経済水道委員会 2007年度決算審議
さとう典生議員、うめはら紀美子議員
市民経済局
信用保証付き制度融資の実績激減
貸し渋り招く「責任共有制度」は見直せ
厳しい経営環境の中、必死にがんばる中小零細企業にとって、名古屋市信用保証協会の保証が付いた市の制度融資は命綱です。信用保証制度は、金融機関から資金を借入する方が、一定の保証料を保証協会に支払うことで、万が一返済できない場合、保証協会が金融機関に対して借入金を返済(代位弁済)する制度です。金融機関のリスクを少なくすることで貸し渋りが少なくなり、保証協会の保証を受けることができれば、小規模な事業者でも資金を借りやすくなります。
ところが、2007年10月からの制度改定で、代位弁済の際に保証される額が80%となり、残りは金融機関が負担する「責任共有制度」が全国の保証協会に導入されました。
この「責任共有制度」導入以降、市の制度融資の貸し出し実績が激減し、一昨年の同時期と比べ金額ベースで6割以下となっています。
うめはら議員は、「責任共有制度の導入によって金融機関の貸し渋りが増えたことは明白。制度の見直しを求めるとともに、中小零細業者の実態をしっかりと把握し対策を講ずるべき」と求めました。
信用保証付き制度融資の実績の推移
2006年度 | 2007年度 | |||
---|---|---|---|---|
件数 | 金額(千円) | 件数 | 金額(千円) | |
上半期 | 5,931 | 80,066,778 | 5,380 | 77,503,445 |
下半期 | 6,149 | 86,057,353 | 4,137 | 50,851,947 |
計 | 12,080 | 166,124,131 | 9,517 | 128,355,392 |
市民会館ネーミングライツでキャンセル8件
2007年度、公共施設に企業などの名前を冠する「ネーミングライツ(施設命名権)」が市民会館に導入され、「中京大学文化市民会館」となりました。市民のための「文化の殿堂」として長年親しまれてきた施設だけに、文化団体をはじめ、市民からの抗議や苦情の声が市に対して多数寄せられました。
うめはら議員は「特定の大学の名前がついたことで、市民の中に違和感が広がっている」として、利用状況についてただすと、申込のキャンセルが8件あったことが明らかになりました。うめはら議員は「施設整備の費用は市の責任で賄うべきであり、特定の企業・団体からの収入をあてにして、公共性を損なうべきではない」と指摘しました。
上下水道局
徳山ダム導水路は生態系にも悪影響
水余りの中、市民の反対を押し切って建設が強行された徳山ダムは、今後は、運用のための導水路建設事業が焦点となっています。うめはら議員は「一日最大給水量は、2007年度も101万トンで、予測の124万トンを大きく下回っている。水余りは明らかであり、徳山ダムの水のための導水路は必要ない」と指摘しました。
また、「水温の違う揖斐川、長良川、木曽川の水を混ぜれば、アユの餌となる藻の生育にも悪影響を与えるといわれている。にもかかわらず環境アセスも実施しないのは問題」と指摘しました。
当局は「アセスと同等の技術レベルの調査は行うと聞いている」と答えましたが、うめはら議員は「市民の縦覧に供し意見を募るなど、手続き的にも法に則り行うべき」と求めました。