予算審議 経済水道委員会 田口一登議員、かとう典子議員
愛食=フジチクグループの部分肉冷蔵庫借り上げ問題
不正の舞台の施設借り上げは許されない
熱田区六野にある5階建ての「中部食肉部分肉流通センター」(左)。奥は旧館。
名古屋市の食肉中央卸売市場で、と畜・冷蔵業務を行う外郭団体「名古屋食肉公社」は、フジチクグループの中核会社「愛知食肉卸売市場協同組合」(愛食)の所有する「中部食肉部分肉流通センター」の建物全部を賃借する仮契約をむすんでいます。賃借料月額3,000万円で20年間、総額72億円の巨額です。現在、公社は、賃借契約を同センターの一部にして賃借料を減額する交渉中です。
本会議に続き、3月10日からの経済水道委員会で、かとう典子議員がこの問題を追及しました。
愛食の冷蔵庫賃借のために新たな補助金が
新年度予算案では、「食肉流通システム強化事業助成」として、食肉公社に対して7300万円の補助金が計上されました。
かとう議員が「愛食の『中部食肉部分肉流通センター』を借り上げるための補助金か」とただすと、当局は、同センターも候補の一つであることを認めました。実際には、同センター以外に具体的に交渉している民間冷蔵庫はなく、かとう議員は「公社が借りようとしているのは、同センターの冷蔵庫に間違いない」と指摘しました。
補助金の算出根拠について、当局は「民間冷蔵庫の貸借料の実勢価格と市の条例で定める冷蔵庫の使用料との差額」とし、3000平方メートルほどの冷蔵庫を借りる額を上限として検討していることを明らかにしました。かとう議員は、「3000平方メートルを実勢価格で借りれば、年間1億円以上、20年間で20数億円の巨額のお金が愛食へわたる」と厳しく指摘しました。
買参業者のために「又貸し」か?
部分肉流通のための冷蔵庫借り上げの必要性について、当局は「食肉市場の一元化(*)にあたって、『食肉中央卸売市場整備検討委員会』で、部分肉用の冷蔵庫としては、当時国から補助金も受けて建てられていた中部食肉部分肉流通センターがあり、それを活用することが決まった」と答えました。
しかし、2007年2月の新市場移転以来、食肉公社は部分肉用冷蔵庫として同センターを使っていません。かとう議員は「結局、市場の買参業者が使う冷蔵庫を公社が借り上げるということだ。買参業者は、現在でも同センターを自分で借りている。公社が借り上げて、安く又貸しする必要はない」と追及しました。
*<食肉市場の一元化>
2001年5月31日、市の外郭団体名古屋食肉市場(株)が愛食に59億円支払って営業権を譲り受け、市内に2つあった食肉市場が統合される。一元化の方法を決めた「食肉中央卸売市場整備検討委員会」には、有罪判決をうけたフジチクグループの藤村芳治、藤村勲の両名らが委員となっている。
センター借り上げ契約はきっぱり破棄を
中部食肉部分肉流通センターは、フジチクグループのBSE対策の不正事件で、輸入牛肉を国産牛の箱に詰め替えたり、空箱をならべて偽装した不正行為の現場です。刑事事件の舞台となった施設を、市の外郭団体が、長期にわたって多額の賃借料を支払うことに市民の理解が得られるはずはありません。
かとう議員は「愛食は、地方卸売市場開設の際に県などから受けた24億円の融資について、返済期限が過ぎても、いまだ13億円を返していない。同センターの建設費は、約45億円だが、27億円は国の畜産振興事業団などからの補助金だ。このうえ食肉公社から賃借料として20年で20数億円が入ってくれば、建設費を、全部公的資金で、まかなうことができる。不正事件を起こしたフジチクグループの中核会社に、湯水のように公的資金をつぎ込んでよいのか。契約を破棄せよ」とせまりました。
答弁に立った理事は「愛食の経営については知りえない」「どこの冷蔵庫を借りるかまだ決まっていない」などと、逃げに終始しました。