後期高齢者医療広域連合議会 2023年2月定例会 さいとう愛子議員の一般質問・マイナ保険証を急がせない(2023年2月14日)

任意だったカード取得を法令に反して 義務化?。紙の保険証をなくすのか

【さいとう議員】マイナンバー制度は2016年に導入され、2021年10月から本格導入されました。昨年10月13日に河野太郎デジタル担当大臣が、現行の健康保険証を「2024年秋に廃止」と明言し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えると発表しました。
 しかし、保険証の廃止は、マイナンバーカード取得の事実上の義務化に等しく、マイナンバーカード取得は「任意」とする法令に明らかに抵触するのではないかと考えます。現在、国会などで議論が続けられていますが、期限を切って“紙の保険証”を無くすということが具体的に提案されましたので、以下、3点お尋ねします。

直近の交付枚数と取得率はどれだけか

【さいとう議員】愛知県内の後期高齢者のマイナンバーカードの直近の交付枚数と取得率をお尋ねします。

昨年12月末時点で569,104枚、75才以上の57.9%

【総務課長】厚生労働省から提供されたデータによると、愛知県内の75歳以上の方へのマイナンバーカード交付枚数は、直近の2022年12月末時点で569,104枚で、2022年1月1日時点の75歳以上の人口に対する割合は57.9%となっています。
 これは、2022年8月定例会で答弁した同年7月末時点の478,514枚、2021年1月1日時点の75歳以上の人口に対する割合の49.6%と比較し交付枚数は90,590枚の増、75歳以上の人口に対する割合は8.3ポイントの増となっています。

保険証としての登録を行った比率は

【さいとう議員】この交付枚数に対し、保険証として利用できる登録を行った比率は、何%でしょうか。これは、県内の後期高齢者のうちの何%となりますか。

1月16日時点で275,287件、交付者の 約48.4%が登録(被保険者の26%)

【総務課長】端的に示すデータがないので、近い数値として、75歳以上のマイナンバーカード交付枚数と、65歳以上74歳未満で一定の障害のある方も含まれる本広域連合の被保険者のうちマイナンバーカードの保険証利用の登録をしている人数の比率で答えます。
 本県の75歳以上のマイナンバーカードの交付枚数は、2022年12月末時点で569,104枚、本広域連合の被保険者のうち、マイナンバーカードの保険証利用の登録をしている人数は本年1月16日時点で275,287件なので、交付枚数に対する登録者数の比率は約48.4%となる。
 2022年8月定例会で答弁した同年7月19日時点と比較すると、217,545件の増、比率は、36.3ポイントの増となる。
 マイナンバーカードを被保険者証として利用するための初回登録を行った者の県内の後期高齢者に対する比率ですが、マイナンバーカードの保険証利用の登録をしている人数は275,287人で、2022年12月末の被保険者数1,035,999人に対する比率は26.57%となる。

保険証との一体化への議論はどこまで進んだのか

【さいとう議員】政府は、「保険証との一体化」をめざしていますが、現在、議論はどこまで進められていますか。

2024年秋に健康保険証の廃止を目指す方針が示された

【総務課長】「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」は、2022年10月13日、マイナンバーカードの普及を推進する一環として2024年秋に健康保険証の廃止を目指すという方針が公表された。
 その後、12月6日、デジタル庁が一体化に向けた様々な事項について、国会での法案審議を見据えた検討の場として、総務省及び厚生労働省の協力を得て「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」を設置し、関係省庁の職員、医療関係者や保険者といった専門家を構成員とする専門家ワーキンググループを設置し、実務的な検討が行われている。
 2023年2月7日の第4回専門家ワーキンググループの会議資料「中間とりまとめ 主な項目」には、健康保険証廃止後の資格確認の取扱いについて、マイナカードを取得していない者には資格確認書を提供することや、中間とりまとめで具体化に至らなかった事項については、最終とりまとめに反映できるよう検討することなどが記載されている。

75歳以上の74%がマイナ保険証になっていない

【さいとう議員】愛知県内の被保険者の方約103万6,000人の中で、マイナンバーカード交付は、直近の統計で、569,104人57.9%の方。マイナンバーカードの保険証利用の登録をしている方は、275,287人26.57%とお答えいただきました。約6割の方がマイナンバーカードをお持ちで、4分の1以上の方がマイナンバーカードの保険証利用の登録をされたということになります。8月の議会の時にも聞きましたが、そのときの保険証登録は7月19日時点で、57,742人だったので、約21万人も増加し、7月から12月の間にマイナ保険証は約4.7倍となりました。
 爆発的に増えた背景には、河野デジタル大臣の発言があり、マイナポイントの2万円付与などが後押したのではないかと思われます。しかし、半年前と比べて登録が増えたとはいえ、まだ、後期高齢者の4分の3の方、75%はマイナ保険証が未登録という実情です。そこで、再質問いたします。

マイナカードの取得やマイナ保険証の登録を勧奨するのか(再質問)

