2023年2月議会

岡田ゆき子議員の個人質問(2023年3月7日)②寝たきりや認知症高齢者を税法上の「障害者」に認定を

他都市のように障害高齢者を税法上の「障害者」に認定せよ

【岡田議員】身体障害者手帳等の交付を受けている人や、満65歳以上の人で、身体障害者等に準ずる人を市町村長が認定する場合、税法上の控除を受けることが出来ます。
 障害者控除といいます。障害者控除は税法上「障害者」と「特別障害者」の2区分あり、例えば身体障害者手帳を所持している方であれば、身体障害者手帳3級~6級は税法上の「障害者」、1,2級は「特別障害者」を対象とし、所得税の場合、「障害者」27万円、「特別別障害者」は40万円の控除が受けられます。
 身体障害者手帳を所持していない65歳以上の方については、市町村長が身体障害者等に準ずる人と認定した場合「障害者控除対象者認定書」を発行します。
 パネルをご覧ください。2002年8月1日の厚生労働省は通知で、障害の程度が身体障害者3級から6級に準ずる場合は、税法上の「障害者」にあたるとしています。
 身体障害者に準ずるかどうかの目安については、市町村長が判断するとしていますが、愛知県下54自治体のうち、50の自治体が使っているのが、要介護度や「障害高齢者の日常生活自立度」です。
 要介護認定で使用される「障害高齢者の日常生活自立度」です。障害高齢者の日常生活自立度は、身体の状況の目安となっており、日常生活が自立し独力で外出できる方はランクJ、屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしに外出しない方、準ねたきりのランクA、ベッド上の生活が主体という方のランクB、全介助の方はランクCと分けられています。
 県下の多くの市町村では、この「準ねたきり」ランクAを税法上の「障害者」としています。
 名古屋市はどうでしょうか。名古屋市は「障害高齢者の日常生活自立度」ランクB以上を税法上の「特別障害者」と認定していますが、「準ねたきり」ランクAは非該当として。税法上の「障害者」を認めていません。
 そこでお聞きします。名古屋市は、障害高齢者について、なぜ、税法上の「障害者」の認定をしないのですか。「障害高齢者の日常生活自立度」ランクAの人を、税法上の「障害者」として認定すべきではありませんか。

医学的・専門的な判断が必要なので身体障害者手帳の取得を

【健康福祉局長】市町村での障害者控除対象者の認定は、国の通知にそって市町村で判断するとされています。この通知では、障害者手帳のある方とない方との取り扱いや、要介護認定を受けた方と年齢が若く要介護認定を受けられない方との取扱いで、著しい不公平が生じないよう障害者控除対象者の認定を行うことが必要とされています。
 身体障害の程度は、「要介護認定と障害認定は判断基準が異なり、要介護認定の結果のみをもって一律に身体障害者の何級に相当するかを判断することは困難」とされています。
 「障害高齢者の日常生活自立度」は、要介護認定の調査に使用する寝たきり度を判断する指標で、国の通知ではこの指標などを参考に税法上の特別障害者であるねたきり高齢者として障害者控除の対象者の認定を行うとされています。
 「身体障害に準ずるものの認定」は障害の程度が明らかな場合は要介護認定の情報を参考にし、明らかでない場合は医師の診断等により個別に確認することが考えられるとされています。
 障害高齢者の日常生活自立度ランクAは、「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない」と定義されており、このランクAの方を身体障害者3級から6級に準じて、税法上の「障害者控除の対象」と認定するかどうかについて、障害高齢者の日常生活自立度をもって一律に判断するのは困難です。このため、個別に医学的・専門的な判断が必要と考えられ、身体障害者手帳の取得などを勧奨しています。

障害者控除対象者認定書は市民サービスとして毎年送付を

【岡田議員】「障害者控除対象者認定書」は、その高齢世帯が市民税非課税世帯であれば認定書を活用することはありません。しかし、非課税世帯でも、扶養されている場合、認定書が活用できます。現に、両親を扶養家族とし、日常的に支えている家族はいます。県下32自治体は、「障害者控除対象者認定書」を毎年対象者に送付しています。対象者がわかっているので、権利として控除を受けるように送付して便宜を図ることは、市民サービスの観点の判断だと考えます。
 名古屋市は、一度発行した認定書は有効期限を設けていないので繰り返し活用できるという扱いにしていると聞いていますが、年に1度の申請のために、高齢者は保管することも難しい場合もあります。紛失のため再発行も可能ですが、手続きをしない場合もあるのではないか。多くの自治体が市民の利便性を考え確定申告などの時期に間に合うよう郵送しているように、名古屋市が把握できる要介護認定の情報から、控除を受けられる人が控除漏れないように対象者に毎年送付すべきだと考えますが、見解をお聞きします。

