個人質問(3月3日)江上博之議員
ムダ(徳山ダム)にムダ(木曽川導水路)さらにムダ(市独自の導水路)を重ねる
「方針転換」は許されない
江上議員は3月3日の本会議で個人質問にたち、木曽川水系連絡導水路事業を再開するとした、河村市長の「方針転換」を撤回するよう求めました。
同事業は木曽三川の揖斐川と木曽川を地下トンネルで結び、岐阜県揖斐川町の徳山ダムの水を愛知県や名古屋市に流す計画。河村市長は2009年、「水余り」を理由に撤退を表明し、今日まで未着工でした。ところが2月14日の記者会見で市長は、「豪雨時の治水対策」「堀川浄化」「揖斐川のおいしい水の確保」を名目に同事業の再開を表明。さらに、揖斐川の水を名古屋市内に直接引くための市独自の導水管をつくる計画も明らかになりました。
名古屋の「水余り」は変わらず
江上議員は、名古屋市の給水実績はコロナ前の2019年夏で1日当たり81.7万トンと、同給水可能量160万トンの半分に過ぎないと指摘。「1994年の大渇水時でも木曽川だけで81.6万トンの給水が可能だった。電力会社や農業用水の協力、利用者の自重により、大渇水でも木曽川だけでやっていける」と主張しました。
「豪雨時の治水対策」 には不必要
市長は「豪雨が見込まれる際、木曽川上流のダムから事前に水を放流して流域の被害を防ぐが、見込んでいた量の雨が降らなかった場合でも、導水路を通じて揖斐川から水を引いて木曽川の水量を確保できる」などと発言しています。
江上議員は、実際にダム放流して、見込んでいた量の雨が降らなかった例があるのか問うと、上下水道局長は「事前放流は過去3回実施されたが、いずれの場合も、事前放流後に降雨があった」と述べ、木曽川のダムが空になった例は無いことが明らかになりました。
「堀川浄化」 にも必要なし
江上議員はさらに、木曽川の水を堀川に流す「堀川浄化」実験(2007年から3年間導水)結果を質問。緑政土木局長は、1日当たり3.4万トンの導水で、堀川中流域の納屋橋付近まで水質の改善を確認したと答えました。江上議員は「木曽川の水は80万トン余っているのだから、木曽川だけで浄化できる」と強調しました。
「おいしさ」に 違いはあるのか?
さらに、揖斐川と木曽川で「おいしさ」に違いがあるのかとの江上議員の問いに、上下水道局長は「木曽川と同等以上に良質」と述べるにとどまりました。
市独自の導水路(約50億円)も
江上議員は、徳山ダムの建設だけでも名古屋市の今後の負担は建設費約97億円(これまでに430億円支出)、管理費に毎年2億円を支払い続ける必要がある、それに加えて導水路事業で120億円、さらに市独自策の新たな導水路に50億円もかかると指摘。「(物価高騰で)総事業費はもっと増えると見込まれる。無駄に無駄を重ね、さらに無駄を重ねる《無駄の三重奏》」だ」と述べ、発言の撤回と事業の中止を強くめました。
市長は「撤回しない。(徳山ダムを)作ってしまった。僕が作ったわけではない」と拒否しました。
江上議員は「今年度から水道事業は9億円の赤字。来年度も赤字の見込みだ。経営が厳しいなか、市民に安心・安定した水を供給するためにも、支出を減らすことが必要だ。こんなことは許されない」と市長の姿勢を厳しく批判しました。
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