3月21日 2月定例会 2025年度一般会計予算 田口 一登議員の反対討論

市民税減税を継続・拡大すれば、
     市民サービス低下は避けられない

市議会最終日の3月21日、田口一登議員は2024年度名古屋市一般会計予算案に対して反対討論を行いました。その要旨を紹介します。


厳しい財政状況

 来年度の本市の予算は、市民要求に応える施策が部分的には盛り込まれている一方で、看過できない重大な問題点があります。

基金を取り崩して穴埋め

 その第1は、非常に厳しい財政状況にありながら、大金持ち優遇の市民税減税を継続し、市民の暮らしのための財源を約102億円奪っていることです。
 来年度予算では、大規模施設整備積立基金を約156億円、財政調整基金を130億円取り崩し、財源不足の穴埋めをしています。大規模施設整備積立基金は25年度末には底をつき、次年度以降は当てにすることができません。財政調整基金は、25年度末には約31億円まで減少し、財政規律とされている目標額100億円を大きく割り込む事態に陥ります。

減税額 歴代トップは6717万円

 こうした下でも、市民税5%減税は継続されます。今年度の減税額がトップの方は376万円も減税されます(減税額の歴代ベストテンは下表)。その一方で、半数近い市民は減税額がゼロであり、納税義務者のうち約半数は減税額が5000円以下です。まさに大金持ちには〝どっさり〟、庶民には〝ゼロかほんのちょっぴり〟。これが、市民税減税の実態ではないでしょうか。

 広沢市長は、昨年11月定例会での私の質問にたいして、減税の恩恵がまったくない「住民税非課税世帯には別個の施策を打っている」と答弁されました。ところが、来年度は、市民税減税の恩恵がない非課税世帯にも水道料金の値上げが強いられようとしており、低所得者が多く加入する国民健康保険も、わずかとはいえ平均保険料が値上げされ、負担増がもたらされます。

「行財政改革」は限界

 市民税減税によって、来年度は約102億円の税収減となります。減税の財源は「行財政改革で賄う」と言いますが、財政局がとりまとめた『令和7年度 行財政改革の取り組み』では、198億円の一般財源をねん出したとされる中に、疑問符の付くものが含まれています。

102億円を市民の暮らし応援に

 「行財政改革」と称して、新たな財源をねん出することは、限界にきているのではないでしょうか。財源対策に活用できる基金は底をつき、2026年度にはアジア・アジアパラ大会が開催されますが、その最終的な経費はいまだ定かではありません。
 市民税5%減税を継続し、ましてや10%に拡大して税収を約200億円も奪うようなことになれば、市民要求に応えられないどころか、市民サービスの低下が避けられないでしょう。市民税減税は中止し、約102億円を取り戻して、物価高騰で苦しんでいる市民の暮らしを支える施策に充てるべきです。 

水道料金値上げ

 問題点の第2は、無駄に無駄を重ねる徳山ダム導水路事業に財源を繰り出す一方で、水道・下水道料金の値上げを抑えるための抜本的な繰り出しは行わないことです。
 徳山ダム導水路は、名古屋市民にとって必要ありません。木曽川からの給水可能量は日量160万㎥ありますが、一日の最大給水量はその半分の80万㎥であり、水は余っています。

福祉減免を非課税世帯まで拡大を

 水道料金は、平均的な使用水量がひと月8㎥の単身世帯の場合で月額415円、年間で4980円の値上げになります(下表)。市民税が減税されている世帯でも、水道料金の値上げで減税分が帳消しになる世帯が少なくないのです。
 値上げを抑えるために、生活保護世帯や障害者世帯、児童扶養手当受給世帯等を対象にした水道料金の福祉減免を、住民税非課税世帯まで拡大し、低所得世帯の水道料金値上げは中止することを求めます。

水道料金の値上げ額(税抜き、1か月)

大型開発事業を推進

 問題点の第3は、将来世代にツケを残す大型開発事業を推進していることです。
<反対理由にあげた大型開発事業等>
●名古屋城天守閣の木造復元
●中部国際空港の2本目滑走路建設工事のための 無利子貸し付け
●名古屋高速道路のインター・ジャンクションの 追加整備
●笹島巨大地下通路建設
●愛知県と名古屋市が1か所10億円ずつ支出す る高級ホテル立地促進補助金

給食無償化など予算組み替えを

 日本共産党市議団は、市民税減税を中止し、大型開発のムダを削り、暮らしを守る施策を拡充する予算組み替え案を提案しました。とくに小学校給食費の無償化は、市民の強い要望であり、議会の多数が求めているものです。国に先駆けて無償化に踏み出すことを強く要望します。

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