2024年9月定例会
みつなか 美由紀議員の議案外質問(9月18日)加齢性難聴者への補聴器購入助成制度の創設を
補聴器は加齢性難聴の方の生活を改善に有効な手段
【みつなか議員】
通告に従い、加齢性難聴者の補聴器購入助成について質問します。
パネル(右)をご覧ください。「『聞こえにくさ』を感じていませんか?」これは厚生労働省が「聞こえ」の重要性をネットで公開し、補聴器についての指摘をしているものです。ここで強調したいのは、補聴器を使うことによる認知症の予防効果や、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)改善も報告されています。と厚生労働省が堂々と発信していることです。
聞こえにくくなると生活にどのような影響が出るのか。ということもネットで見ていただくと、この後に続いて書かれています。コミュニケーションが円滑にいかなくなると、自分の気持ちをうまく伝えられない等ストレスを感じることもある。自信をなくしたり、社会的に孤立し、うつ状態に陥いるなど、社会生活に悪影響を及ぼす可能性もある。危険を察知する能力が低下し、例えば車が近づいてきても気が付かないなど、交通事故などのリスクが高くなる等です。最近は、難聴により認知症の発症リスクが高くなることが報告されています。厚生労働省がこのように言っています。
実際私が直接聞いたり、経験したこともまさにこれに当たります。「健康のためにウォーキングしてたら、すぐ後ろまで車が来てて危なかった」「みんなが何話とるのか、よーわからんかったけどとりあえず笑っといた」難聴は微笑みの障害ともいわれています。「実家の父に何回電話しても出ないので、倒れてるんじゃないかと心配した」これは私の経験です。聞こえにくさは、本人や周りの人、家族にとっても生活の大きな支障となります。命の危険にもつながります。
また、補聴器を使うことで脳の機能が回復するとも聞いています。知り合いの人は耳鼻科の先生から「補聴器の使い始めは雑音も入ってきてうるさく感じるが、使い続けることが大事」といわれたということでした。それは、私たちの脳は雑音と聞きたい音を無意識により分けていて、聞きたい音がちゃんと聞こえるようになっているが、耳が遠くなって時間がたつとその能力が低下する。そうなってから補聴器をつけると、いろんな音が入ってくるのでうるさく感じるが数か月使っていると、脳の、音をより分ける能力が復活してきてちゃんと聞こえるようになるということだそうです。その方は「3か月使っていたらその通りうまく聞き取れるようになってきた」と言っていました。
そこで、健康福祉局長にお聞きします。補聴器を使うことで聞こえ方を補助することは、加齢性難聴の方の生活を改善するうえで、非常に有効な手段だと考えますが、どのような認識でしょうか。
また、高齢者人口が増える中で加齢性難聴者の方も増えていると思いますが、その割合等実態を把握されていますか。
広がる補聴器助成制度
【みつなか議員】
この間、請願や、わが会派の質問に、「エビデンスが確立されていない」との答弁が繰り返されてきました。しかし、そのエビデンスが確立していない中でも、補聴器購入助成をする自治体が大変増えています。全国では286の自治体で、愛知県下でも17の自治体、約3割が助成を始めています。
こちらは同じく政令市の相模原市の事業をパネル(下)にしたものです。介護予防を促進するため始めた事業です。令和4年7月から令和6年3月までで、293件の申請があり、148人が補聴器の購入に至っています。補聴器を購入した方へのアンケートも実施されていて、「よかった」という声が大半で、ご家族の方への質問もあり「テレビの音を抑えられるようになった」とか「会話がスムーズにできるようになってお互いに落ち着いた生活ができるようになった」などの声があります。また、同市が、北里大学監修のもと発行しているパンフレットの中の1ページがこちらですが、「難聴には補聴器が有効!」と堂々とうたっています。そのままにしておくと認知機能の低下やうつ傾向に。早めに補聴器を使用すると笑顔あふれる生き生きとした毎日に。「早めに補聴器を使い、脳へ刺激を届けましょう」と呼びかけています。
