2022年9月議会

さいとう愛子議員の2021決算に対する討論(2022年10月12日)福祉や暮らしを後退させる一方で大型事業を漫然と進め、市民を犠牲にしたことは許せません

 2021年度一般会計決算認定案に対する、さいとう愛子議員の反対討論は、以下のとおりです。

コロナ禍のもとで負担増押し付け、福祉施策は後退、金持減税を継続

【さいとう議員】日本共産党名古屋市議団を代表し、2021年度名古屋市一般会計決算の認定に反対の立場から討論します。
 反対する理由の第1は、福祉や健康に対する施策を後退させる一方で、金持ち減税を漫然と続けたことです。

高齢者の負担増を次々

 年金は削減、介護保険料を値上げ、後期高齢者医療保険料の軽減措置廃止、厚生院特養の廃止すすめる
 コロナ禍で市民のくらしは疲弊しています。昨年の生活困窮者住宅確保給付金の決定者数はコロナ以前に比べ9倍にも及ぶなど、低所得者の生活は改善されていません。高齢者の負担増も深刻です。介護保険料が値上げされ、保険料滞納でサービス利用料を全額負担するなど過酷な罰則を受けた高齢者は146人に上ります。低所得の後期高齢者の保険料特例軽減も廃止され、年金削減とともに高齢者を経済的に追い詰めました。市独自の減免制度の拡充・創設こそ緊急に必要です。特別養護老人ホームの入所待機者は3000人近くもいます。低所得で身寄りがなく、医療依存度が高い方を受け入れてきた厚生院の特養は廃止せず、存続すべきです。

敬老パスには利用回数を制限

 敬老パスは、私鉄・民間バスに利用拡大する一方、利用回数に上限が設けられました。市長が決めた事業費の暫定上限145億円を超えないためとされますが、コロナ禍で利用は低迷し、昨年度の事業費は101億円。利用を制限しなくても、暫定上限を超えることはありませんでした。コロナで外出の機会が減っている高齢者がフレイルに陥らないために、利用回数制限は撤回し、敬老パスを利用して外出する機会を増やす施策こそ必要です。

区政協力員や利用者、ボランティアからも意見や懸念が出る図書館再編

 また、図書館の再編計画の下、第1ブロックとされる千種・守山・東・名東各区の施設の整備方針を初めて策定したことで、子どもたちの図書環境へのしわ寄せが心配されます。今まではどの図書館でも均等なサービスが受けられましたが、今後は施設間でサービスに差がつけられることに、図書館ボランティアや利用者から、懸念や説明不十分という声があがりました。名東区では、区政協力委員協議会が「名東図書館の特徴ともいえる、豊富な児童書や子どものための読書スペースについて確保すること」との要望書を教育委員会に出し、図書館ボランティアの団体からも要望書が届く事態となっています。市民は納得していません。施設整備方針は見直すべきです。

金持ち減税に90億円

 市民税減税は、そもそも市民の半数である納税者が対象です。その納税者の半数以上は減税額が5000円以下です。一方、減税額トップの方は448万円もの減税です。その方の収入額は14億円に上ります。所得格差を持ち込む、金持ち優遇の市民税減税は中止すべきです。

大型事業は見直しもなく継続

天守閣の完成期限は今年12月なのに

 反対理由の第2は、不要不急の大型公共事業を進めたことです。
 市長が、市民合意もなく強引に進めてきた天守閣木造復元は、特別史跡の本質的価値を構成する石垣保全を軽視してきたことなどにより、完成期限である本年12月の完成は不可能となりました。2017年5月に締結した事業者との基本協定は解除し、事業を中止すべきなのに、さらに事業を進めています。

需要見通しの根拠失っても第2滑走路

 中部国際空港の第2滑走路整備は、需要見通しが根拠を失っているにもかかわらず、整備に向け検討を急いだことは問題です。昨年12月、本市も参画して「中部国際空港の将来構想」が取りまとめられ、「2027年度を目途」に現在の誘導路を第2滑走路として整備する構想が、突如として打ち出されました。「将来構想」では、空港の発着回数が2020年代後半には滑走路1本の限界とされる13万回を超過する需要見通しが示されましたが、委員会質疑では当局は「27年度までの需要見通しは立っていない」と答弁しています。昨年度、発着回数は5万1千回で、コロナ禍による激減からの回復が遅れている今、整備を急ぐ必要はありません。い出すものです。丸田町付近の住民と市の話し合いは今も継続しており「住民の理解と納得」が得られていないままの事業は認められません。

市民の暮らし優先の市政に

 以上、反対の理由を申し上げました。
新型コロナ収束の見通しは未だ不透明です。市民の命と暮らしを守るために引き続き全力を尽くす決意を申し上げ、討論を終わります。

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