【さいとう議員】本広域連合としてマイナンバーカードの取得やマイナ保険証の登録に関して、勧奨するつもりがあるかどうか、お尋ねします。

カードの問い合わせに対応できないので送付勧奨はしない、利用するかどうかはあくまで本人選択だが、情報提供は行う

【総務課長】マイナンバーカードの取得勧奨は、昨年度、厚生労働省からの依頼に基づいて申請書の個別送付を行ったが、広域連合はマイナンバーカードに関する事務を行っていないので、手続についての問合せがあっても十分な対応ができていない。
 したがって、マイナンバーカードについて本広域連合が申請書の個別送付といった勧奨を行う考えはない。
 マイナンバーカードを保険証として利用することは、それぞれにメリットがあり、より良い医療の提供に資するものと理解するが、取得するかどうか、取得したマイナンバーカードを保険証として利用するかどうかとは、あくまでも被保険者の選択によるものです。
 本広域連合としては、保険証として利用することについての正確な情報が不可欠であると考え、ホームぺージやパンフレット、リーフレット等の活用による情報提供を行っており、今後もしっかり行っていく。

医療機関への顔認証付きカードリーダーの設置状況は(再質問)

【さいとう議員】県内の医療機関におけるオンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーの直近の設置状況を、病院、医科診療所、歯科診療所、薬局について教えてください。

全体で45.5%。病院54.4%、診療所36.7%、歯科36.7%、薬局68.5%

【総務課長】厚生労働省の公表データによりますと、令和5年1月29日時点における愛知県の運用開始施設数は5,683機関、全体の施設数に対する割合は45.5%です。施設種別ごとでは病院が173機関で54.4%、医科診療所が1,769機関で、36.7%、歯科診療所が1,301機関で、36.7%、薬局が2,440機関で、68.5%です。

カードリーダーの不具合・トラブルの発生状況は(再質問)

【さいとう議員】医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーが起動しないとの不具合が発生していることなどが、報道されていました(2022年12月6日中日新聞)が、広域連合の被保険者がトラブルに巻き込まれていないでしょうか。意見は上がってきていませんか。

昨年の春から秋には医療機関での不具合はあったが最近は聞いていない

【総務課長】被保険者からは、意見や情報提供はないが、2022年の春から秋ごろにかけて、医療機関から「オンライン資格確認を行った際に、有効な保険証が無効と表示された」という問い合わせが、まれに入ることがあった。これは、カードリーダーの不具合が原因と考えられ、メーカーに尋ねるよう案内し、医療機関から被保険者番号等を確認して窓口負担割合等を伝え、被保険者が適切に受診できるよう対応している。年明け以降は、このような問い合わせは広域連合に入っていない。

カードがあっても保険証で受診している。強引な進め方は許されない

【さいとう議員】カードリーダーの運用開始施設の割合ですが、昨年7月お尋ねした時は25.4%でしたが、今年1月29日時点では45.5%とのことで倍近くになりました。身近なかかりつけ医は、医科歯科ともに、37%近くで、やはり昨年7月時点の倍近くの運用開始数となり、後期高齢者でマイナ保険証を持っている方は、約4人に1人と答えられました。
 昨年10月に出された全国保険医団体連合会の声明によると、「現在、マイナンバーカードで受診する患者は、平均して週に病院で3人強、診療所(医科、歯科)、薬局では1人にすぎない(8月実績推計。厚労省審議会資料などより)。」たとえマイナンバーカードを持っていてもほとんどの患者・国民は保険証で受診しているというのが実情です。
 また同団体が昨年10月~11月にかけて行った調査では、オンライン資格認証システムを導入した医療機関の4割で不具合が発生し「有効な保険証が無効となる」などトラブルが起こっていますが、本広域連合には、被保険者からのご意見はないとのお話でした。
 マイナ保険証の取得について、政府はメリットを強調し、財政も投入して強力に推進し、特に医療機関を利用する頻度が高い後期高齢者のマイナ保険証の取得を進めようとしていますが、被保険者の状況も医療機関の事情も様々あり、あまりに強引な進め方は許されません。
 本広域連合としては、マイナンバーカードについては、申請書の個別送付といった勧奨を行う考えはなく、マイナ保険証の取得・利用は、あくまでも被保険者の選択によるとの立場であることを確認しました。
 最初に申し上げましたが、昨年(10月13日)河野太郎デジタル担当大臣が、現行の健康保険証を「2024年(来年)秋に廃止」と明言しました。しかし、健康保険証廃止後の資格確認の取扱いについて、マイナンバーカードを取得していない方には資格確認書を提供することなどが検討されているとのことです。
 ぜひ、本広域連合として、被保険者である後期高齢者の実情によりそい、「性急に進めることのないよう」と要望している全国後期高齢者医療広域連合協議会とともに意見をあげるなど被保険者目線での対応をお願いして、発言を終わります。

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