政令市では岡山市が今年8月から始めました。私は岡山市に聞き取りをしました。団体から要望書が出されたり議会での質問があったこと、そして他自治体の取り組みを参考にして助成制度を始めたとのことです。制度の目的は、「聞こえづらさによって生じる日常生活の不安を解消すること。コミュニケーション能力を向上させることで社会参加を保障すること」です。また、認知症との因果関係については、エビデンスはまだ確立されていないが相関関係はあると認識しているとのことでした。
エビンスの確立に関係なく、今聞こえにくくて生活に支障をきたしている方の生活を改善することに重点を置いて対策するべきと考えますが、いかがお考えですか。全国の取り組みからも、いよいよ名古屋市でも補聴器購入助成を行うべきと考えますが、いかがですか。健康福祉局長の答弁を求めます。
以上で一回目の質問を終わります。
健康福祉局長「補聴器の有効性・必要性は個別に判断が必要」
【健康福祉局長】
健康福祉局に加齢性難聴者の補聴器購入助成についてお尋ねをいただきました。
補聴器を使うことで聞こえ方を補助すること聞こえ方を補助することが、加齢性難聴の方の生活を改善する上で非常に有効ではないかいうことにつきましては、補聴器を使用することの有効性や必要性はそれぞれの人によってまた置かれた環境によって異なることから、個別に判断する必要があると考えております。
また、高齢者における加齢性難聴の方の割合につきましては、難聴を含む小聴覚障害による身体障害者手帳の交付対象者の人数は把握しておりますが、身体障害者手帳の交付対象とされていない中程度の難聴者につきましては、本市における人数等のデータがないことから把握はしておりません。
国におきまして、平成30年度から聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究が進められており、現段階では結果が示されていない状況でございますので難聴を含めまして、加齢に伴う身体機能の低下に対応した社会生活上の支援を行うことにつきましては、実施による効果を見極めながら検討する必要があると認識をしております
【みつなか議員】
補聴器の有効性は、個別に判断する必要があるというご答弁でした。個別にと言ことは、補聴器を使うことでコミュニケーション能力の向上や、生活改善が見込まれる人もいるということはみとめると。では、そういう方にどう支援ができるかということが課題になっています。
加齢性難聴の方の数や割合については把握していないとのことです。また、難聴を含め、加齢に伴う身体機能の低下に対応した、社会生活上の支援を行うことについては、実施による効果を見極めながら検討する必要があるとのご答弁でした。
兵庫県では、まさにこの実施による効果を調査しています。上限2万円補聴器購入費用を助成することで、補聴器を購入し調査に協力してもらうという、なかなかユニークな方法です。補聴器の使用前後で、社会参加の日数が増えたという結果が出ています。日数が「増えた」「変化なし」と答えた人の理由として「補聴器を使用したことで社会参加がしやすくなった」と答えた人が一番多く、43.6%という結果でした。
また、先ほどのご答弁では、購入助成制度については、国において、「聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究」が進められているが現段階では結果が示されていないということでしたが、様々な報告があります。
国立長寿医療研究センターは、軽度認知障害は認知症の前段階であり、認知症を予防するには軽度認知障害をできるだけ早期に発見して対策をすることが重要。そして、軽度認知障害を悪化させないためには、持病を悪化させないとか、食事や運動習慣を見直すなどと並んで、社会的活動に参加する、他者とのコミュニケーションをとるということが大事だという報告をしています。
日本耳鼻咽喉科頭頚部(とうけいぶ)外科学会の報告では、補聴器を使用する前には「人と会話するときに聞こえにくくてイライラしますか」や「何人かで話すときに聞こえが悪いために取り残されている感じや疎外感を感じることがありますか」の問いに「はい」「時々」としていた回答が、補聴器導入後6か月で軽減した。また、補聴器を使うようになってから、健康・スポーツや地域行事などの社会活動に参加する機会が増えたということです。
このように、他都市の調査や、様々な機関の報告でも、補聴器の使用が聞こえにくさを改善させ、社会参加を促進する効果を示しています。
