議案質議 山口きよあき議員(2月22日)
鳴海工場の改築・運営 新日鉄グループに丸投げ
CO2が35%も多く、価格も23億円高いのに?
山口きよあき議員が本会議場で行った議案質疑の概要を紹介します。(全文はこちらから(別のページが開きます))
■24年で382億円の契約
山口きよあき議員は鳴海工場建て替えの※PFI手法について質問。この契約は、清掃工場の運営を24年間、382億円で新日鉄グループ(鳴海クリーンシステム)に任せてしまう内容です。
山口議員は「安全確認や環境保全、事故時の対応など契約の中身も明らかにすべきだ」とただしました。環境局長は「必要な情報はインターネットで公開している。議決してくれたら契約内容も公開する」と答弁。また「24年のうちにはゴミの資源化が進んだり技術革新が進んでコストが削減することも予測されるが契約金額は変わらないのか」と追及。これに対し「変動も加味した金額」と答弁しました。
※PFI
公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。
■分別したプラスチックも焼却
山口議員は、どんなゴミでも溶かして処理してしまうガス化溶融炉の特徴を指摘し、「容器包装以外のプラスチック類も分別リサイクルでなく燃やしてしまうのか。いままで市民が懸命に行ってきたゴミ分別の努力は何だったのか」とただしました。当局は「埋立て量を減らすために、破砕不燃ゴミも溶融する予定」と答えました。
■わずか2グループの入札で
入札に応じたのはわずか4グループで、2グループは、入札参加資格を失い、2グループだけの入札でした。山口意義員が「これで民間事業者同士の競争性が確保されたか」とただすと、局長は「競争性は十分確保されていた」と答弁しました。
■疑惑の選定基準
事業者選定の評価結果では、価格は新日鉄グループが23億円も高く、二酸化炭素(CO2)排出量は、もう一つのグループが「A評価」で新日鉄グループは「C評価」と悪い評価でした。山口議員は「CO2排出量の差を数量的に明らかにせよ。なぜ新日鉄グループを選んだのか」と厳しく追及しました。
局長は「CO2の排出量が約35%多い。価格も高いが総合点で上回った」と答弁。具体的に優秀な内容をただすと「屋上緑化」や「コージェネレーションのシステム採用」などを評価点に掲げました。
■新日鉄の炉はミニ溶鉱炉
新日鉄のシャフト炉と呼ばれる溶融炉は、ゴミを溶かす補助燃料にコークスを大量に使い、いわば熔鉱炉のような構造を持つところに大きな特徴があります。そのため一般のゴミ焼却工場よりも、また他の方式のガス化溶融炉よりも大量にCO2を排出します。山口議員は「CO2を大量に排出する致命的な弱点をどう認識しているのか」と批判しました。
■何でも燃やしゴミ減量に逆行
鳴海工場建設には、国から59億円の補助金が直接PFI事業者に支払われます。しかし大型の溶融炉で何でも燃やす、溶かすというのはゴミ問題の根本的な解決にはなりません。CO2の削減計画にも逆行するような炉の採用でいいのでしょうか。
山口議員は、「ゴミ問題の解決のためには、拡大生産者責任の考え方を徹底し発生抑制、再使用を促進することこそ重要である」と結びました。