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2005年7月2日発行

6月定例会・議案質疑 黒田二郎議員

黒田二郎議員が1日の本会議で、介護保険関係の条例改正案について質問を行いました。

介護保険 施設入所の低所得者への負担軽減措置

黒田二郎議員国会での「改正」介護保険法の成立をうけ、提案された介護保険条例改正等について、黒田二郎議員が市の考え方をただしました。

国の社会保障審議会介護給付費分科会でもホテルコスト負担の10月実施について、日本医師会などの委員から「利用者いじめだ」「負担緩和や経過措置が必要」「現場で混乱する」と、批判意見が続出しました。

ホテルコストとは、特別養護老人ホームなどに入所すると、食費や居住費相当部分を保険給付からはずして原則自己負担とするもので、厚生労働省の目安でも1ヶ月あたり現在より3万1千円の負担増です。低所得者には負担限度額をもうけ、介護保険が補足します。

 これで低所得者対策といえるのか

第3段階(年金収入80万円〜266万円)の人のうち、1か月6万7千円の年金の場合、相部屋で、現行4万円の負担が5万5千円(1万5千円の負担増)となり、残ったお金から医療費や通院費等を支払えば、手元にほとんど残らなくなってしまいます。個室では9万5千円の負担になり、年金収入が7〜8万円の人では年金額を以上を取られることになります。

黒田議員は「これでも低所得者対策と言いえるのか」と批判しただしました。

健康福祉局長は「特定入所者介護サービス費の支給対象となる入所者は、特別養護老人ホームでは全体の84%で約4,170人、そのうち、負担増となるのは、27%で約1,160人など」と答えました(表参照)。

 負担増について市民の理解は得られない

今後、入所者への説明が行われますが、利用者から「金が払えない」とか、「個室を相部屋に変えてくれ」、あるいは「食事を3回から2回に減らせないか」など、の意見が出され、大混乱が生じることは必至です。黒田議員は、「負担増となる利用者の理解がすんなり得られるとは思えない。また、お金が払えなければ施設を出なければならないが、簡単に行くあてがある人ばかりではない。10月までの事態をどう認識し、どう対応するのか」とただしました。局長は「関係者に説明会を開催し、改正内容のお知らせを65歳以上全員に送り、広報なごやなどによるPRを9月に実施したい」などと答えました。

黒田議員は、「現場で混乱をもたらすことについての認識と対応策を聞いたのに、全く言及がない。認識が違えば対応が異なるから、そこをはっきりしてもらわなければ理解は得られない」と指摘しました。

利用者負担額の変化
(要介護5で特養ホーム入所の場合)
利用者負担段階 利用者負担額(万円)
現行 見直し後
第1段階 生活保護等 2.5(4.5〜5.5) 2.5(5.0)
第2段階 住民税世帯非課税
(年金80万円以下)
4.0(7.0〜8.0) 3.7(5.2)
第3段階 住民税世帯非課税
(年金80〜266万円)
4.0(7.0〜8.0) 5.5(9.5)
第4段階 住民税課税世帯 5.6(9.7〜10.7) 8.7(13.4)
( )はユニット型個室の場合

10月からの介護保険改悪の影響2005年4月実績で試算
施設 施設入所者に占める特定入所者(負担軽減対象者)=第1〜第3段階の割合 利用者負担第4段階(まるまる負担増) 全入所者数のうち負担増となる人の割合 全入所者数
利用者負担第1〜第3段階 左の内、第3段階のみ(自己負担増がある)
人数
(人)
割合
(%)
人数
(人)
第1〜第3段階に占める割合(%) 全入所者に占める割合(%) 人数
(人)
全入所者に占める割合 (%) 人数
(人)
割合
(%)
人数
(人)
特別養護老人ホーム 4170 84 1160 27 24 680 14 1840 38 4853
介護老人保健施設 2320 48 890 38 19 2320 50 3210 69 4637
介護療養型医療施設 640 46 240 37 20 570 47 810 67 1206
7130 64 2290 32 21 3570 33 5860 55 10696