2024年9月定例会

岡田 ゆき子議員の議案外質問①(9月24日)政令市で唯一「選択制」に固執する名古屋市 中学校でも全員給食の実施を 

【岡田ゆき子議員】

 通告に従い、初めに、市立中学校における全員制給食の実施について教育長に質問します。スクールランチと家庭弁当の選択制給食が始まって28年目となります。メニューの工夫や温かさの追求等これまでに様々取り組まれてきましたが、選択制により、スクールランチの喫食率は、昨年度で平均49%、近年はやや低下傾向にあります。また、喫食率は学校により格差があり、最も高い学校で96%、一方で、15%という低い学校もあります。

スクールランチ・アンケートを全中学校対象に実施中

【岡田ゆき子議員】

 教育委員会は、毎年、スクールランチを選択する生徒とランチを試食された保護者にアンケートを行ってきましたが、昨年度から3年間かけて、初めて、スクールランチの喫食の有無にかかわらず、生徒と保護者にアンケートを行っています。全学校から各4クラスを選び、生徒の1割弱に対して行うものですが、全学校対象にアンケートを行う目的は何か、お聞きします。

「スクールランチをより良くするために実施する」(教育長) 

【教育長】

 スクールランチをより良く運営していくため、令和4年度までも生徒及び保護者向けにアンケートを実施しておりましたが、生徒については毎年8中学校を対象とし、また保護者についても試食会に参加された方のみを対象にしておりました。議会からのご指摘もいただき、より多くの意向を確認し、今後のスクールランチの運営に反映させていこうと考え、3年間ですべての中学校を対象としたアンケートを実施することといたしました。

昼食を食べない生徒が100人(推定)にも。当局の受け止めは

【岡田ゆき子議員】

 今年、6月13日に行われた「スクールランチに関する生徒アンケート」の回答から、昼食の時間があったと答えた2394人のうち、スクールランチを食べた生徒は1363人56.9%です。家庭弁当を食べた生徒1003人41.8%。「何も食べなかった」と答えた生徒は5人。0.2%いました。全中学生で推計すると約100人いたことになり、数字として明らかになったのは初めてで、見過ごせない数字です。第2次成長期、また思春期で、バランスの取れた食事が欠かせない時期に、食べるものがない状況があったことについて、どのように受け止めていますか、お聞きします

「日ごろから食べ物がない生徒はいない」(教育長)

【教育長】

 令和6年度に実施したアンケートでは、アンケート当日の昼食について「何も食べなかった」と回答をした生徒が5名おりました。アンケートは無記名のため生徒の特定はできませんが、学校に状況を確認したところ、体調不良などの理由で食べなかった生徒がいたことは否定できないものの、日頃から食べるものがなく昼食を食べない生徒がいる状況ではございませんでした。

全員制給食ではありえない。生徒が成長期にあるという認識が弱いのでは

【岡田ゆき子議員】

 中学校給食について、教育長に再質問します。生徒アンケートで、食べなかった生徒がいたことは否定できない、と言われましたが、全員制給食ではあり得ないことです。コンビニ弁当等を食べた生徒も、13人、推計で全中学生のうち約270人いるということになります。新潟市は、コンビニ弁当で何を食べているか、に注目した教員アンケートもしていました。栄養摂取の面で心配な生徒がいるという学校が、7割あるとの回答でした。名古屋市の中学校でも食べていない、またはコンビニで済ましている生徒がいることに対し、成長期に大丈夫なのかという認識が弱いのではないかと思います。

