財政福祉委員会(8月4日) 江上博之議員
市民税10%減税
減税で市民サービス削るな
8月4日の財政福祉委員会では、継続審査になっている「減税基本方針条例(案)」が議題となり、7月28日に同委員会が視察した東京都杉並区の「減税自治体構想」とあわせて質疑されました。
「改革推進本部」で構造改革
「行革とサービスのバランス難しい」(市)
減税の財源について、市は「行財政改革を従来の発想にとらわれることなく行い、全庁的に総人件費を削減。来年度は厳しい予算編成が予想され、構造改革を短期集中で行うための改革推進本部を7月31日につくった」などと説明するものの、市民税減税についての具体的な資料提示はありませんでした。
江上議員は「構造改革は小泉首相が使っていた言葉だが、もう破綻して見直しが選挙の争点にもなっているいる。市は国と同じ意味でこの言葉を使っているのか」と質問。市は「行政改革を超えたさらに大胆な改革を行う」と答弁しました。江上議員は「国と同じ方向だ。火葬場の有料化や国保料値上げなどは行革の一部と副市長も認めている。市民サービスを後退させないと言うが、行革とどうバランスをとるのか」と追及。市も「なかなか難しいと感じている」と答えざるを得ませんでした。江上議員は「極めて問題だ」と指摘し、「前回7月に要求した資料も出てこない。庶民減税には賛成だが、急がずに議案質疑としてきちんとした手続きを踏んで判断できる資料を出すべき」と述べました。
また、非課税者の対応策やカネ持ち・大企業を除外する件も検討中との答弁がありました。
人件費削減、民間委託を質す
人件費削減については、公明党議員が「名古屋市では定員をどれぐらい削減するのか」「住民税減税をめざしている杉並区と給料はどう違うか」などと質問。市は「定数を10%削減すると市民1000人当たりの職員は8.6人から7.7人に減少する。正規職員の年間給与を杉並区と比較すると名古屋市897万円、杉並区858万円で39万円高い。ラスパイレス指数は名古屋市は政令市で一番高い」と答えるものの、「市長マニフェストは人件費総額を10%削減であり、給与や定数をどれぐらいにするのかは聞いていない」と述べました。
また、民主党議員の民間委託の効果についての質問に、市は「民間委託は入札の競争原理で人件費削減の効果が出る。何でも民間委託でなく、直営でも職員の年齢など見て配置していく」などと答えました。
これらを受けて江上議員は、「減税の財源として総人件費の話をしているが、市民税は一般会計(あるいは普通会計※注)で扱うもの。したがって対象職員もその範囲で見るべきだ。民間委託は行政が責任を放棄して安上がりに仕事をするところに問題がある」と指摘しました。
市長出席で9月2日に質疑
委員会では、財政局だけでは答えられないことが多いため、9月2日に市長出席のもとで改めて審査することになりました。
「減税基本方針条例」の概要
【目的】 | 現下の経済状況に対応し、市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展に資するため |
---|---|
【規模】 | 市民税収入額のおおむね100分の10 |
【財源】 | 事務事業の見直しその他の徹底した行財政改革の推進による歳出削減と、歳入確保に最大限努める |
【実施時期】 | 個人・法人とも平成22年度分から |
※注
一般会計・・・地方公共団体の会計は「一般会計」「特別会計」「公営企業会計」に区分されます。一般会計は地方公共団体の行政運営の基本となる事務事業に必要な経費を計上した会計で、特別会計以外のすべての会計を行う会計です。福祉、資源回収や環境、教育、消防や公園、河川、道路整備などで主に市税を財源としています。
普通会計・・・地方財政統計の統一した会計区分で「普通会計」「公営事業会計」に分けられます。普通会計とは一般会計及び特別会計のうち公営事業会計(企業活動部門)を除いたものです。名古屋市の普通会計は、下記の通り。
普通会計
一般会計(駐車場事業・老人保健事業、介護サービス事業を除く)、母子寡婦福祉資金貸付金会計、土地区画整理組合貸付金会計など7会計