市民の立場で審議つくすのが議会の役割
「市長と議会の対立」どう見る
これまでに河村たかし市長は、福祉予算削減・「金持ち減税」の「市民税10%減税」や、地域で理解・納得されていない「地域委員会」について、市議会が慎重審議していることに業を煮やし、支援団体などに呼びかけて議会解散(リコール)運動を起こす構えを示しました。しかし、支援団体「河村たかしと名古屋を考える会」の会長は空席。市長が名古屋市経営アドバイザーにした栗岡完爾トヨタ自動車相談役に会長を依頼したが断られたとのことです。リコール運動について「会の中に温度差がある」(「毎日」)などと報じられ慎重意見には、市民の良識が反映されています。
また、市長は11月2日の定例記者会見において、「(地方自治体の首長は)強大な権限を与えられた大統領のように言われるが、違う。条例提案権はあるが決定権は議会にある」として、市長と議員がともに公選される二元代表制は「立法者のミス」とまで述べて異議を唱えました。そして、「市長に主体的な解散権を与えるか、議員から市長を選ぶ議院内閣制に相当する制度への変更を主張」しています(「」は「毎日」11.2.夕刊)。
こうした状況「市長と議会の対立」をどう見るか、江上博之幹事長に聞きました。
対立をあおるのは市民の利益損ねる
市長の二大公約である「市民税10%減税」も「地域委員会(仮称)」については、議会がその内容を慎重に審査しているのであって、道理なく採択を先伸ばしているのではありません。
市長の意に沿わないからと「議会解散」や「市長と議会の対立」をあおることは、市政を停滞させ、市民の利益を損ね、地方自治制度を破壊するものです。
首長と議会はそれぞれ住民の直接選挙で選ばれる対等平等の関係であり、相互に干渉を排除しつつ、チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)をはかることによって公正な権限行使を保障し市民生活を守ることができます。これは戦前の軍国主義の反省のもとに、日本国憲法、地方自治法によって定められました。
市長の公約についても、その実行にあたっては、市長自ら世論に耳を傾け理解と合意を得る努力をつくし、議会で十分な審議をつくすことが大前提です。
日本共産党の市会議員は2年半前の選挙で「福祉を守ります」と公約したのですから、減税の財源を口実にして福祉予算が削減されようとしているときに、議会で徹底審議することが議員にとって当然の役目です。
市長が打ち出した「市長に主体的な解散権を与える」ことや「議院内閣制に相当する制度」については、以上の立場から同意しかねるものです。(江上博之)
市民税10%減税
市長であれ議会であれ市民への情報提供は当然
河村市長が議会との対立を強めるきっかけになったといわれているのは、10月15日に市会財政福祉委員会の正副委員長が住田副市長に提出した申し入れ文書です。「減税にかかる市民への情報提供は継続審議中であることから行うべきでない。(略)提供を行う場合は委員会の了承を得なければならない」とあります。
しかし、議会が継続審査中であっても市長、市当局、議会が市民に対し情報提供を行うことは大切なことです。この問題についての日本共産党市議団の見解をお知らせします
市民税10%減税に関わる市民への情報提供問題について
- 10月15日に名古屋市財政福祉委員会の正副委員長が住田副市長に行った申し入れは、正副委員長が行った申し入れであり、わが党市議団はこれに関与していない。
- 名古屋市会が継続審査中の議案であっても、市長、市当局、議会が市民に対し、その議案に関する情報提供を行うことは民主主義の原則である。
- わが党は「市民税10%減税」など市政問題について、市長、市当局、議会が市民に対し、正確かつ迅速な情報や資料を提供し、公開するよう求めるものである。