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2010年8月31日発行

2010年8月31日 教育子ども委員会 かとう典子議員

小規模校統廃合
「子どものために…」との理由は成り立たない
予算削減が目的の統廃合をすすめるな

 8月31日の教育子ども委員会では、「小規模校対策」として、小規模校の統廃合をすすめる実施計画案についての所管事務調査が行われました。

2016年度まで9校の統廃合めざす計画

2016年度までに統廃合めざす9校
学校名 相手校 中学校ブロック
西区 幅下小 3校統合 菊井中
江西小
那古野小
南押切小 榎小 天神山中
栄生小
中村区 豊臣小 諏訪小 日比津中
中区 御園小 名城小 丸の内中
昭和区 白金小 村雲小 円上中
南区 大生小 宝小 南光中
天白区 高坂小 相生小 久方中

今年3月に策定・公表された「小規模校対策に関する基本方針」では、統廃合等の対策の対象となる11学級以下の小学校を3グループにわけ、6学年すべてが単学級で今後もその状況が続く見込みの第1グループから、優先して統廃合をすすめる方針が示されました。今回の「実施計画」は、第1グループ9校を2016年度までに統廃合する具体的な計画を定めたものです。

説得力に欠ける「必要性」

教育委員会は、「きめの細かい指導、家庭的雰囲気」などの「小規模校のよさ」を認める一方、「クラス替えができない」「交友関係が固定化されやすい」などの「課題」をあげ、「児童・生徒にとってよりよい教育環境にするため、一定規模以上の学級数を確保することが必要」としています。

しかし、かとう典子議員が「クラス替えができないことがどうして悪いのか」とただすと、当局は「人間性、社会性をはぐくむ時期にある程度の集団は必要」などといいつつも、具体的なデータを求められると「人間性への影響をしめすデータを探したが、なかった」と答弁。「人間関係のこじれ」についても、小規模校とそれ以外の学校の比較するデータを持ち合わせていないことが明らかになりました。

かとう議員が「小規模校の良さがあるのに、『適正化』をしなければならない理由はない。結局、教育予算が少ないからではないか?」と追及すると、当局は「最終的にはお金もあるが、それは結果的な話」と苦しい答弁。あくまでも「子どもの視点」を強調しますが、予算削減が目的であることを隠せませんでした。かとう議員は、「ヨーロッパでは学校規模は100人程度があたりまえ。学校は地域の拠点でもあり、統廃合すべきでない」と主張しました。

こうしたやりとりを聞いた民主党ベテラン議員は「いままで小規模ではダメだという説明を一方的に聞いてきたが、かとう議員の話はなるほどと思え、当局の説明は説得力に欠ける。先行都市のデータがあるはずだから、しっかりしめさなければ、PTA含めて地元の納得を得られない」と指摘。統廃合推進の立場から、地元要望優先の跡地利用などを求めました。

今後、対象学区での説明会などが始まっていきます。「よりより教育環境のため」という理由が、予算削減の目的を覆い隠す口実であることが明らかになった以上、市民に問題点を知らせて統廃合をすすめさせないたたかいが必要です。

教育委員会が統廃合の理由にあげる「小規模校の課題」

・1学年1学級のいわゆる単学級の学年では、クラス替えができない。
・運動会・体育大会、学芸会・文化祭などでの児童・生徒の種目や演目に限界がみられ、役割分担の負担が大きくなりやすい。
・音楽、保健体育などの教科において、集団での演奏や競技などのグループ分けが難しくなる。
・児童・生徒の交友関係が固定化されやすい。
・学級内でのけんかやトラブルで人間関係がこじれた場合、修復が難しい。
・学校行事や児童会・生徒会・委員会活動などで児童・生徒の役割・位置付けが固定化されやすい。
・児童・生徒の興味・関心に対応した多様なクラブ活動や部活動を実施することが難しい。
・児童・生徒に互いに競い合ったり、高め合ったりする切磋琢磨する態度を育てにくい。
・教師一人当たりの分掌事務量が多くなるとともに、分掌が固定する傾向がある。
・教員の出張や欠勤などがあった場合、補欠授業が組みにくい。

※これらのほとんどが、小規模校に限らず学校・教師がとりくまなければならない課題です。校務分掌量や補欠授業など教育条件に関わる問題は、適正な予算と人員を配置すれば解決する問題です。

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