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2007年11月28日発行

11月議会 議案質疑 山口きよあき議員

病院局を来春設置 市民病院が採算優先に
局長が院長権限を強化し医師に成果主義導入

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質問に立つ山口議員

11月28日、山口きよあき議員は本会議質問で、市立病院への地方公営企業全部適用をただしました。

病院は福祉増進と関わりが深く、地方公営企業法の「一部適用」だった

名古屋市は来年4月1日より新たに病院局を設置し、交通局や水道局のように病院事業に地方公営企業法を全部適用させる条例案を提出しました。

地方公営企業法では、公営企業の組織、財務、経営などについて規定すると共に、専任管理者を設置し独立して経営できるとしています。ところが病院事業だけは、水道や交通などとは異なり、財務規定のみの適用でも良いとされ、本市でも、管理組織及び職員の身分に関する規定は適用されていません。これは病院事業の採算性が低く、また住民の福祉の増進を目的とする自治体行政と関係が深いためです。

山口議員は、「採算性を最優先で病院をみるのでなく、市民の健康や福祉の増進にどう貢献できたかで評価すべき。市は採算性優先と判断して全部適用を提案したのか」と質問しました。

理由は赤字解消最優先の組織作り

健康福祉局長は、全部適用する理由について、国の医療制度の改革や診療報酬制度のマイナス改定などの影響により、06年度には80億円を超える累積欠損金を抱えていることや、医師・看護師不足などにより、さらに厳しい経営状況になっていることをあげ、全部適用することで、管理者の下で迅速かつ弾力的な運用を行い経営改革を進めるためと答えました。

一方、小児救急など不採算であっても、市立病院の役割を認識して担っていくと答えました。

医師・看護師の確保に成果主義導入

山口議員は、「全部適用で何が変わるのか。具体的に、全部適用でなければできないことは何か。また一般会計からの繰り入れなど財務上のルールは変わるのか」と質問しました。

健康福祉局長は、「新しい局長のもと、経営責任を明確にし迅速な意志決定と弾力的な運用を行う。医師、看護師の確保のために、医師の給与に成果主義を導入し、看護師確保には若年層に着目した給与制度に改善を図る」と答弁しました。

成果主義を導入した医療現場では、チームワークが機能しない、労働強化と低賃金などの弊害が指摘されています。

また、健康福祉局長は一般会計からの繰入について「不採算医療などには基準に基づいて一般会計から繰り入れる。経費負担の考え方は変わらないが一層の経営努力を重ねる」と答弁しました。

病院の経営危機は国の医療政策が要因

山口議員は、「病院局の局長は市長が任命する。病院管理者ではなく、市長の現状認識と市立病院へのビジョンこそがまず問われる。病院の経営危機の要因をどう見るのか。」と質問。

市長は、「04年度の臨床医師研修制度や度重なる医療制度改革、診療報酬の改定に、市立病院が迅速に対応できていない面があり、医師、看護師の確保がたいへん厳しい状況になったことによる」と答え国の悪政が原因であることを認めました。

国に医療政策の転換求め、市民ニーズにみあう病院づくりを

山口議員は、「経営改善のためには、国に医療政策の転換を強く迫ること。あわせて、市民のニーズにみあう医療サービスを、患者・市民とともにつくりあげることだ」と主張しました。

全部適用での管理者(局長)の権限

○必要な分課の設置 ○職員の任免・給与・勤務条件等の掌理 ○予算原案の作成 ○決算の調整 ○資産の取得・管理・処分 ○契約の締結 ○料金・使用料・手数料等の徴収 ○一時の借入れ ○労働協約の締結 ○行政庁の許認可・免許・処分を受けること ○企業管理規定の制定

職員の給与は

○独自の給料表 ○人事委員会勧告制度の対象外 など