2023年9月議会

岡田ゆき子議員の議案外質疑(9月15日)日本語指導が必要な子どもたちが急増 「初期日本語集中教室」増設など抜本的対策を

初期日本語集中教室の全行政区への配置を

【岡田議員】通告に従い、順次質問いたします。昨年、本会議で、「義務教育を受けることが出来なかった方々への教育の機会の確保について」質問させていただきました。質問を作るにあたり、義務教育を終えた方の学び直しの場の確保について調査する中で、実は、義務教育にある児童・生徒で外国にルーツを持つ子ども達などの日本語の習得の場が足りず、学校現場でも対応に苦慮しているという深刻な現状がある改めて知りました。

 教育委員会によりますと、名古屋市内の小中学校に日本語指導が必要な児童・生徒数は、2013年は1436人でしたが、昨年2022年度は2548人、10年間で1.7倍に増えているとのことでした。文部科学省の2020年の全国調査では10年間で1.5倍増という結果ですから、名古屋市の対象児童・生徒数がいかに急増しているかわかると思います。

 2019年6月に施行された、日本語教育の推進に関する法律は、「日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し、…日本語教育を受ける機会が最大限確保されるように行わなければならない」としています。これまでも、日本語教育の機会の拡充について、議会でも繰り返し取り上げられてきましたが、この現状に対し早期に対応が求められています。

 教育長にお聞きします。日本語習得の場として、初期日本語集中教室が北区宮前小学校と港区東海小学校に合わせて2教室あります。初期日本語集中教室は、日本語がほとんど話せない、あいさつ等簡単な言葉はいえても会話ができない等の子どもたちを対象に、3か月の間、毎日2時限の授業を受けます。
 対面式の授業で受け入れられる児童・生徒数は一日8人程度です。教員資格の企画指導員のもと、指導員1人とアシスタントボランティア5~6人で構成し、児童・生徒に対しマンツーマンで指導をしています。日本語指導が必要な児童数が増えていることから、申し込みをしても3か月から~6か月くらい待たなくてはいけないといいます。

 児童生徒は在籍する学校から、初期日本語集中教室のある2つの学校のどちらかに出向いて授業を受けます。ただし、小学生は保護者による送迎がなければ、教室を利用することができないため、昨年度から、オンラインによる教室も始まりました。このオンライン教室は、1日に受けられる児童数は2クラスで最大20人までです。前期、後期に開催されますが、対面式教室とオンライン教室を合わせても、圧倒的に学ぶ場が足りません。

 北区上飯田にある自主夜間中学いっぽ教室の主催者にお聞きしました。いっぽ教室は、自主夜間中学ですが、通ってくる小学生で日本語指導が必要な子が増えているといいます。昨年は小学生が15人でした。ところが、1年後の現在は35人まで増えています。

 「初期日本語集中教室に申し込んでも半年以上待たなくてはならないこともあり、それまでの間、いっぽ教室で子どもを見てほしいと、近隣小学校や中学校から依頼をいただくことも増えている」といいます。

 また、「半年もの間、日常会話がわからないまま学校で過ごさなければならないという事は、子どもにとってもつらいこと。母国では勉強ができる子であっても、言葉がわからなければ、学齢に応じた学習が止まってしまうことになる。初期日本語集中教室が圧倒的に足りないのは問題だ」と大変危惧されていました。 教育長にお聞きします。初期の日本語指導が必要な児童・生徒に対し、その機会が不足しているという認識はお持ちですか。初期日本語集中教室を開始した10年前に比べても対象生徒数が大幅に増加しているにもかかわらず、対面教室は2クラスのままです。各区に1クラス程度の増設を求めますが、見解をお聞かせください。

待機問題は課題と認識。対面指導の設置場所や指導方法等を調査・研究する(教育長)

【教育長】対面指導を行う初期日本語集中教室は、現在、北区の宮前小学校と、港区の東海小学校の2校に教室を設置しています。近年、入級希望者が増加傾向にあり、待機期間が生じていることは課題であると認識しています。初期日本語集中教室を新たに設置するためには、指導に当たる人材と空き教室を確保する必要があり、全行政区に設置することは困難と考えていますが、今後は、対面指導を効果的に行える設置場所や指導方法などについて調査、研究してまいります。

オンライン教室の受け手側の指導体制整備を

【岡田議員】初期日本語集中教室のオンライン教室は、在籍校にいながら初期日本語集中教室の授業を受けられるため、希望する児童も増えており、9月に申し込みをすると開始は今でしたら受けられる教室は10月もしくは11月中旬開始になるとのことでした。さらに受け入れの枠がいっぱいになれば、その次は、来年5月の教室を案内することになります。

オンライン教室は、北区宮前小学校の教室から発信されています。ところが、問題は、オンラインを受ける側の体制が組めず、その時間に対応する教員の確保ができないために、オンライン教室が受けられないことがあるということです。文科省は、日本語指導の「特別の教育課程」と同様にオンライン授業を実施する場合に、受け手の体制として教員資格者の配置を求めています。授業は1日2時限だけですが、そこにあたる教員が配置されなければ、生徒も教室も準備できても、授業を受ける事ができないのです。現状は、かつてない教員不足があり、通常の学校運営でも手が足りないところに、さらにオンライン教室のための教員を配置できないというのが、今の学校現場です。

