2021年度決算認定案に反対 さいとう愛子議員

コロナ禍、年金削減のもとで介護や医療の負担増、金持ち減税や天守閣復元を進めた市政はゆるせない

10月12日に2021年度決算認定の採決が行われました。
 コロナ危機のもとで、名古屋市が市民を守る役割を果たしたかを検証する決算審査となりました。採決にあたり、さいとう愛子議員が反対討論を行いました。概要を紹介します。

介護保険料を値上げ、後期高齢者医療保険料の軽減措置廃止、厚生院特養の廃止をすすめる

 反対する理由の第1は、福祉や健康に対する施策を後退させる一方で、金持ち減税を漫然と続けたことです。
 コロナ禍で市民のくらしは疲弊しています。生活困窮者住宅確保給付金の決定者数はコロナ前の9倍、低所得者の生活は改善されていません。高齢者も深刻です。介護保険料の値上げで保険料を滞納し利用料全額負担などの罰則を受けた高齢者は146人も。後期高齢者の保険料特例軽減も廃止、年金削減とともに高齢者を経済的に追い詰めました。特別養護老人ホームの待機者は3000人近くもいます。低所得で身寄りがなく医療依存度が高い方を受け入れてきた厚生院の特養は廃止せず、存続すべきです。

敬老パスには利用回数を制限

 敬老パスは、私鉄・民間バスに利用拡大する一方、利用回数に上限が設けられました。市長が決めた事業費上限145億円ですが、コロナ禍で昨年度は101億円。外出の機会が減っている高齢者がフレイルに陥らないために、利用回数制限は撤回し、外出する機会を増やす施策こそ必要です。

区政協力員会や利用者、ボランティアからも意見や懸念が出る図書館再編

 図書館の再編計画の下、第1ブロックの千種・守山・東・名東各区の施設の整備方針を策定しました。どの図書館でも均等なサービスだったのが、今後は施設間で差がつくことに、図書館ボランティアや利用者から懸念や説明不十分という声があがりました。名東区では区政協力委員協議会が「名東図書館の特徴ともいえる、豊富な児童書や子どものための読書スペースについて確保すること」の要望書を教育委員会に出し、図書館ボランティアの団体からも要望書が届く事態です。市民は納得していません。施設整備方針は見直すべきです。

年収14億円の人に448万円もの減税

 市民税減税では、納税者の半数以上が減税額が5000円以下ですが、減税額トップの方は448万円もの減税です。その方の収入額は14億円に上ります。所得格差を持ち込む金持ち優遇の市民税減税は中止すべきです。

大型事業は見直しもなく継続

天守閣の完成期限は今年12月なのに

 反対理由の第2は、不要不急の大型公共事業を進めたことです。
 市長が、市民合意もなく強引に進めてきた天守閣木造復元は、特別史跡の本質的価値を構成する石垣保全を軽視してきたことなどで、完成期限である本年12月の完成は不可能となりました。2017年5月に締結した事業者との基本協定は解除し、事業を中止すべきなのに、さらに事業を進めています。

需要見通しの根拠失っても第2滑走路

 中部国際空港の第2滑走路整備は、需要見通しが根拠を失っているにもかかわらず、整備に向け検討を急いだことは問題です。昨年12月、本市も参画して「中部国際空港の将来構想」が取りまとめられ、「2027年度を目途」に現在の誘導路を第2滑走路として整備する構想が、突如として打ち出されました。「将来構想」では、空港の発着回数が2020年代後半には滑走路1本の限界とされる13万回を超過する需要見通しが示されましたが、委員会質疑では当局は「27年度までの需要見通しは立っていない」と答弁しています。昨年度、発着回数は5万1千回で、コロナ禍による激減からの回復が遅れている今、整備を急ぐ必要はありません。

市民を追い出して名駅に高速道路

 黄金、新洲崎、丸田町の出入り口拡幅事業を行う名古屋都市高速道路への支出は、都心域へ車を呼び込み、都心域での渋滞解消という高速道路建設の理念に反します。黄金では、40年以上前の移転者に再度の移転を強要し、終の棲家として暮らしてきた高齢者に移転を強いて、良好な生活地から追い出すものです。丸田町付近の住民と市の話し合いは今も継続しており「住民の理解と納得」が得られていないままの事業は認められません。


市民の暮らし優先の市政に

 以上、反対の理由を申し上げました。
新型コロナ収束の見通しは未だ不透明です。市民の命と暮らしを守るために引き続き全力を尽くす決意を申し上げ、討論を終わります。

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