2024年9月定例会

2024年9月定例会 本会議 みつなか美由紀議員の2023年度決算認定案に対する反対討論

「富裕層優遇の市民税減税」「見通しのない大型事業」
行き詰まりの市政を投げ出した前市長

 私は、日本共産党名古屋市議団を代表して、一般会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。

「名古屋城天守閣木造復元」は見通したたず

 理由の第一は、見通しのない不要不急の大型事業を推し進めてきたことです。その一つは、行き詰まった「名古屋城天守閣木造復元事業」です。市民の合意のないまま進められてきたこの事業は2023年6月の市民討論会で、差別発言が出て人権問題を引き起こしました。そこでストップしたまま、2023年度に予定していた実施設計さえまとまる見込みがありません。

 検証委員会からの最終報告は出されましたけれども、市民の納得と合意は得られておらず、いつ動き出すかも全く見通せません。これは最上階までの昇降を望む障害者の希望よりも、木造復元を最優先にした前市長のエゴによるものです。

 完成どことか、着工のめども立たない状況であるにもかかわらず、契約済額では129億円以上、支払いは総額で、すでに88億4700万円以上にのぼっています。このうち、市の一般会計からは累計で16億4500万円以上も支出されています。さらに計画当初には想定されていなかった木材の保管料で毎年一億円を費やし、現天守閣の維持管理費も無駄に増加しており、一般会計を圧迫している要因になっているといわざるを得ません。

 しかも前市長はこんな混乱を招いたまま投げ出してしまいました。

徳山ダム導水路事業から撤退を

 二つは、木曽川水系連絡導水路事業です。前市長も「水余りを」を認め「無駄なダムを作ってまった」と言っていたのに、突然方向転換しました。水需要は年々減っており、今後も人口減少でさらに減っていくことは明確です。そして、木曽川の渇水時に揖斐川には十分な水があるとは限らず、揖斐川からわずかに直接取水したとしても大渇水時の対応はできません。

 工業用水道についても、地下水を揚水する事業所数、揚水量ともに減少し、地盤沈下が20年近く沈静化している下で、地盤沈下対策の名目で木曽川水系連絡導水路事業に参加する必要はありません。

 「造ってまったもんで」ということで、何とか活用しようと苦肉の策で考え出した新用途についても、導水路の着工までに具現化される見通しはなく、水を一滴も使っていない徳山ダムへの無駄な支出の上に、導水路事業はさらに無駄の上乗せをすることになります。これは未来世代により大きな付けを回すことになるものです。

名高速JCTの追加整備・中部国際空港の2本目滑走路

 三つは、都市高速道路のインター・ジャンクション整備です。自宅マンションの目の前を高速道路が通ることになる住民は、騒音や日照被害など生活環境が大きく悪化する懸念があります。住民の理解と納得が得られていないインター・ジャンクションの追加整備は中止することを求めます。

 四つは、中部国際空港の第2滑走路です。航空需要の伸びがコロナ前に回復していません。将来の需要予測が立てられないもとで、新たな代替滑走路の整備を急ぐ必要はありません。

市民生活に効果なしの市民税減税

 理由の第二は、富裕層優遇の市民税減税を漫然と続け、市民の暮らしを圧迫したことです。昨年度、減税額がトップの方は、約430万円も減税されました。こんなにも減税される方の収入は、一定の条件の下での試算では約14億円だそうです。納税者の0.1%に過ぎない収入が概ね7000万円を超える大金持ちが、20万円を超える減税の恩恵を受ける一方で、半数近い市民には減税が適用されません。物価の高騰で苦しんでいる庶民には、減税の恩恵はまったくないか、ごくわずかです。こうした減税は、所得の再分配で格差の是正をはかるという所得再分配機能を損なうものと言わなければなりません。

 昨日市長を失職された河村たかしさんは、「名古屋は減税に成功した甲斐あって、税収の伸び率、日本一!」と歌っておられますが、河村市政が誕生した2009年度以降の税収の伸び率は昨年度、本市は、旧5大都市では3番目、指定都市では8番目であり、日本一というのは事実ではありません。事実ではないことを吹聴しなければ効果を語れないところに、河村「減税」のお粗末さが表れています。

 こんな〝大金持ち減税〟はやめて、税収を約96億円増やし、それを小学校給食費の無償化や国保料の引き下げなど、物価高騰から市民の生活と命を守るために活用すべきだったのであります。

 以上反対理由を申し上げて討論を終わります。

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