引き続き検討」とありますが、温泉ホーム松ヶ島が閉館となって利用状況に影響がでることが懸念されます。
 2017年度から国庫補助が廃止となっても、愛知県広域連合として、引き続き、実施している事業であり、コロナ後を見通し、被保険者の方がコロナによって心身共に弱った体を癒し、フレイル予防にもなる場を新たに提供することも要望します。

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