2022年11月議会
さいとう愛子議員の個人質問(2022年11月25日)②加齢性難聴者への補聴器購入助成制度の創設を
社会とのつながりが薄れる前に、高齢者の補聴器の購入助成を始めるべき
【さいとう議員】はつらつ長寿プランなごや2023計画の理念には「高齢者がさまざまな社会活動に参加し、社会の担い手として活動できる環境づくりをさらに進めていくことが重要」とあります。そのためには、家族や友人、地域社会とのコミュニケーションが大切ですが、それを阻んでいるのが、年をとったら聞こえが悪くなるいわゆる加齢性難聴です。聞こえづらかったり、何度も聞き返したりするのでは会話に加わるのも外へ出ていくのもおっくうになります。
早い段階から補聴器を活用することで、高齢者の日常生活、周囲とのコミュニケーションが相当程度、維持・改善されることがわかってきました。
しかし、片耳で数万円から数十万円もする高価な補聴器は、「ほしくても高すぎて買えない」とみなさんが言われます。国による補助制度への要望も強まっていますが、独自で助成に踏み切る自治体が増え、10月末現在、全国114市町村で実施しています。
名古屋市では、高齢者の日常生活を支える生活用具が支給されています。火災警報器も支給していますが、耳が遠かったらせっかくの警報も役に立ちません。補聴器購入助成制度が合わせて必要です。
政令市では、新潟市、相模原市が今年の7月から補聴器助成を実施しています。
新潟市では、市内の50歳から74歳の方のコミュニケーション能力の維持・向上を図ることが目的で、補聴器購入の一部助成が行われています。新潟県全体では9割近い26市町村が実施し、しかも21町村では対象者を18歳以上に広く設定しています。
相模原市では、介護予防促進モデル事業として進めており、補聴器装用によって生活状況が変化したかアンケートに回答してもらいます。
東京都区部では6割強の16区(+荒川区 22年6月~)で助成制度を実施。港区は、補助上限13万7千円の補助で10万円補助も4自治体となっています。
聞こえにくいことによって、家に引きこもりがちとなり、人との会話がおっくになって人に会う機会も減っていくことが考えられます。逆に、補聴器を装用ことによって、コミュニケーション能力をできるだけ保持し、友人と出かけたり、社会参加していくことができます。まさに、高齢者の社会参加の促進をはかるために必要な「聞こえの改善」となります。
そこで、健康福祉局長にお尋ねします。聴力がおちかけている、軽度中等度の難聴の方に、社会とのつながりが薄れる前に、日常生活の支援事業として高齢者の補聴器購入助成を始めるべきではないですか。認識を伺います。
補聴器を適切に使えば、聴力を補正することは可能(局長)
【健康福祉局長】難聴を含め、老化に伴う身体機能の低下に対応した、社会生活上の支援を行うことは、効果を見極めながら検討する必要がある。
補聴器を使用することの必要性や有効性は、日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会によると、「聴覚検査の結果と日常の音の環境とそれぞれの人にとって重要な会話の関係から、総合的に判断する必要がある」とされている。加齢性難聴は、適切に補聴器を使用することで、聴力を補正することは可能と考える。
しかし、補聴器を使用することによる加齢性難聴の進行抑制の効果はエビデンスが十分に確立されていない。加齢性難聴に係る補聴器購入支援等には、実施による効果が明らかになっていない。
国は、平成30年度から「聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究」が進めているが、現段階では結果が示されていない。このため、加齢性難聴の方に対する補聴器の購入助成は、国の動向を注視していきたい。
加齢性難聴者が社会参加するうえで、補聴器は必需品と考えるか
【さいとう議員】認知症予防や加齢性難聴の進行抑制に関するエビデンスを問題にしているわけではありません。局長は「適切に補聴器を使用することにより、聴力を補正することは可能である」と答弁されました。
つまり、加齢性難聴の方が社会参加するうえで補聴器というのは聞こえを補正するための必需品だということですね。あらためて、健康福祉局長にお尋ねします。その認識でよろしいですか。
補聴器は、会話が聞き取りにくいときにはっきり聞くための機器(局長)
【健康福祉局長】補聴器は、普通の大きさの声で話される会話が聞き取りにくくなったときに、はっきりと聞くための機器と考えている。
加齢性難聴の方が社会参加するうえで補聴器が必需品かどうかは、社会参加は就業やボランティア活動、趣味の活動等、人によって参加の方法が違うこと、また、補聴器を使用することの必要性や有効性はそれぞれの人にとって置かれた環境によって異なることから、総合的に判断する必要がある。
市の計画に位置付け、早期に補聴器購入助成制度の創設を(要望)
【さいとう議員】「補聴器は、普通の大きさの声での会話が聞き取りにくくなった時に、はっきりと聞くための機器」といわれました。加齢性難聴の方が、補聴器で聞こえをよくすることによって、聴力を補正することにより、社会参加を促進することになると可能性が広げられるということですよね。そこは認識が一致すると確認しました。
はつらつ長寿プランなごや計画の「高齢者がさまざまな社会活動に参加し、社会の担い手として活動できる環境づくりをさらに進め」ていくためには、聴力が落ちかけている方や高齢者にとって、「補聴器の活用」が必要です。その認識を持って、はつらつ長寿プランの次期計画に「加齢性難聴への対策」をはっきり位置づけ、早期に加齢性難聴者の補聴器購入助成制度を創設するよう要望し、終わります。