名古屋港管理組合議会 みつなか美由紀議員(3月26日)港の管理に指定管理者制度を拡大 名管は港湾管理者の役割果たせるのか(第5号議案 名古屋港管理組合港湾施設条例の一部改正について)
【みつなか議員】
通告に従い、第5号議案 名古屋港管理組合港湾施設条例の一部改正について質問します。
この条例改正の主な目的は、さらなる港湾管理の効率化に向けて、在来ふ頭関連施設の管理運営業務についても指定管理者制度を活用できるようにするというものと確認しています。
つまり、名古屋港管理組合による在来ふ頭関連施設の管理運営では、今以上の効率的な管理運営は期待できないという問題意識があるということだと思います。在来ふ頭施設は、名古屋港管理組合が管理する公の施設であり、本来は直営で管理運営するのが基本です。
また、具体的な導入対象は、コンテナ貨物を除く在来貨物を担うふ頭関連施設ということですが、在来ふ頭は名古屋港の全域に及んでおり、荷捌き施設である上屋だけでも25棟あると伺っています。
指定管理者制度の対象を拡大
【みつなか議員】
そこで、まず3点お聞きします。
今回港湾施設条例を改正し、指定管理者制度を導入する目的はどういったところになるのでしょうか。管理組合による施設の管理運営のどういう点が、効率化を妨げる点になっているとお考えか。またそれが指定管理者制度を導入することでどう変わるのでしょうか。
【総務部長】
船舶の大型化や基幹航路の寄港地の絞り込みなど港湾を取り巻く環境が厳しさを増す中、現下の社会経済情勢はデジタル化、脱炭素化、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の働き方改革など、大きな変革期にあります。
こうした中、名古屋港が引き続き中部圏の物づくり産業や県民・市民 くらしを支え、利用者に「選ばれる港」として持続的に発展していくためには、利用者ニーズや環境の変化に対し、迅速かつ的確な対応が可能となる管理運営のさらなる効率化の取り組みを進める必要があります。
そこで、昨年度、第6次行財政改革計画を策定し、その取り組みとして、在来ふ頭関連施設の管理運営業務について、港湾施設条例改正により指定管理者制度を活用し、利用者の利便性と効率性のさらなる向上をはかることができると考えているため、導入を決定したものであります。
指定管理者の選定方法は
【みつなか議員】
港の管理運営は非常に特殊で専門的な仕事です。名古屋港の広いエリアを管理運営するためにはかなりの力量も必要で、それを担える企業は数少なく限られていると思います。すでに想定している業者があるのか、どういう形で委託業者を募集して、選定していくのか。お答えください。
具体的に、どの施設のどういった業務を指定管理者に委ねるのか。施設ごとや、ふ頭エリアごとに分割して指定するのか、一括して指定するのか。そして、指定管理者制度の導入で、どのような効果を期待しているのか。
また、様々な業種があり、多くの業者が出入りし利用する施設では、利用者調整で、公平性、公正性がどうきちんと担保されるのかというところが重要だと考えますが、いかがですか。
以上で一回目の質問を終わります。
【港営部長】
指定管理者は、令和6年度に設置を予定している外部有識者で組織する選定委員会において、優先交渉権者を決定し、令和6年11月議会での議決を経て指定していきたいと考えております。
また、本組合としては、外貿コンテナふ頭、フェリーふ頭等の管理運営の十分な経験を通じて港湾の特殊性・専門性の知見を有するとともに、名古屋港関係者との信頼関係を蓄積した十分な実績のある名古屋港埠頭㈱が指定管理者として有力な候補者になるものと考えております。
指定管理者制度の導入する施設は、名古屋港において在来貨物を取り扱うふ頭に関連する公共の係留施設、荷捌き施設、保管施設などの港湾施設であり、一体的に施設の使用許可や維持管理などの日常業務を指定管理者に担ってもらうことを想定しています。
制度を導入することで、民の柔軟かつ機動的な対応力が発揮されることが期待され、施設への利用者ニーズの迅速な対応が可能となり利便性の向上が図れると考えております。
また、名古屋港の港湾施設は、様々な利用者がおり、これを法令等に基づき公平・公正に利用に供する必要があり、指定管理者の指定後には、本組合が行うモニタリングを通じて運営の安定性などの状況をしっかり確認してまいります。
港湾管理者の役割が弱まらないか
【みつなか議員】
ご答弁ありがとうございます。
名古屋港埠頭㈱を指定管理者に想定しているということですが、指定する団体の想定があり、そのために条例を得る。順番が逆になっている気もします。また、効率性の向上、機動的になるということですが、管理組合の業務の改善で対応できるのではないかと感じています。
効率性、利便性の向上も必要ですが、港湾管理で一番大事なことは公平性、公正性がたもたれるかということです。今の憲法のもと、1950年に港湾法が制定されましたが、これは、国家によって港湾が戦争に利用されたという経験を経て、港湾管理を国の采配ではなく、地方公共団体に担わせるとなったものです。
港湾法の12条には、港湾管理者の業務として「港湾施設を良好な状態に維持すること」と明記されています。港湾施設の管理運営は港湾管理者のいわば本業です。その本業を丸ごと指定管理者に委ねてしまっていいものか。チェック、確認をするということでは、管理組合の役割が変質するのではないかと考えます。また、指定管理者制度の導入によって、議会の関与、チェックも弱まるのではないかということも危惧されます。
最後に一点お聞きします。
「港湾施設を良好な状態に維持すること」は港湾管理者の基本的責務です。指定管理者制度の導入ではなく、管理組合がしっかり担うべきではないでしょうか。地方公共団体が港湾管理を担っていることの重み、意義についてどのようなご認識をお持ちかお尋ねします。
【総務部長】
港湾法に、港湾管理者の責務として「港湾施設を良好な状態に維持すること」が明記されておりましが、そのために必要な業務のうち、今回指定管理者が担う業務は、港湾施設の設置目的に追った日常的な施設の維持業務等を考えております。
また、港湾法により定められた港湾計画の作成、港湾施設の建設、名古屋港の防災をはじめとする港湾管理者の業務など、今回、指定管理者が担う業務以外は、これまで同様、本組合がしっかりと担ってまいります。
なお、本組合は、特別地方公共団体である港湾管理者として、港湾法で定める責務をしっかりと果たしていくとともに、港湾施設の公平・公正な利用を意識しながら名古屋港の管理運営に努めてまいります。
今後とも、時代に応じて、名古屋港の管理運営のさらなる効率化に向けて取り組み、利用者の在来貨物を取り扱うふ頭関連の公共の係留施設、荷捌き施設、保管施設などの港湾施設を対象として、使用許可や施設の維持修繕などの日常業務を指定管理者に担ってもらうことで、民の柔軟かつ機動的な対応力により、利用者の利便性と効率性の向上が図れると考えております。
【みつなか議員】
再度のご答弁ありがとうございました。指定管理者制度のさらなる拡大にはなお多くの問題があると思いました。この問題についてはこれからも議論をしていきたいと思います。以上ですべての質問を終わります。
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