6月議会 議案質疑(6月19日) さとう典生議員
新南陽工場事件の弁護士報酬等請求訴訟で名古屋市が敗訴
名古屋市は判決に従うべきです
住民訴訟のおかげで12.5億円を取り返したのに、いつまで争うのか
質問するさとう議員
6月19日から6月議会が始まり、さとう典生議員が本会議で議案質疑を、田口かずと議員が委員会質疑を行いました。
新南陽工場住民訴訟で勝訴した住民が名古屋市に弁護士費用などの支払を求めた訴訟で一・二審とも名古屋市が敗訴。3800万円の支払いを命じられましたが名古屋市は判決を不服として、最高裁へ上告受理の申し立てをする議案を提案しました。
弁護士費用は196万円と固執する名古屋市
住民は賠償された12億円余の金額を元にした弁護士費用を、名古屋市は「住民訴訟の結果は抽象的な利益だ」と、800万円を基にした196万円の弁護士報酬を主張しました。第二審の判決では、住民の主張も退けられ、住民からも不服な部分がありますが、裁判所は「経済的な利益を加味するべき」と判断をしました。さとう議員はこうした経過を示したうえで「判決は妥当な判断であり、名古屋市が控訴審と同じ理由で上告受理の申請をしようとしているのは理解できない」と市のやり方を批判しました。
新南陽事件ではゼネコンを擁護した名古屋市
損害賠償の裁判で、名古屋市は「損害はなかった」と主張して、ゼネコン側を擁護するような立場を取ってきました。さとう議員は「本来なら市が損害賠償の訴えを起こすべきなのに、市に代わって損害賠償を取ってくれたことについて評価せず、感謝もしていないのか。市の幹部や市会議員が絡んだ事件に負い目を感じているように見える」と指摘し、「住民ががんばって裁判に勝利して損害賠償させた。なぜ裁判所の判断である経済的利益に着目した弁護士費用の算定を受け入れないのか」とただしました。しかし市長はまともに答えず、「経済的利益は算定不能」という立場に固執し続けました。
6月19日 都市消防委員会 田口かずと議員
9年以上の長期裁判を支えた弁護団に
ふさわしい報酬を
同日の都市消防委員会で田口かずと議員は、新南陽事件の住民訴訟は9年6カ月にわたり28人の弁護団が支えてきたこと、今回の裁判で名古屋市は1人の弁護士に110万円を支払ったことを明らかにし、2審判決を「弁護士報酬の算定に当たって、経済的利益、事案の難易、時間及び労力、その他の事情を総合的に考慮して定めなければならないとする、妥当な判断を示した」と評価し、「名古屋市は、弁護士1人あたり7万円という異常に低い報酬額を主張しているが、これは、新南陽工場住民訴訟の重みにたいする認識が欠如しているからにほかならない。しかも、上告受理の申立ては、いたずらに裁判を長期化させるものであり、本市が支払う遅延損害金も膨れ上がる」と市の姿勢を批判し、議案に反対しました。
【参考】新南陽工場住民訴訟
新南陽工場の建設工事にあたり、談合で違法な請負契約を締結し、当時の建築局次長が競売入札妨害罪で、公明党元市議が斡旋収賄罪で摘発された。名古屋市が9億円の損害を被ったとして、住民が本市に代わって受注業者等に対してその損害の賠償を求め、最高裁まで争った結果、勝訴し、遅延損害金を含め、12億円余が市に入った。
2004年 |
9月21日
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新南陽工場住民訴訟最高裁判決 (受注業者等に9億円及び遅延損害金の支払命令) |
12月23日
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住民が弁護士報酬の支払を請求 | |
2005年 |
7月21日
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弁護士報酬は196万円と主張(市) |
2006年 |
9月15日
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訴訟(1億2397万3362円の請求) |
2007年 |
9月27日
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第1審判決(3800万円の支払命令) |
10月10日
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控訴 | |
2008年 |
6月12日
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第2審判決(3800万円の支払命令) |