そこで、再度健康福祉局長にお聞きします。聞こえにくさが、コミュニケーション能力の低下、うつ状態や、社会参加の減少につながるとの認識はありませんか。補聴器の使用によってそれらが改善されたとの報告についてはどのように受け止められますか。「実施による効果を見極める」というのであれば、まずは実態を知ることから始めるべきと考えますが、調査を始めるお考えはありませんか。
「実施による効果を見極めながら検討」「国の動向を注視する」
【健康福祉局長】
健康福祉局に加齢性難聴者の補聴器購入助成に関し、補聴器の使用によりコミュニケーション能力の低下等が改善されるとの報告の受け止め方につきまして、再度のお尋ねをいただきました。
聞こえにくさが、コミュニケーション能力の低下、うつ状態や社会参加の減少に繋がっているということにつきましては、そのような指摘報告があることは承知をしているところでございます。難聴含めまして、加齢に伴う身体機能の低下に対応した社会生活上の支援を行うことにつきましては、
実施による効果を見極めながら検討する必要があると認識をしているところでございます。このため、引き続き実態の把握などを含めまして、国の動向を注視してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたく存じます。
【みつなか議員】
指摘や報告があるということは承知しているとのことでした。しかし、それでは名古屋市はそういう認識ではないということですか。健康福祉局長、お答えください。
【健康福祉局長】
そのあたりの認識につきましては私どもも国の動向それから他都市の効果等をしっかりと見極めながら判断をしてまいりたいと考えてございます。
【みつなか議員】
他都市の調査や、報告そして最初にも示しましたように、厚生労働省もそのように報告発信をしているところでありますが、それでもまだ認識を持っていうことはそしてさらに独自の調査をしないということでありまして、あまりにも無責任であり、遅れた認識と言わざるを得ません。そして、調査については、実態の把握も含めて、国の動向を注視するというご答弁でした。名古屋市は独自に何かされないんですか。国の動きを見るということでしょうか?いつまで様子見をするのか。国の国が助成制度を作る、それまで名古屋市は何もしないのか、健康福祉局長、お答えください。
【健康福祉局長】
健康福祉局に再度お尋ねをいただきました。繰り返しになりますけれども大変申し訳ございませんが、聞こえにくさや何かがコミュニケーション能力の低下、それから社会参加の減少に繋がっていると、そういうことにつきましてはそのような指摘報告があるということは重々認識をしているところでございます。それと補聴器購入助成についてでございますけれども実施による効果というのはしっかりと見極めなければならないというふうに考えております。それをもってしっかりと検討していく必要があると考えておりますので、実態の把握などを含めまして、国の動向もしっかりと注視して考えていきたいというふうに思いますのでよろしくお願いいたします。
補聴器購入助成で社会生活の支援を
【みつなか議員】
あくまでも国の動きということに終始する、そういう非常に、残念でなりません。補聴器は、聞こえにくさを補うものとして効果があるということは一般的に認められていると思います。その聞こえにくさが社会参加を阻害する要因の一つになっているということも当たり前になってきています。
今、実際に聞こえが悪くて生活に支障をきたしている人がいます。お金がある人は補聴器を買って使う。買って使えるけれども、そうでない人は、補聴器を使えば生活が改善されるとわかっていても、買えないなら仕方がないと思っておく。何そんな名古屋市でいいはずがありません。国の制度も活用できるものがあります。初めに紹介した相模原市ですが、国の保険者機能強化推進交付金、これは市町村や都道府県の高齢者の自立支援重度化防止等に関する取り組みを推進交付金を利用して介護予防促進という観点で助成を行っています。様々な自治体の実施状況を研究し、早急に名古屋市でも実態把握をすること、そして、加齢性難聴者の補聴器購入助成制度の創設を検討することを強く求め、質問を終わります。
キーワード:みつなか美由紀