障害事由に変更等がない限り、有効なので送付しない

【健康福祉局長】障害者控除対象者の認定は認定を受けようとする方から個々に申請をいただき認定書を交付しています。認定書は障害者控除の対象となる方の障害事由に変更等がない限り有効としており、毎年認定書を送付することは考えていません。

厚労省も身障手帳3級から6級に準ずる人は税法上の「障害者」にあたるというのに市は寝たきり状態しかダメというのか(再質問)

【岡田議員】障害者手帳が無くても市町村長の判断で、障害者控除が受けられるというこの制度で、厚労省は身障手帳3級から6級に準ずる人は税法上の「障害者」にあたりますよと、示しているにもかかわらず、名古屋市の判断は、ねたきり状態の人以外は、非該当だとしている。
 答弁では、必要なら身障手帳の取得してくださいと勧奨しているというわけです。名古屋市は、準ねたきりにあたる人は、身体障害者手帳がなければ、絶対に控除が受けられないということですか。再度答弁を求めます。

国の通知や他都市を精査し障害者控除の対象となりうるか確認する

【健康福祉局長】準ねたきりにあたる「障害高齢者の日常生活自立度」ランクAの方を身体障害者3級

から6級に準じて、税法上の障害者控除の対象と認定するかどうかを、「障害高齢者の日常生活自立度」をもって一律に判断するのは困難と考えています。
 しかし、国の通知にも例示がされている四肢の欠損や全盲などの状態にあるなど、障害の程度が明らかなことを確認できる場合には、要介護認定の情報を参考にしながら、障害者控除の対象者として認定をする場合もあります。
今後、国の通知の内容や他都市の事例を精査し、他に障害者控除の対象となりうるケースがあるかどうか、確認していきます。

ねたきり以外は「非該当」という点は見直すことでいいか(再質問)

【岡田議員】身障手帳がなくても、税法上の「障害者」に準ずる場合もあるという説明でした。また、他に対象となるケースがないか、今後も、確認していくといわれました。そうすると、ねたきり以外は「非該当」となっていますが、ここの点は、見直すという理解でいいですか。

対象になるケースがあるかどうかを確認する

【健康福祉局長】国の通知にも例示があるように、四肢の欠損や全盲などの状態にあるなど、障害の程度が明らかであることを確認できる場合には、要介護認定の情報を参考にしながら、障害者控除の対象者として認定をする場合もあるものと認識しています。
 今後、国の通知の内容や他都市の事例を精査し、他に障害者控除の対象となりうるケースがあるかどうか、確認していきます。

介護保険のしおりや名古屋市の要綱もきちんと見直しを(要望)

【岡田議員】介護認定を受けられた方が毎年名古屋市が発行している介護保険制度のしおりというのがあります。そこに障害者控除についての説明がありますがそこにはそもそも障害高齢者の場合には税法上の障害者という区分がない。しおりの中にはその記載がない。いまの答弁では、障害者という対象者もあるかもしれないので、今後確認していくというのですから、介護保険のしおりも名古屋市の要綱も見直しをしていくと理解しました。障害者の範囲を検討していくということで理解しました。
 納税義務者の事情に合わせて、所得から一定額を控除して、納税義務者の負担を軽減するということが、所得控除の目的です。
 障害者に準ずるとして、範囲を広くとらえ、少しでも減税できるようにというための認定ですから。減税を標ぼうされる市長の下で、納税者の権利として控除が行使できるように、鋭意見直しを進めていただきたい。
 障害高齢者の日常生活自立度を使って判断しているというのが県下の大半です。相模原や川崎、横浜でも生活自立度を使って、税法上障害者という区分を持っている。そういう方をあらかじめ対象者として認定書を送付する自治体もあるのですから、送付も改めてご検討いただきたいと思います。以上で質問を終わります。

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