新南陽工場住民訴訟での弁護士報酬
市は控訴やめ、正当な弁護士報酬支払いを
名古屋市のごみ焼却施設・新南陽工場(港区藤前)の建設疑惑をめぐる住民訴訟で勝訴確定したことを受け、住民グループが弁護士報酬の支払いを求めた民事訴訟で、9月27日、名古屋地裁は3800万円の支払いを市に命じました。
名古屋市の主張する196万円を大きく上回るとの理由で控訴を決め、同意を議会に求めるために控訴議案を追加上程しました。
本会議で江上博之議員が質疑を行い、議案を審議した都市消防委員会では、さとう典生議員とくれまつ順子議員が追及、控訴をやめよと強く求めました。
新南陽工場(煙突の建物)と解体中の旧南陽工場
新南陽工場事件とは
新南陽工場事件は、94年1月、「しんぶん赤旗」のスクープと日本共産党などの調査が発端となり、市政を大きく揺るがし、市議会に100条委員会が設置され真相究明がはかられてきました。
住民訴訟で、94年9月、最高裁が上告を退ける決定をし、元公明党市議をはじめ元市幹部職員、ゼネコン5社に9億円の損害賠償を命じ、政・官・業のゆ着を断罪した1・2審判決が確定。既に遅延損害金を含め約12億5千万円が返還されています。
9月定例会 本会議 江上議員の質疑
税金を取り戻した住民訴訟に感謝すべき
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江上議員は、「新南陽清掃工場建設費210億円に対する談合事件で、9億円の賠償が最高裁で確定し、遅延損害金を含め約12億5千万円が名古屋市にゼネコンから返還された。これは市民が政官業の癒着に怒った住民訴訟の結果である。市民の大切な税金を取り戻した訴訟を行った市民に対し、市長は感謝の気持ちを表すべきでないか。市長は住民訴訟の結果についてどのような認識か」「約12億5千万円の返還金を取り戻すのに果たした弁護士の役割は大きいではないか」「住民が訴訟を起こさなければ、12億円余のお金は市に入らなかった。名古屋市は弁護士費用について経済的利益は算定不能とし、基準額800万円とし、196万円という弁護士報酬を算出。これでは、住民訴訟の弁護士は手弁当程度で弁護することになり、事実上、住民訴訟を否定するものではないか」と質問しました。
これに対し市長は「住民訴訟は重要。長期にわたり担当の弁護士は、一定の役割を果たされている」とし、「弁護士報酬額の算定は、日弁連の報酬規定による『経済的利益の額が算定不能な場合』に基づくべきだ。今回の判決は本市の主張が受け入れられていない」と答えました。
都市消防委員会(さとう・くれまつ議員)
余りにも低い弁護士費用
議案上程後、都市消防委員会が開かれ、さとう・くれまつ両議員が審議しました。
くれまつ議員は「住民が本市に代わって裁判を起こし、12億5千万円のお金を取り戻したことをどう評価するのか」「12億5千万円を経済的利益と見て、弁護士報酬を払うことが当然ではないか」とただしました。当局は「住民訴訟は、地方自治法で住民の参政権を定めたもの。その経済的利益は算定不能であり、平成16年9月30日の広島高裁判決も同様の考え方だ」とこたえ、控訴する態度に固執しました。
さとう議員は「名古屋地裁が判断した3800万円は、実際に返還させた金額をベースに判断しつつも、公益のためだったからと30%減額し、さらに一部は棄却されたりしたからとして、その60%を報酬にすべきとしたもので、取り戻した金額から見ればわずか3%だ。名古屋市に代わって12億円余の貴重な市民の税金を取り戻したのに、196万円、報酬が0.16%ではあまりにもひどいのではないか」「市の主張は、今回の地裁判決と比べても、市民感覚からかけはなれている。いたずらに裁判を引き延ばすのではなく、この判決を受け入れて、控訴を断念すべきだ」ともとめ、議案に反対しました。
一方、与党議員は「他の上級審の判例にならったもの」「主張が分かれるなら控訴するのが当然」などと控訴を容認する発言をし、採決の結果、自公民の賛成多数で議案が可決されました。