2023年6月議会
みつなか美由紀議員の議案質疑(2023年6月22日)2023年度補正予算 物価高騰対策 学校給食費の一部補助のとどまらず無償化を
【みつなか議員】通告に従い、令和5年度6月補正予算のうち、学校給食費に係る物価高騰対応支援、について教育長に2点質問します。今回の補正予算、4億2,940万円は、物価高騰の中でも保護者負担を増額せずに現在の給食の水準を維持するため、高騰する食材費の支援に必要な経費を増額するというものです。令和5年度の当初予算でも物価高騰対策で一部負担が行われており、今回はそれに追加するものとなっています。
教育長にお聞きします。消費者物価指数を根拠にしての増額だと思いますが、どの時点と比較してのものなのか、どれだけの上昇分を見込んで増額したのか。当初予算と、今回の補正予算、それぞれの根拠をお示しください。また、今回、小学校給食と中学校のスクールランチではそれぞれ一食当たりいくらの補助になるのかお答えください。
更なる物価上昇が見込まれ、支援額を再計算
【教育長】学校給食費に係る物価高騰対策支援額の算定にあたりましてはコロナ禍が始まった令和2年度における食料品の消費者物価指数を基準としております。当初予算を計上した時点では、基準からの上昇分を11%と見込んで支援額を計上しましたが、想定以上に物価上昇があり、今後更なる物価上昇が見込まれたことから、今回の補正予算では17%に改めて支援額を再計算したものでございます。金額にいたしますと、小学校給食では1食あたり264円に対して、当初予算で計上した29円の支援額を45円に、中学校のスクールランチでは1食あたり320円に対して、当初予算で計上した36円を55円に、それぞれ増額するものでございます。
地方創生臨時交付金を活用し全額補助は検討しなかったのか
【みつなか議員】保護者の負担を増額させないとの努力はわかりますが、今でも家計への給食費負担は大きく、小学校で年間5万円弱、中学校のスクールランチを毎日頼むと7万円以上です。この負担が減るわけではありません。今回の補正の財源は「新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用して行うというものです。3月末に決定されたこの臨時交付金は総額で39億8,900万円余でした。そのうち4月の補正予算の専決処分で6300万円余活用され、今回の補正予算では総額で9億7,300万円余が計上されているとのことですので、この交付金はまだ約30億円あることになります。
そこでお聞きします。物価高騰対策というのであれば、この国の交付金を活用して、一部負担にとどまらず全額負担することも期限を区切れば可能だと考えますが、全額負担については検討されなかったのでしょうか。
【教育長】名古屋市といたしましては、学校給食法等で給食に必要な施設設備や運営に伴う人件費など調理にかかわる経費は学校設置者が負担し、食材費については保護者が負担することとされていることを踏まえ、制度設計をしております。これに基づき検討した結果、保護者負担を増額することなく、現在の給食の水準を維持するため、令和5年度当初予算に対して、更なる物価高騰分を支援する補正予算案を、国の地方創生臨時交付金を活用して本定例会に提出したところでございます。
学校給食費の全額補助は可能
【みつなか議員】教育委員会は、「学校給食法」に基づいて、食材費については保護者が負担することにしているということであります。しかし、政府の事務次官通知では、これらの規定は経費の負担区分を明らかにしたものであって、給食費の補助を禁止する意図ではないということです。2018年12月の参議院文部科学委員会で、日本共産党の議員が「自治体等がその判断によって全額補助すること、これ自体も否定するものではないということでよろしいでしょうか」と、現在の給食法において、給食費の無償が可能であることを質問したことに対し、当時の柴山文科大臣は「そのように理解されるところだと思います」と答弁しています。ここで明らかなように、自治体として一部だけではなく全額負担することも可能だということです。全国の自治体でも2000年代に入って無償化が急速に増え、2017年には82自治体、2022年にはその3.8倍の254自治体になっています。さらに今年から、名古屋市と同じ政令市である大阪市が、コロナ対策としての期限付きではなく、恒久的な制度として無償にしました。東京都23区の中でも無償にする、または検討する特別区が増えています。県内でも豊橋市、岡崎市、刈谷市などで期限付きの実施を、豊田市、豊明市、犬山市、安城市などで一部の学年など限定で無償化するなど、合わせて半数近い自治体で何らかの形で無償化を進めています。