全員制給食の方針すらないのは名古屋だけ。実施を検討すべきでは

【岡田ゆき子議員】

 他の政令市では、中学校給食がどのように実施されているか。パネルをご覧ください。全員制給食の方針さえ持っていないのは名古屋市だけでした。では、他の政令市の多くがなぜ、「家庭弁当との選択制」から「全員制給食」に切り替えたのか。それぞれ、検討過程や方針などから見えるのは、「適切な栄養摂取による健康の保持増進が期待される」「小学校から中学校まで切れ目のない食育」「中学生個々のおかれた環境にかかわらず、栄養バランスのとれた食事を摂取することは、成長期にある中学生の心身の健全な発達に資する」「学校給食の教育的意義を改めて見直す」「給食により食育効果を向上させる」等の判断があったということです。ある政令市では、調査の中で、家庭弁当の代わりに「おにぎり」「パン類」といった簡易な食事で済ませていて、「栄養バランスの取れた昼食をとっていない」ことが、明らかとなったことを機に全員給食の導入に踏み切っていました。

 全員制給食の実施方式を見てください。実施方法はさまざまです。名古屋市は、民間調理施設からの食缶と弁当箱で配送する仕組みですが、各学校の調理場で作る「自校調理方式」、小学校の調理場で中学校分も作り、配送、配膳を行う「親子調理方式」、また、センター方式では整備、運営の費用の面で負担は大きいですが、進めた政令市もあります。大阪市は、整備にかかる費用や時間を比較し、親子方式が最も負担少なくて済み、効率が良いと判断し、さらに大規模改修などの機会には順次調理場を整備し、自校調理方式に変更しています。方法はさまざまでも、全員制給食にすることの重要性が検討され、方針を決定していることは、注目すべきと考えます。名古屋市においても、全員制給食の検討をする必要があるのではないでしょうか。認識を伺います。

「保護者・生徒向けのアンケートでは今の方法(選択制)が支持されている」(教育長)

【教育長】

 令和5年度、6年度に実施したアンケートの結果によりますと、生徒の約98%、保護者の約88%が「今の方法でよい」と回答しており、現在の家庭からのお弁当とスクールランチの複数のメニューから選択する方式が支持されていると考えております。このことを踏まえ、引き続きスクールランチを実施し、魅力あるものとしてまいりたいと考えております。

実際の保護者の声は違う。全中学校の1/4がスクールランチの喫食率3割以下

【岡田ゆき子議員】

 生徒、保護者とも9割8割が「今の方法でよい」と、支持されているとの答弁でした。しかし、保護者から聞く声は、違うのです。保護者から、「働く親が多いので中学校で給食が出たら助かる」との声、「仕事がきついので、ランチを頼んでほしいが、ほとんどの家庭が弁当を持たせているので「いわゆる同調圧力を感じ」て弁当を作っている」のだといわれます。喫食率の紹介をしましたが、喫食率が10~30%台と低い学校が、昨年度では26校あり、全体の1/4に上ります。横浜市のはま弁、神戸市、新潟市はランチの喫食率が低いことも、全員給食を始めるきっかけになっていました。名古屋もスクールランチの喫食率が低い中学校がある現状も踏まえ、本市として全員制給食を検討すべきではないですか。再度聞きます。

「喫食率が低い学校の現状を改めて把握するが、選択制は継続する」(教育長)

【教育長】

 喫食率が低い学校の現状などを改めて把握し、そのことも踏まえまして、引き続きスクールランチをより魅力あるものとしてまいりたいと考えております。

選択制給食から全員制給食への転換を

【岡田ゆき子議員】

 選択制を頑なに続けるという答弁でしたが、喫食率の低い学校の現状など改めて把握するといわれました。意見を述べます。家庭弁当に係る経費は就学援助の対象ではないので、家庭が負担することになります。ある保護者は、就学援助を受けていますが、家庭弁当の友だちに合わせて、子どもにも弁当を持たせていて、お金がかかっているといいます。就学援助率が、スクールランチの喫食率よりも高い学校があるとすれば、何が起きているのか、生徒の現状を再度丁寧に把握していただきたい。

 また、現状のスクールランチはアレルギー対応がないことや、食育を担う栄養教諭の配置が十分とは言えません。全員制給食へ転換が必要だと様々指摘しました。アンケートには表れない課題があると認識いただき、全員給食の方針を名古屋市も持っていただくことを求めます。

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