2023年2月議会
江上博之議員の個人質問(2023年3月7日)②「元気に飲んでカラオケ」が市名古屋城天守閣木造復元の財源を含めた収支計画の見直しを
コロナ禍で入場者数の見直しや収支計画の見直しが必要。整備基本計画を申請するなら財源も示す必要があるが、いつ示すのか
【江上議員】名古屋城天守閣木造復元の財源を含めた収支計画の見直しについてです。
戦後復興の象徴である現名古屋城天守閣を解体して、木造天守再建を目指す「名古屋城跡 木造天守整備基本計画」を名古屋市は、今年度中に策定し、文化庁に提出しようとしています。私は、市民合意のない天守木造復元でなく、「天守は耐震改修と博物館機能の充実」、東北隅櫓など焼失した施設を復元する名古屋城全体の整備計画とその実現を求めてきました。
河村市長は、木造天守を強引に建設しようとしています。しかし、基本計画そのものについては、穴蔵石垣の保存方針や木造天守と穴蔵石垣との接点に当たる基礎構造の在り方などまだまだ問題が残されたままです。問題の解決もないままの基本計画を文化庁に提出することは、もちろん認められません。さらに、基本計画は、木造天守再建を文化庁が文化財保護法に基づいて特別史跡の「現状変更許可」を行うかどうかを求めるものであって、名古屋市の施設として再建するには、財源を含めた収支計画も含めた市の計画が必要です。昨年の9月議会でも財源について質問しましたが、改めて質問します。
木造復元の財源について、市は、昨年の9月議会でも、「天守閣木造復元にかかる財源は入場料収入で賄っていくとの方針」と収支計画の変更はないと答弁されています。
収支計画では、建設費に500億円以上、維持管理費含めて、50年間で1000億円の費用が必要です。年間で20億円を充てなければなりません。建設費に充てるのは、入場料収入の75%と計画しています。入場料は、毎年25億円以上必要という計算です。入場者数は、入場料収入を市民450円、市外観光客1000円と想定して、360万人が50年間続くとしています。では、実態はどうか。コロナ前の2018年度で入場料収入約8億5千万円、220万人の入場者でした。木造復元の収支計画は、あまりに過大な入場者数を前提にした計画ではありませんか。
その上に、2020年からのコロナ禍です。距離をとって観覧するのは当たり前です。外国からの交流人口も大きく変化するでしょう。国宝にまでしたいという施設ですからゆったり観覧でき、ていねいな維持管理が必要です。ますます入場料で賄えず、税金投入はさらに必至ではないでしょうか。毎年度10億円を優に超える税金投入もあり得るのではないでしょうか。
そこで、観光文化交流局長に質問します。コロナ禍を受けて、入場者数の見直し、収支計画の見直しが必要と考えていないのでしょうか。
そのうえで、天守木造復元を実施しようというのであれば、文化庁への基本計画の「現状変更許可」申請とともに、市民に財源を含む収支計画について示す必要があります。いつまでに収支計画を示されるのでしょうか。
特別史跡名古屋城跡の魅力を積極的に発信し集客を図る
【観光文化交流局長】名古屋城は市を代表する観光施設で入場者数は2018年度・2019年度は200万人を超えていましたが、コロナ禍による観光需要低迷の影響を受け、2020年度は約52万人、2021年度は約69万人と大きく減少しました。
しかし今年度、渡航制限の大幅な緩和や、全国旅行支援、シャチ泊といった観光需要喚起策で観光需要は回復傾向で、名古屋城でも秋の夜間公開による日常とは異なる魅力創出を試みるなどの新たな取り組みを実施し、2023年1月末には入場者数が100万人を超えるまで回復しました。
今後も、木造天守だけでなく二之丸庭園等、城内の整備とプロモーションを両輪とし展開するなど、特別史跡名古屋城跡の魅力を積極的に発信し集客を図ることで、税投入ではなく、入場料収入によって名古屋城木造天守閣事業における財源を賄っていく方針です。
新たな収支計画は、来年度以降、文化庁において復元検討委員会が開始され、新たな管制期限を定めることができる段階に、その完成期限に基づく収支計画を作成し示します。
名古屋城木造天守閣事業は税投入なしでは無理。本事業を中止すべきであり、撤退を求める(再質問)
【江上議員】木造復元は、入場料で賄っていき、入場者数の見通しについて見直しをするとは回答されませんでした。入場者は、天守だけでなく、二之丸庭園など、城内の整備等も進める中で増やしていくともいわれました。これ以外にも名古屋城に係る整備予算が提案されています。そのような整備には莫大の費用が必要です。しかし、天守木造化が毎年10億円以上税金投入となったら、全体の整備が進められるでしょうか。全体の整備のためにも、天守木造化は中止すべきです。
市長に質問します。今提案されている名古屋城全体の整備を行うというのであれば、天守木造化を進めるべきでないと考えます。天守木造復元は中止するのが名古屋城全体整備を進める道ではありませんか。
図面も完ぺきに残っている。復元するのは市民の任務だ(市長)
【市長】国宝1号だった城の図面も完ぺきに残っている。こないだある学者が言っていたが、図面もすごいが写真もすごい、そういうものがある場合、それをもう一回元の状況に戻して、もう一回国宝にして1000年は大事にしていくという任務があると思わないのかね。名古屋市民として。
資料があるから木造天守復元ということにはならない。中止すべきだ(意見)
【江上議員】先人が準備した資料は大変貴重なものだと思う。全国でも名古屋城しかないことは言える。だからと言って木造天守復元の道ではない、これは中止すべきと申し上げておきます。
キーワード:大型開発・ムダ遣い見直し、江上ひろゆき