 そこでお聞きします。今後ニーズが増えると思われるオンライン教室の受け手側の体制について、教員を配置することが難しい実態を踏まえて、今後どのように指導体制を整備していくのか、見解をお聞ききします。

「遠隔アシスタント」の拡充や効果的な配置を研究する(教育長)

【教育長】初期日本語集中教室の待機期間解消の課題に対応するため、令和4年度からオンラインによる遠隔型指導を、宮前小学校で1教室開設しました。令和5年度には2教室に拡充しています。

 この遠隔型指導の授業を受ける学校側の指導体制については、令和5年度から、日本語指導の専門性をもつ「遠隔指導アシスタント」を派遣し、教員と連携して複数体制で指導ができるようにしています。

 教育委員会としましては、今後は、「遠隔指導アシスタント」の拡充や効果的な配置などについて研究してまいります。

効果は明らか。早速来年度に増員を

【岡田議員】まず、要望です。オンライン教室の受け手側の指導体制整備について今年度から「遠隔指導アシスタント」が2名が配置されているとお聞きしています。

 教員不足で、校内の教員を常時配置することが困難であるとか、日本語指導の経験がない教員で対応は難しいなどの理由で、対象児童が在籍していても、授業を受けることができない、その課題に対して、日本語指導を経験している「遠隔指導アシスタント」を配置されて、学校からは大変好評だと。ぜひうちの学校にもと、ギリギリのやりくりをしている状況です。今年度の実績を見ても、十分効果がある事は明らかですので、研究ということではなく、早速来年度に増員を強く要望します。

日本語指導の資格を有する人材を全校配置すべき

【岡田議員】3か月間の初期日本語集中教室を終えた児童生徒は、通常学級で授業を受けることになります。しかし、引き続き、日本語指導が必要です。日常の会話ができる、日本人の友達と楽しそうにおしゃべりができても、また教科書のひらがなが読めるようになっても、物事を頭の中で考える、思考するための言葉や教科書に出てくる抽象的な文章の概念を獲得するために必要な「学習言語」の習得には、さらに5年から7年もの歳月を要するとも言われています。文章が理解できない、文章の意図が読めない、自分の考えを日本語で説明することができない等、言葉による障壁の解決には、日本語指導を引き続き受けられる環境をつくる必要があると考えます。

 今年創設された「日本語教育機関の認定制度などに関する法律」において、これまでの日本語教師を、今後、登録日本語教員として国家資格に格上げしていくと聞いています。

 日本語指導を必要とする児童・生徒が在籍する学校には、通訳としての母語学習協力員に加え、登録日本語教員の活用も見据えて、日本語指導の資格を持った人材の配置を進めるべきと考えます。見解をお聞きします。

効果的な配置や活用を調査・研究する(教育長)

【教育長】現在、国では日本語教師を国家資格とし、来年度から「登録日本語教員」としていく方針が出されましたが、詳細な内容は示されておりません。

 今後は、国の動向を注視するとともに、日本語指導の資格を有する人材の効果的な配置や活用などについて、調査・研究してまいります。

新たに3校目の設置を考えているということでよいか。

【岡田議員】再質問いたします。初期日本語集中教室の全行政区へ配置を求めました。それは、日本語指導が必要な児童数が昨年は2500人超え、今年度はさらに増えて2700人に達すると聞いています。

 一方、1年間で、初期日本語集中教室を受けられる児童・生徒数は、最大で、対面式は約60人、オンラインは2教室で40人、合わせて100人程度です。全体の3~4%に過ぎません。

 先ほども言いましたが、北区の自主夜間中学の登録は190人にもなっていますが、うち、小学生35人で中学生も合わせると60人です。一ボランティア教室で。

 文科省が2021年度の日本語指導が必要な児童・生徒数を公表していますが、愛知県だけがとびぬけて多いのは教育長はご存じだと思います。その現状を考えれば初期日本語教室の数が2教室でいいのかということだと思うんです。

 希望する児童・生徒が増えて、待機が出ていることは課題だとおっしゃいました。設置場所や指導方法を調査、研究するというご答弁でしたが、これは新たな教室が必要だという認識でよろしいでしょうか。

対面指導や遠隔型指導を効果的に実施出来る方法を研究する(教育長)

【教育長】初期日本語集中教室で待機期間が生じていることは課題であると認識しておりますので、対面指導や遠隔型指導を効果的に実施できる方法について研究してまいります。

初期日本語教室の増設、日本語教師の常備配置は緊急課題。ぜひ現場をみてほしい

【岡田議員】新たな三教室目を求めたいと思います。実際に現場をみていただきたいと思いますし、初期日本語教室を終えた子ども達がどういう風に学習の困難を抱えているのかもぜひ現場を見ていただきたいと思います。とにかく、圧倒的に学ぶ機会が足りないのは事実ですし、取り残されている子どもが言語において、これだけいると、私も認識しました。

 初期日本語教室の増設と、日本語指導できる資格をもつ人材、来年度登録日本語教師が始まることも見据えて、学校への常時配置も緊急で必要だと思います。

 これらすべてを検討していただく事も求め、質問を終わります。

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