8月28日 都市消防委員会 田口一登議員
入居基準引き下げで「救貧住宅」化する市営住宅
低所得者増なら市営住宅の建設こそ必要!
8月28日の都市消防委員会では、市営住宅の入居基準・家賃の見直しについての所管事務調査が行われました。
救貧住宅化ではコミュニティが成り立たない
今回の改定は、国の公営住宅法施行令の改正に伴う制度見直しで、入居収入基準を現行の所得月額20万円以下から15万8千円以下に見直し、退去を求められる高額所得者の認定月額も、現行39万7千円から31万3千円に引き下げられます。
田口議員は「4人家族で年収677万円を少し超えるくらいの世帯を高額所得者だといって、市営住宅から追い出すやり方は問題だ」とただしましたが、当局は「世帯所得の変化で、現行基準を定めた1996年当時から比べて基準額は相対的に高くなった。真に必要な人に入居してもらうための改定だ」と答えました。田口議員は「低所得の人が増えているのに、戸数は増やさず、入居できる人を減らそうというやり方だ」と指摘しました。
また、入居収入基準の引き下げによって、市営住宅に入れる人も、高齢者世帯や一人親世帯、ごく限られた低所得者世帯に限られてしいます。田口議員は、「いまでも市営住宅は高齢化率が約5割で、自治会の担い手に困る現状なのに、入居収入基準を下げたらますますコミュニティの崩壊がすすむ。入居収入基準の引き下げは、市営住宅の救貧住宅化だ」と厳しく指摘しました。
4割近くが家賃値上げで生活を圧迫
また、今回の見直しでは、家賃が値上げになる世帯が少なくありません。田口議員の質問に答えて、当局は、21,390世帯、全体の37.6%が値上げとなり、最高の値上げ額は11,700円(24%値上げ)となることを明らかにしました。
田口議員は「住民税の増税、高齢者の介護保険料や後期高齢者医療保険料の負担増、さらに食料品などの物価高など、庶民の生活がますます厳しくなる中で、最高では月額1万円を超える家賃値上げというのは、きわめて大幅な値上げだ。許されない」と追及しましたが、当局は「緩和措置も設けており、適正に維持管理するために必要な値上げ」と答えました。
田口議員は「今回の公営住宅法施行令の改正は、市営住宅の救貧住宅化を進める重大な制度改悪だ。入居を希望する人が入居できるよう市営住宅を大量に建設することこそ求められている」と主張しました。
公営住宅法施行令の改正に伴う市営住宅入居収入基準の見直し
区分 | 現行 | 改正後 |
---|---|---|
本来階層 |
所得 月額 200,000円以下
(年収 5,103,999円以下) |
所得 月額 158,000円以下
(年収 4,471,999円) |
裁量階層 |
所得 月額 268,000円以下
(年収 6,123,999円以下) |
所得 月額 214,000円以下
(年収 5,311,999円以下) |
高額所得者 |
高額認定 月額 397,000円以下
(年収 7,893,346円以下) |
高額認定 月額 313,000円以下
(年収 6,773,346円以下) |
*( )内は標準4人世帯の年収