2008年度決算 反対討論 田口かずと議員
国保料値上げ、本丸御殿は着手
「構造改革」路線に追随した08年度決算
名古屋市議会9月定例会の最終日の10月14日、田口かずと議員は、2008年度決算の認定に反対する討論を行ないました。その要旨を紹介します。
反対討論を行う
田口かずと議員
昨年度の一般会計決算は、自公政権が進めてきた「構造改革」路線に追随し、市民への負担増と公共サービスの民間化を続ける一方で、松原前市長の置き土産となった4大プロジェクトなどの大型事業を加速するものとなりました。
政令市で4番目に高い名古屋の国保料
第1は、市民に負担増を押し付け、貧困と格差に追い討ちをかけたことです。
昨年4月から後期高齢者医療制度が導入され、国民健康保険では「75歳減免」によって保険料が無料だった約58000人の高齢者が、新たに保険料を負担しなければならなくなりました。一方、国民健康保険も、国保会計への一般会計からの繰り出し金を削減したことなどによって、保険料は、一人あたり平均6500円の値上げになりました。値上げ幅は17政令市の中で最大であり、かつては政令市の中でも低い方だった保険料が、いまや高い方から4番目となりました。
保育料も、1年おきに値上げが繰り返されました。
後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を国に求めるとともに、国保料を引き下げ、来年度の保育料値上げを行わないよう求めます。
公立保育園 8年間で20か園を民営化
第2は、公立保育園の民営化など「官から民へ」の流れが強まったことです。
名古屋市は、「公立保育所整備計画」案を公表するとともに、千種台、山田、苗代の3つの公立園で民営化計画を押し進めてきました。これにたいして、「公立保育園を廃止・民営化することの是非を問う」住民投票条例の制定を求める直接請求署名運動が取り組まれ、約13万人もの署名が集まりました。
名古屋市では、民間の社会福祉法人の保育園も公立保育園と同じ保育条件が保障され、公民ともに公的保育制度をささえ、保育水準を高めてきました。保育園への営利企業の参入は許していません。ところが、公立保育園がどんどん減らされていったら、名古屋でも企業参入に道を開くことになるでしょう。子どもたちを企業の儲けのための市場にゆだねることは許されません。今後8年間で20か園を民営化するという「公立保育所整備計画」は撤回すべきです。
保険のきかない陽子線がん治療施設は凍結を
第3は、大型プロジェクトの推進に拍車をかけたことです。
名古屋城本丸御殿の復元は、いまだに市民の間で賛否が大きく分かれているというのに、工事着手が強行され、金城ふ頭での「モノづくり文化交流拠点」は、税金を投入して企業博物館(JRの新幹線博物館)を誘致するというやり方が露わになりました。この2つの大型プロジェクトは、「天守閣も木造で再建する」などと言い出した河村市長のもとで、より一層拍車がかけられつつあります。
陽子線がん治療施設については、「苦しまないがん治療」にたいする市民の期待がある一方で、保険が適用されず(治療費は300万円)、施設整備に巨額の費用(245億円)がかかり、整備・運営が民間会社(日立製作所)に委ねられるなどの問題も抱えています。十分な議論と市民の理解が不足したまま建設に着手したことは問題です。いったん建設を凍結し、再検討すべきです。
徳山ダムの木曽川導水路事業については、国土交通大臣も凍結すると表明したのですから、この事業は、いよいよ撤退・中止するしかありません。