修学旅行先に大阪・関西万博―子どもたちの安全守れるのか
共産党市議団が教育長に慎重な対応を申し入れ
市立学校の修学旅行先に大阪・関西万博を活用することについて、日本共産党市議団は11日、坪田知広教育長に慎重に対応するように要請しました。(右写真、左から坪田、田口、みつなか、岡田各氏)
修学旅行で大阪万博へ動員
名古屋市教育委員会は、昨年3月23日付で、市立学校長に対し「修学旅行等における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」を送付しました。万博協会作成の「大阪・関西万博 教育旅行のご提案」などの資料を添えて、「計画にあたっては、資料を確認の上、計画・準備を進めること」としています。
国や県からの依頼が続くなか、修学旅行や校外学習で子どもたちを万博に動員することへの懸念の声が広がっています。大阪府内の市町村教育長からも、安全・安心の確保に大きな不安があるとして、必要な対応を求める緊急要望書が府教育委員会に提出(5月1日付)されたほどです。
「いのちの危険」「災害への対応不十分」
今年3月に夢洲1区でガス爆発事故が発生しました。夢洲では現在でも可燃性ガスが発生しており、危険は解消していません。当地は観光バス駐車場や教育関係団体休息所の予定地です。
さらに、バス駐車場から会場入り口まで1キロ近い徒歩移動を強いられ、屋根付き団体休憩所(2千人規模)は小学生優先でピーク時の混乱が想定され、中学生の昼食場所の確保や熱中症対応、雨天時の対応が難しい、道路や公共交通機関は混雑が予想され、地震など災害時の避難経路も不明確など、子どもたちの安全に関わる数々の問題点が指摘されています。
このままでは「いのち輝く」をテーマに掲げる万博が、子どもたちに「いのちの危険」を生じさせる事態になりかねません。災害リスクへの対応は十分とは言えません。会場の安全性に対する懸念や不安が解消されないなかで、修学旅行先として推奨すべきではありません。
教育委員会は慎重な検討と対応を
このようなもとで、子どもたちの修学旅行先として大阪・関西万博を選定することには大きな問題があります。
申し入れで、党市議団は坪田教育長に対して、①大阪・関西万博を修学旅行先とすることについて、市教委自ら問題点を検証したうえで、慎重に対応すること ②大阪・関西万博を修学旅行先として決定している、また検討している学校には、子どもたちの安全確保最優先の観点から再度、慎重な検討を求めること ③大阪・関西万博の中止を国に求めること―を要請しました。
大阪・関西万博は、増え続ける巨額の事業費やパビリオン建設の大幅な遅れ、国民の関心が低く運営費さえ賄えないチケット販売状況、カジノとの関連など、数々の問題が指摘されており、いまや行き詰まりと破綻に直面しています。大阪・関西万博は中止を決断すべきです。