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2007年9月4日発行

8月31日 教育子ども委員会 山口清明議員

名古屋市が保育施策のあり方指針案を発表
公立保育所の役割をふまえた計画を

8月31日の教育子ども委員会では、市が策定した「名古屋市保育施策のあり方指針(案)」について所管事務調査が行われ、山口清明議員が問題点をただしました。

この「指針案」は、「名古屋市就学前の教育・保育のあり方研究会」の保育専門部会が7月に発表した報告をふまえて市が作成したもので、2007年度から2016年度までの10年間を計画期間としています。

保育士の経験年数のバランスは「保育の質」の確保に必要

山口議員は、「『指針案』では、保育の質の確保・向上を目標にかかげているが、子育て経験のある保育士の存在など、保育士の勤続年数は大切だ。公民格差是正のために民調費(民間社会福祉施設運営費補給金)があるが、実際には、民間保育園では30歳未満の保育士が55%という現状であり、市はどのように評価しているのか」と質問。これに対し子ども青少年局は、「バランスの取れた年齢構成は必要だ。民調費で制度としては公立も民間も同じ仕組みになっており、民間でも、もう少し長く働き続けられるようにしたい」と答えました。

山口議員は、「仕事と子育ての両立を支援する保育園こそ、率先して女性も働き続けられる職場にしなければいけない」と指摘しました。

1〜2中学校区に1つの「エリア」

「指針案」では、保育所のあり方として、1〜2中学校区に1つのエリアを設定し、エリア内でネットワークを構築し、質の高い保育を提供する「中核保育所」をつくり、公立保育所の一部と先進的な民間保育所が担い、公立保育所は「おおむねエリアごとに配置される必要がある」としています。

山口議員は「公立保育所の役割について『スタンダードな保育の提供とセーフティネット的な役割』と明確にしていることは評価できるが、『おおむねエリアごと』とは、公立園をエリアに1つまで減らすということか」とただしました。

当局は「少なくともエリアごとに配置するということで、公立園の具体的な数は今後検討する」と答えました。

指針案のしめす「エリア」概念図
指針案のしめす「エリア」概念図

市立則武保育園民営化の教訓をふまえ、公立での建て替えを

山口議員は、則武保育園を民営化にした教訓について質問。当局は「計画の公表から移転・開所までの期間が短く、保護者に不安を与え、理解が得られなかった」と答弁しました。山口議員は「築30年以上の保育園が75ヵ所で、老朽化により改築が必要と言われているが、それを一気に民営化するのはそうとう無理がある」と指摘しました。また、「早急に移転や改築が必要な保育園とは、具体的にはどこか」と質問。当局は「市営住宅の建て替えがすでに決まっている所など数ヵ所あり、民営化できるところはないか検討している」と明らかにしました。

山口議員は「子育て困難な家庭やひとり親家庭への支援など、公立保育園が果たすべきセーフティネットの役割は大きい。市営住宅の建替えにともなう改築では、公立で建て替えることもするべきだ」と主張しました。

「指針案」について、8月23日から9月27日の期間で、パブリックコメントが行われています。