3月10日 2月定例会 田口一登議員 議案質疑
児童相談所の人材育成・体制強化を
田口一登議員 児童虐待防止条例改正案について議案質疑
3月10日の本会議で田口一登議員は、自民・民主・公明の三会派が提案した児童虐待防止条例の改正案について議案質疑を行いました。
議員提案で制定された条例
名古屋市児童虐待防止条例が議員提案で2013年に制定されてから10年余。市の児童虐待防止対策は、3か所目となる東部児童相談所の新設など前進しています。一方で、児童虐待相談の対応件数は、この間に2倍以上に増加しており、さらなる施策の充実が求められています。
児童福祉司・児童心理司の育成
児童相談所の人材育成や体制強化は、引き続き重要な課題。児童相談所で虐待を受けた児童の保護や相談に対応し、専門的な技術に基づき必要な指導を行う児童福祉司や児童心理司は、この間の増員で、来年度には国の基準を満たすことに。
一方で、現場の職員からは、「新規の職員や相談業務は初めてという職員が、虐待した親への対応、複雑な背景を持つ子どもへの対応などで苦悩し、メンタルを病んだり、早期に異動するケースがある」との声が寄せられています。
今回の条例改正案では、「児童相談所等の人材育成に係る体制の整備及び強化を図る」との項が追加。
田口議員は、「育成するとされている『専門的な知識及び技術を有する職員』とはどの職種で、どのような人材育成体制の整備が望まれているのか」と質問しました。
提案者を代表して塚本つよし議員(民主)が答弁にたち、改正案の趣旨について「児童虐待対応件数が高止まりの中、虐待そのものをなくしていくために、虐待の発生予防、さらには虐待を受けた子どものケアに力を入れていく必要がある」と説明。
その上で、「知識や技術は容易に身につくものではなく、一定の時間や手間をかけて人材を育成していく必要がある。例えば、研修企画運営の専任体制の構築や児童福祉司等が集中的にトレーニングを受けられるような研修環境などの整備を想定している」と答えました。
一時保護所の体制・環境・運営の改善
中央児童相談所の一時保護所に関する第三者評価(2022年度実施)では、「人員確保の難しさによる時間外労働の常態化」「児童福祉司等とのスピーディかつ確実な情報共有の仕組みの構築」「居室の満床が常態化」「配慮が必要な子どもへの個室の提供」などが課題としてあげられています。
条例改正案は、一時保護所の体制の整備に関する条文に「社会情勢の変化に対応した」を挿入するとともに、一時保護施設の環境整備の条文を新たに追加。
田口議員は、「虐待など危機的な状況に遭遇した子どもたちには、1人1人の発達段階や状況に応じた適切な支援が必要。条文追加は一時保護施設の環境整備や運営の改善を促進するのがねらいか」と質問しました。
塚本議員は、「効率的な組織運営を行いながらも、社会情勢の変化を踏まえた上で、必要な組織体制強化を図っていくというのが条文追加の趣旨。一時保護所が、子どもの回復に向けた適切なケアが行われる環境になるよう、田口議員が指摘した方法も含め、とりくむべき指針として規定を設けた」と答えました。
質疑後、条例改正案は教育子ども委員会で審議されることになりました。
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