名古屋港管理組合議会 6月11日 一般質問 山口清明議員
破綻したイタリア村PFI事業
雇用確保と再開への責任を果たせ
名港議会で質問する山口議員
名古屋港管理組合議会は、6月11日本会議を開き、山口清明議員が、イタリア村問題などについて一般質問を行いました。
違反建築に対する管理組合の責任を追及
イタリア村破産の大きな要因の一つが、木造を鉄骨と偽った建築条例違反です。先の3月定例会では、さとう典生議員が「管理組合も条例違反を黙認していたのではないか」と質問したのに対して、名管当局は「今年2月まで気づかなかった」と答弁していました。
ところが名管は、5月7日、イタリア村の建物建築中の2005年1月段階で、条例違反を認識していたが適切な措置を取らなかったことがわかったと発表しました。
山口議員は「議会に対し、都合の悪い事実を隠していたのではないか。事実経過を明らかにし、組織としての責任をとるべきだ」と追及しました。当局は「木造での建築を一部の職員が知っていたにもかかわらず、条例違反の解消を強く注意喚起できなかったことは、極めて不適切。組織として内部統制がしっかりと機能しなかったと痛感している」と答え、信頼回復のためにも事業の早期再開を図る考えを明らかにしました。
違反建築物撤去には、保証金の活用を
違反建築物の撤去費用は約5千万円と想定されており、新たな運営主体での事業再開のネックとなっています。
山口議員は、(株)イタリア村とのPFI契約に基づき、名管に8千万円の保証金があることを明らかにし、「保証金を活用して、違反建築物を撤去することが、新たな公金投入なしに問題を解決する有効な手段だ」と指摘しました。
イタリア村破たんは最大規模の解雇事件
一方、5月7日のイタリア村閉鎖と同時に、従業員360人が一斉解雇されました。県下では、ここ十年来で最大規模の解雇事件であり、労働債権は1億5千万円にものぼります。
山口議員は、「イタリア人など外国人労働者は、交渉の際にも通訳が必要だ。会社や管財人まかせでなく、管理組合としても、住宅や通訳確保など側面的支援する道義的責任がある」「『イタリア村のコンセプトは良かった』というなら、イタリア人従業員に業務再開への道筋を示し、雇用の確保を約束すべきだ」と求めました。
当局は、「雇用問題は直接関与できる立場にない」「倉庫を活用した賑わいづくりというコンセプトのもと、事業が再開される中で新たな雇用環境が整えられる」と答えるにとどまりました。
山口議員は「条例違反建築への管理組合の関与を認めたのだから、イタリア村の破綻と大量解雇に共同の責任がある」と指摘し、この3年間で名管がイタリア村から2億7千万円もの収入を得ていたことを明らかにさせたうえで、労働者の支援など急を要する問題の解決を求めました。
事業再開はPFIにこだわらず検討せよ
また山口議員は「PFI手法は、自治体と企業、双方の責任があいまいになる。事業再開にあたってはPFIにこだわらず検討し、ガーデンふ頭に多くの市民が来場する港まつり(7月21日)までに解決のめどを立てよ」と求めました。当局は「PFIの制度そのものには問題はない」としつつ「7月中に事業手法も含めた今後の方針を決定する」と答えました。
名港議会は、PFIによる新庁舎建設とあわせてイタリア村問題を検討する特別委員会を設置し、引き続き調査・検討することになりました。