6月5日には学校給食の無償化を求める市民のみなさんが、7071筆の署名を提出し、教育委員会担当者と懇談をしました。その後も署名はどんどん集まってきています。市民の声が大きくなり世論が広がっていることのあらわれです。
物価高騰対策として学校給食費の全額補助を
【みつなか議員】物価は上がり続けているのに賃金は上がらず、実質賃金は下がる一方です。家計においてあらゆるものが値上がりしている中で、給食費の負担を減らすということが必要ではないかと考えます。
そこで市長にお聞きします。物価高騰対策として、今こそ、本市においても給食費の全額負担を、まずは、期限を区切って限定的にであっても、実施するべきではないかと考えますが、いかがですか。
「金持ち優遇になる」とこれまでの答弁をくりかえし
【河村市長】これはまあ何べんもお話しとりますように、給食費だけタダに、全部タダにしますと、金持ちの人が、金持ち優遇になりますよね。これ、タダになると。
だからそうでなくて、就学援助制度ですね。これ。今日本でトップだと思いますけど。名古屋だとだいたい年収500万円、4人家族で500万円ちょっとのとこまで。
実は給食費とほとんど同額になるんですね。だいたい平均支給額で10万円ほど就学援助しとりますけど、給食は4万7千円と。そのほかの学用品、修学旅行、主だったところでね。オンライン学習通信費、これなんか1万4千円かかっとるんです。こういうのを全部、名古屋の場合タダにしとると。低所得の方には。
ということで、いっぺん人数はこないだ指摘がありましたもんで、13%と少ないんじゃないかと。ぼくもちょっと、数がおかしいんじゃないかと。
学校給食費とほぼ同額なんですよ、ほかの金は。これはそっちをタダにしとるんです。そっちも。だからこちらの方が僕は低所得者の皆さんにはあったかいんじゃないのかと思ってますんで。もう一回人数はちゃんと調べてみますわ。どうも13%は少ないんじゃないかという気がするんです。
ですから学校給食費だけをとりあげてですね、やるというのは。物価高騰いうのは増税と同じですから実際は。これは大変まあ困難なことになるんですけど。そういう、学校給食費だけにとどまらんやり方のほうが僕は、所得の低い方にはあったかいというのは当然だと思います。おんなじ金額ですから。まあそういうことです。
学校給食費の無償化を
【みつなか議員】市長はこれまでの答弁で「就学援助制度を使えば普通の庶民は全部無料ですよ」と簡単におっしゃっておられましたが、就学援助では、どこかで線引きすることになり、市長の言われる「普通の庶民」に無償と有償の分断が生まれることになります。
今月5日、署名を提出された市民のみなさんと、教育委員会担当者との懇談の中でも、参加されたお母さんから非常に切実な声が出されました。「就学援助制度を自分は受けているが、受けることに引け目を感じたり、抵抗のある方もいて、該当するのに申請していない家庭はたくさんある」とか、別のお母さんからは「家計が大変だから、勇気を出して学校に封筒をもっていって申請したのに、困っていると勇気を出して言ったことに対して、援助の対象外だと取り下げられてすごく情けない思いをした。一体どういう援助なんだろうってすごく腹立たしかった」という話がありました。
すべての子どもに教育を受ける権利があるのですから、その享受に肩身の狭い思い、悲しい思いをさせることは、義務教育においてはあってはならないと考えます。 これは基本的人権の保障の問題でもあり、経済的に困難な人だけ無償にすれば解決するということではありません。今回の補正予算は、保護者負担を増やさないという提案であり、評価するものです。しかし、物価高騰の折、経済的な負担を軽減することとともに、教育を受ける権利を保障するためにも、さらに小学校給食費の無償化に向けて検討することを求めて質問を終わります。